令和6年4月19日の昼飯

本日、食したカップラーメンはこちら!

 

エースコック

「旨 長崎あごだしうどん」

だぁぁぁぁぁぁ!

早速! いただきます!

 

「あごだし」といってもアントニオ猪木や吉本の辻本さんではございません。

そう、トビウオの事です。

ググってみると、トビウオは「あごが落ちるほど美味しい」ということでついたようです。

 

が……

 

そこまで、おいしい?

味覚音痴の私からすると……あんまり変わらんような気が……

だって……先ほどから鏡を何度も見ても、アゴの形はいつものままなのです……

「猪木になってないやんけ!」

 

まぁ、このカップ麺、アゴだし粉末よりもカツオだし粉末の方が多く含まれているのだから仕方のない事。

だからなのか、妙に野球がやりたくなっちゃいますwww

「お~い! 中島! 野球やろうぜwww」

本当に今日は天気がいいwww

 

ということで、今日は「猪木」つながりのお話を。

 

kakuyomu.jp

 そんなタカトの悩みを知ってか知らずか、クロトは一つのボロイ店の正面に大きく開け広げられた入り口の敷居をまたいだ。

「こんばんは! 立花のオヤッサンはいる?」

 

 タカトが見上げる先には傾く錆びた看板……

 も!もしかして!

 これは!

 初代仮面ライダーにおいて本郷猛や滝和也とともにライダー達が愛用するサイクロンを開発したというあの伝説の立花藤兵衛の店なのだろうか?

 もう、字すら消えかかってハッキリと読むことができないが、おそらくそれは……

 『立花ハイクショップ』

 

 タカトはそっと入口のそばから中をのぞいた。

 広々とした土間には無造作に融合加工の工具が散らばっている。

 しかも、壁や机などいたるところが黒ずんだオイルで汚れているのだ。

 ――あれ……なんか見たことがあるような……

 タカトが何やら懐かしい気持ちに浸っていると、さらにその後ろから覗きこんだビン子が一言。

「汚いわね……まるで、タカトの部屋じゃない!」

 そう、タカトが懐かしいと思ったのは、自分の部屋に雰囲気が似ていたからなのだろう。

 ということは、ココで融合加工の道具作りをしているのは間違いないようだ。

 

「おかえり! クロちゃん!」

 部屋の奥にゴミのように積みあがった段ボールの山の影からジャージ姿の男が一人、ヒョコッリと顔を出すとクロトに笑いかけてきた。

 その顔は日に焼けて真っ黒、しかも、さらにススや油で黒ずんでいるものだから、松崎しげるよりも黒々しかった。

「ねえ! ちょっと!見てみてよ! 俺の作った! サイクロン!」

 ダンボールの山からダンボールで作ったゴミのような塊を担ぎ上げてに屈託なく笑う顔は、まるで少年のようなオッサン。

 そのにこやかにはにかむ笑顔から見える白い歯はまるで太陽のようにひかり輝いていた。

 キラン! シャインビーム!

 ま! まぶしいwww

「タケシさんwwwそのサイクロン、融合加工じゃなくて、ダンボールをただガムテープでつないだだけだからwww」

 そう、先ほどから社員シャインビームをまき散らしているこの男、ハイクショップの社員である本郷田ほんごうだタケシという男であった。

 だが、そんな飛び散る光をクロトはそこらへんに落ちていた鏡で適当に反射させながらあたりをキョロキョロと見まわしていた。

「ところで、タケシさん、さっきから立花のオヤッサンの姿が見えないんだけど……」

「オヤッサンなら! トウっ!」

 タケシはダンボールの山からジャンプして飛び出すとクルリ一回転!

 そして、着地とともに無駄にオーバーアクションでポーズを決めると、サッと店の外のとある方向を指さしたのであった。

「当然! あそこだ!」

 ああwwwもう、見ているだけで暑苦しいwww

 その様子を外から見ていたタカトなどは、ついついその熱気に押し切られ、無意識のうちにその指さす方向へと振り返ってしまったほどだった。

 やはり!恐るべし! 仮面ダレダー48の必殺技うちの一つ『あっ!ちむいてホイ』!

 だが、その指先にあるのは汚い街並み。

 いったい何があるのやらタカトには、さっぱり分からない。

 しかし、クロトはその言葉で理解したようで、半ば呆れたような笑みを浮かべているではないか。

「また、立花のオヤッサン。地下闘技場ですかwww」

「そうだ! オヤッサン! 今日は必ず勝ってくるって言ってたぞ!」

 なに? 勝ってくるということは、クロトが言っているオヤッサンとは地下闘技場に参加するファイターか何かなのだろうか?

 タカトとビン子は二人そろって、入り口の影で頭を悩ませていた。

 

「だいたい、オヤッサン、勝ったためしないでしょうwwww」

「そうなんだ! オヤッサン! 大穴狙いでチャンピオンのゴンカレエの対戦相手にばかりかけるからな! 今まで全敗だ! ワハハハハハ!」

 って、オヤッサンは博打うちの方かよwwww

 

 そんな時であった……

 一人の老人がブツブツと何やら呟きながら店の中にフラフラと入ってきたではないか。

「夜が更けて 債鬼さいきからフケて 余がヨガファイヤー」

 そう、この老人、この立花ハイクショップのオーナーである立花どん兵衛その人であった。

 そして、いきなり店の中心で気が狂ったかのように踊り始めたではないかw

「ファイヤァァァァぁ! ファイヤァァァァぁ! 火の車じゃぁぁあっぁ!」

 

 飽きれた様子のクロトが、仕方なさそうに声をかけた。

「オヤッサン……その様子だと、今日も負けたんですね……」

「ファイヤァァァァぁ! ファイヤァァァァぁ! ファイヤーフライ! ワシの人生! 蛍の光! ほ~た~るのぉ~ひ~か~ぁり~♪」

「で……いくら負けたんですか?」

 ニヤリwww

「クロト君! ワシは別に君に恵んでもらおうと思っているわけではないのだよ!」

「はいはい……」

「だが、君が今、ワシが詠んだこの俳句を買いたいというのであれば、金貨1枚でどうだろうか?」

「オヤッサン……それ、季語がないので川柳ですって……」

「馬鹿もーーーーん! 川柳も俳句も歌を詠む心は同じじゃ! これじゃから道具作りしかできん無粋もんはつまらんのよ!」

 クロトが仕方なそうに財布から金貨一枚とりだした。

 おそらく、それは先ほどもらった融合加工の道具コンテストの優勝賞金。

 そんな金貨一枚を惜しげもなく突き出したのだ。

 もしかして、クロトって金持ち?

 一方、どん兵衛は恥ずかし気もなく、クロトの手からその金貨をパッと取り上げると、今度は喜びの舞を舞い始めた。

「クロトから! 金貨一枚! ゲットだぜ! これで明日も 地下闘技場!」

「だから……オヤッサン……季語が無いですって」

「馬鹿もーーーーん! これは5・7・5・7・7じゃから短歌じゃ! だから季語は必要ないんだよ~ん!」

 

 店の中でそんなバカ騒ぎが繰り広げられている時であった、入り口の影に隠れていたタカトとビン子の後ろから一人の女の怒鳴る声が近づいてきた。

「なんだこのクセエ匂いは! 糞か! クソっ!」

 タケシ同様にこの女もかなり黒いwwwだが、黒髪のタケシと違って金髪ツインテールにはウサちゃんのリボン。

 一見するとガキっぽいのだが、その胸はかなり大きく成長しているようで、タカトとビン子などはその胸にくぎ付けになっていた。

 というのも、彼女が身に着けているのはダボダボのテイシャツと下着かと思うほど短いショートパンツだったのだ。

 これは!かなりエロイ! byタカト

 というか、このガキ! ダボダボのティシャツの上からでもはっきりとわかるほどのかなりの巨乳! 巨乳は敵だ! 敵なのよ! byビン子

「なんで店の前にあんなクセエ奴らがいやがんだよ! おかげでせっかくいい気分で出社してきてやったのに台無しじゃねえかよ! クソっ!」

 そして、匂いの元凶たるタカトとビン子を睨みつけながらズカズカとハイクショップの中へと入っていったのである。

 店の中にいたクロトと立花は、このクソクソいう女を見るなり明るい声をかけた。

「今ごろ出社ですかwww鰐川わにがわさんwwww」

「今日も遅刻だぞ! ルリ子!」

 そして、なぜかタケシはアゴを突き出し猪木顔で大きな声をかける。

「今日も元気ですかぁぁぁぁぁ! ルリ子さん! 元気が一番!」 

 そう、この女の名は鰐川わにがわルリ子、このハイクショップの事務員である。

「うるせえよ! 糞タケシっ!」

 ちなみに、今の時刻は夜の8時59分。

 そして、ハイクショップの営業時間は一応、夜の9時までとなっているwwww

 ギリギリセーフ!

 

 でもって9時1分、すでに帰り支度を整えたルリ子は仕事終了のタイムカードを押そうとしていた。

「で、あの入り口のクソどもは何なんだよ! クソ! クソ! クソ!」

 だが、漂白剤5箱とクエン酸洗剤5袋、そして、石鹸5個を両手に抱えているせいで、どうにもタイムカードがレコーダーの口にうまく入らないのだ。

 というか、出社した理由は、これらのモノを職場からガメて持って帰ることだったらしい。

「クソ! クソ! クソ!」

 ついに、ルリ子のイライラはついに頂点に達したようで、

「このクソ野郎が!」

 ガシャン!

 回し蹴りで思いっきりタイムレコーダーを蹴り飛ばした。

 そのタイムレコーダーはまっすぐに本郷田ほんごうだタケシに!

「元気があれば何でもできる! いくぞー! 1! 2! 3! だぁーーー!!」

 ばきっ!

 大きく手を突き上げているタケシの顔面にクリーンヒット!

 タケシの顔面は粉々に砕け散るタイムレコーダーとともにも砕け散っていたwww

 吹き飛ぶ黒い巨体!

 大きくさけるタケシの額!

 飛び散る鮮血が店の中を赤く染めていく!

 
 第630話 立花ハイクショップ(1) より

令和6年4月18日の昼飯

本日、食したカップラーメンはこちら!

 

エースコック

「旨 信州わさびそば」

だぁぁぁぁぁぁ!

 

早速! いただきます!

おっ! 意外とワサビの香りがしますね。

 

 

しかし、ふと思ったんですが……

ワサビうどんって無いですよね。

いや、冷やしうどんにワサビを入れるのはありますが、温かいうどんにワサビを入れるのはお目にかかったことがない。

ソバがいけるんだったら、うどんもいけるんじゃないのかと。

だったら、ラーメンはどうだろうか?

ググってみたら、意外や意外www

ラーメンはあったんです。

セイコーマート山わさび塩ラーメン

でも、これはさすがに地元のスーパーでは売ってないなwww

 

ということで、今日は「ソバ」つながりのお話を。

 

kakuyomu.jp

 

 ――俺みたいに後悔し続けるか……

 モーブは血が垂れる己が手のひらを見ながら、薄ら笑いを浮かべていた。

 そう、あの時に俺が、もっと、オキザリスの手をしっかりと掴んでいれば……

 

 まだこの聖人世界が、融合国など8つの国に分かれる前の話である。

 

 王になる前のオキザリスは片田舎のソバ屋で働いていた。

 当時16歳の美しいオキザリスは、当然、そのソバ屋の超売れっ子看板娘であった。

 嫌味のない笑顔。

 健康的な汗。

 コマネズミのように懸命に働く姿は、きっと、お嫁さんにしたいランキングでもあれば堂々の2位にランキングされてもおかしくはなかった。

 

 そんなオキザリスは超人気者。

 モーブ、アルダイン、史内の三人もオキザリス目当てでソバ屋に足しげく通っていたのである。

 あっ! 当然、この時の三人も騎士ではなくてただのオッサンだからね!

 

 当時40歳ぐらいのオッサン三人組は店に入るや否や木目調の汚いテーブルに腰かけた。

「今日も繁盛しとるな!」

 その一人であるモーブがオキザリスに声をかけながら、壁にかかるメニューに目を通す。

 

「モーブさんたち、こんにちは!」

 お水をテーブルに置くオキザリスは、いつものように満面の笑顔でモーブ、アルダイン、史内の三人を出迎えた。

 

「やっぱりオキザリスの笑顔を見ると元気になるわ」

 モーブと伴に座ったアルダインも自然と笑顔になっていた。

 

「そう? なら、このニコニコ笑顔で銀貨3枚ね!」

「えー! お金とるの?」

 銀貨三枚と言えば、日本円にして約3千円である!

 高っ!

 どこぞのバーガー屋さんは、スマイル0円だぞ!

 

 笑いながら手をひらひらさせ、お金を催促するオキザリス

 アルダインは渋々、銀貨三枚をテーブルに置いた。

 

「ありがとう! アルダインさん大好き! ということで、ご注文はいつものでいい?」

「あぁ、いつものかけそばで」

「店長! かけ3つ! 天ぷら全種類もりもりで!」

 

 その注文に驚く三人組はオキザリスを見上げた。

「えっーーーーー!」

「えっーーーーー!」

「……!!!!」

 

 少々涙目のモーブは、何とか注文を取り消そうと頑張った。

オキザリスちゃん! 天ぷら全種類入れちゃうの? そんな大量にはドンブリの上にのらないでしょ!」

 

 だが、アルダインは既にあきらめモード。

「もう……それ……かけそばじゃなくて……天そばだから……」

「……↓」

 史内に至ってはだんまり……って、これはさっきからか……

 

 胸の前でお盆を両手でだき抱えたオキザリスは、わざとらしく上目遣いでモーブたちを見つめた。

「ダメ?」

 

 顔を赤らめて目を泳がせるモーブたち。

「いやぁ、ダメってわけではないけど……」

「全然、OK! OK!」

「……v」

 

「店長! 追加オーダー入りやした! お持ち帰りの天ぷら盛り合わせ150個で~す!」

 咄嗟にオキザリスの手を掴んだモーブ。

「……それのお勘定も当然、ワシらだよね……」

 すでに、その目は少々涙目になっていた。

 

 再び、オキザリスは上目遣いでモーブを見つめた。

「モーブさん? もしかしてダメ?」

 

「大丈夫! 大丈夫! このモーブに任せなさい!」

 顔を赤らめたモーブはオキザリスを掴んでいた手を放して、照れるように頭をかいてその場を取り繕った。

 

 掴まれていた手がフリーになったオキザリスはチャンスとばかりに微笑んだ。

 その場でクルリと回転するオキザリスとおぼん!

 その軌跡はまるで汚い蕎麦屋の床の上に美しい魔方陣を描くかごとく軽やかであった。

 

 

 瞬間、モーブたちは固まった!

 というのも、このオキザリスの動きは、まさしく最上級魔法の詠唱パターン!

 

 まずい……

 これはまずい……

 これを食らえば一撃即死間違いなしなのだ!

 

 そんなオキザリスが魔方陣の中心でピタリと止まった。

 それと同時に、ついに最上級魔法の一言が発せられたのであった!

 

「店長! またまた追加オーダー入りやした! そばつゆタワー入りま~す♥」

 

 その途端、おぉぉというどよめきが店内から沸き起こった。

 それに合わせるかのように、ソバを運んでいたアルバイトたちが満面のビジネススマイルを浮かべてオキザリスの元へ急いで集まってきたではないか。

 

 大勢の笑顔の中心でオキザリスの最上級魔法の詠唱が続いていく!

「そばつゆコール! 入りま~す♥」

 

 ワン♪ ワン♪ ワンこのわんこそば♪

 ニャン♪ にゃん♪ ニャンこのにしんそば♪

 ポンポコ♪ タヌキはタヌキそば♪

 女ギツネそばで煮込みます♪

 ボッタお客の怒り声! そんな衝撃ソク吸収!

 ココは蕎麦屋のアブソーバー!

 ハイ! ハイ! ハイハイハイッ♥

 

 リズミカルな手拍子の元、タワー状に組まれたドンブリの上部からは蕎麦屋の店長によってつがれたソバつゆがドブドブと流れ落ちていた。

 そ~れ! それ! それ! ソバつゆだぁ~♪

 

 暗い空の下、店を出た三人組は身震いをしていた。

 ぴゅ~ぅぅぅ

「サブい……」

 財布の中身どころか身ぐるみまで奪われた三人組はパンツ一丁で震えていた。

 

「モーブ、あの時、なんで手を放したんだ……」

「……」

 

 このソバ屋……下手なキャバクラよりもぼったくりである。

 そうここはぼったくりソバ屋「clubショック! アブ蕎~麦~ソーバー」なのである。

 

「モーブ、お前が、オキザリスの手を放さなければ、そばつゆタワーはなかったんだぞ!」

「アルダイン! そう言うお前が一番ノリノリだっただろうが!」

「……(泣)」

 

 だが、そんなひどい扱いをされたとしてもモーブたちは、この店を訴えることはなかった。

 それどころか、凝りもせずに給料日になると、再びこの店に通うのである。

 この三人は、そんなにオキザリスがお気に入りだったのだろうか。

 確かにそれもある。

 それもあるのだが、誰もが皆、オキザリスが客から奪ったお金の使い道を知っていたのであった。

 

 このころの聖人世界は荒れていた。

 荒れていたというよりも、壊れ始めていたのだった。

 

 引き裂かれる空は、いつも暗く雷鳴がとどろいていた。

 徐々に大地は崩れ、まるで泥水にながされるかの様に壊れた大門へと吸い込まれていたのであった。

 

 第576話 0ポイント より

令和6年4月17日の昼飯

本日、食したカップラーメンはこちら!

 

エースコック

スーパーカップ1.5倍 
「濃コクとんこつラーメン」

だぁぁぁぁぁぁ!

早速! いただきます!
 
筋肉痛で全身が痛い。
キーボードをタイピングするだけで骨がきしむ感じwww
 
というのも、2週間前に交流バレーボールなるものに参加したのだ。
直後から全身の筋肉が悲鳴をあげていたのであるが、ここ最近、落ち着いたと思っていた。
だが……甘かった……
そう、オッサンになると筋肉痛が遅れてやってくるのだ……
十年前までは3日ほど遅れてくるぐらいだった……
数年前までは1週間ほど遅れ……
ついには2週間遅れでやってくる……
 
もう、結構、憂鬱になるのよ……これ……
 
そうだ! 筋肉痛休暇を申請してみようか!
 
ということで、今日は「憂鬱」つながりのお話を
 

kakuyomu.jp

 

 パンツ一丁の男が廊下を一人で走っていた。

 そう、それは着ぐるみを脱いだタカト少年であった。

 

 タカトはトイレから飛び出すと、ケテレツに追いつかれないように懸命にダッシュしていたのであった。

 

 ――おいおい、タマホイホイはどこだよ。

 

 しかし、お目当てのタマホイホイの在処は全く見当がつかない。

 今のタカトはただ、あてもなく廊下を走っているだけだったのだ。

 

 走りながら壁や窓といった所を見回すが、タマホイホイは見つからない。

 そりゃそうだ、やみくもに探して無くした物が簡単に見つかるのなら、万事屋よろずやキンちゃん必要ないのである。

 

 ――そういえば、あいつ……タマホイホイはソフィアが持っているとかって言ってたな。

 

 ならば、簡単なことではないか。

 そのソフィアを探せば万事解決なのである。

 

 ――俺って天才!

 

 そうと分かれば、ソフィアのところへレッツゴー!

 

 ――早くタマホイホイを回収しないと!

 タカトの気持ちだけが妙に焦っていた。

 

 ――あれの正体がバレようものなら、俺の天才としての評判が……

 うん? 天才? だれが?

 もしかしてタカト君の事?

 自分で言っちゃう?

 言っちゃうのぉ~

 ぷっwww

 

 まぁ、そんなことはどうでもいい。

 というかこの先、タマホイホイの正体の事で、権蔵やビン子にずっといじられるのだけは避けたいのだ。

 

 毎朝、毎朝、食事のたびに、権蔵がにやにやしながら言うのである。

ティッシュはちゃんとごみ箱に捨てたのか?」

 その横で、ビン子がまるで汚いものを見るかのような目で見るのだ。

「ちゃんと手、洗った?」

 こんな事が永遠に続くようでは正直たまったものではない。

 想像しただけでも憂鬱になる。

 

 しかし、タマホイホイをソフィアが持っていることが分かったとしても、肝心のソフィアがどこにいるのかが全く分からない。

 ――これは困った……困った……コマーシャル……

 

 はい! コマーシャル入りま~す!

 

 この~気♪ 何の気! きになる気♪

 見たこともない気ですから~♪

 

 いや、この気はどこかで感じたような気がする!

 

「忙しそうじゃな!」

 急にタカトの背後に現れた気は、女の声を発した。

 

 

 !?

 それも若い女! というよりも、子供か?

 走り続けながらタカトは、勢いよく背後を振り向いた。

「お嬢さん! こんなところでどうしました!」

 そして、その声の主へとラブコール!

 

 タカトは、前髪を手で掻き上げながら、背一杯格好を決めた。

 ――フッ! 俺ってイケてる!

 

 しかし、今のタカトの姿はパンツ一丁のド変態である。

 どんなに恰好をつけようが、変態は変態のままである。

「お前……ついに、暗黒面に落ちよったか……」

 年のころ5歳ほどのロリロリ幼女がプカプカと浮いていた。

 

――暗黒面だと! この野郎!

 アッカンベーをきめるタカト君

「ベーダ! まだ俺は穴金あなきんを隠している状態だ!」

 

 突然止まったタカトが、これみようがしに腰に手を当て振りまくる。

 その様子は、まるで某テレビアニメで出てきた野原ひ〇しのおしり剣の逆バージョン!

 名付けてち〇こ剣!

 

 ロリロリ幼女の金色の瞳が、まじまじと揺れるパンツを見つめていた。

「そのライトセイバー……小さいのぉ……ちびっこ剣か?」

 

 フゴっ!

 痛恨の一撃!

 タカトの心に無邪気なる毒息が吐きかけられた!

 ピコーン! ピコーン! ピコーン!

 瞬時に下がるタカトのHP!

 活動限界! シュン↓

 タカトの腰の動きがピタリと止まっていた。

 

 こいつは悪魔か?

 シス卿か!

 

 いやいや! この幼女、目が金色と言うことは神様なのか。

 

 ロリロリ幼女の神様は、固まるタカトに目もくれず、辺りをきょろきょろと見渡した。

「やっと、あの貧乳女神のやつ、離れおったか!」

 

 貧乳女神とはビン子の事だろうか? いや、それしかないだろう。

 だが、今の傷心のタカト君にとってはどうでもいいこと。

 ビン子が貧乳なのは今に始まったことではないのだ。

 それよりも、自分……

 ちびっこ剣って……

 ――そんなに俺の小さいのか……

 

 どうやら、このロリロリ幼女の神様は、ビン子の気配がなくなったことを確認して、タカトのもとに姿を現したようである。

 

 心が折れたタカトが、涙目で訴えた。

「お前は誰だよぉ! お前のような幼女は知らんわい!」

 

「あんなに激しく口づけをかわした仲だというのにつれないのぉ……」

 

「誰の事だよ! 幼女との口づけなんて記憶にないわい!」

「お前! ワシが分からんのか! ミズイじゃよ! ミ・ズ・イ!」

 

 ふっ!

 鼻で笑うタカト君!

 遂に今、タカトの反撃のターンが始まった!

 

「お前なぁ、自分の胸見てみろよ。そんなペッタンコでよく言えるな」

 タカトは、バカにしたような目で目の前の幼女の胸を指さした。

 

 

 そうである、ミズイと言えば美魔女のマダム。

 胸はエメラルダに引けを取らない超巨乳である。

 だが、目の前の幼女は、蘭華と蘭菊と同じぐらい。いや、ビン子とほぼ、どっこいどっこいといっても過言ではないほどの無乳である。

 

 幼女は自分の胸を見つめ、胸のあたりの布をつまみあげた。

「いやぁ、あの時は、そのぉ……キスだっただろ。生気を吸いすぎてな、一気にここまで若返ってしまったのじゃ」

 

 はい?

 って……

 

「吸いすぎって、何やねん!」

 ――もしかして俺って、必要以上に生気を持って行かれたってことなんでは?

 

 そんなミズイが急にもじもじとし始めた。

 

「ワシにとっても初めての……だから、ちょっと気持ちよくなってしもうて……」

 

 赤らめ顔でうつむき、もじもじとしている幼女。

 なんか萌えるわぁ。

 

 これが、仮にあの老婆の状態でもじもじしていたら、正直辛い!

 だが、幼女なら全然OKだ!

 

 といって、もとは、あの老女ですけどね……

 

「まぁ、いいや、お前、神様だろ。ちょっと手伝ってくれ。探しものがあってな」

「ほう、ワシに頼みごとか! 何でも言ってみぃ! その代わり……また……その……」

 また、もじもじし始めるミズイちゃん!

 

 まじで、萌えるぅぅ!

 

 えっ! タカト君、君はロリコンだったのか?

 おいおい! 記憶の中の金髪の巨乳女神はどうするんだよ!

 

 第283話 コマーシャル入りま~す! より

令和6年4月16日の昼飯

本日、食したカップラーメンはこちら!

 

日清
出前一丁

おいしいワンタン入り

香りまでおいしい!ごまラー油

ごま約1000粒分のセサミン入り

 

だぁぁぁぁぁぁ!

 

早速! いただきます!
 
うん! やっぱりお湯の温度は98度に限る!
 
ポットを変えてからというもの、電源を入れると設定温度が90度になるのである。
この温度でカップ麺を作ると麺が少々固いのだ。
なので!
こそっと温度を98度に戻してみましたwww
 
バレるかな?
気づくかな?
 
と、少々心配になりましたが……だーれも!全く!気づきません!
確かに、会社のポットの温度が98度か90度かで目くじらを立てる奴はおらんわなwww
大体、お客に出すお茶だって、湯を冷ましてから出していたのでは時間がかかりすぎるから、ポットから直接ジャーのわけでして。
そうなると、味なんか関係ねぇ! ってことになるのです。
 
ということは!
 
一番大事なのは俺のカップ麺ということになるのではないでしょうか!
 
でも……毎日毎日、設定温度を変えに行くのは面倒なんですよね……
電源入れたら、最初から98度にできんもんかね……コレ……
 
ということで、今日は「ポット」つながりのお話を。
 
 

 これから慰霊祭が始まろうとする町の中心は人々が集まり騒々しかった。

 しかし、その中心と覇真反対の暗い闇の中は、ただひっそりと静まりかえっていた。

 そんな暗い空間の中を、小さな明かりがゆっくりと揺れながら浮かび上がっていく。

 

 その光は、タカトたちの荷馬車にぶら下げれたランプの明かり。

 タカトたちは今、第六の門から少々離れた小高い丘をのぼって、、頂上を目指している最中だったのだ。

 だが町中の人たちから見る丘は遠く、もう暗くて何も見えなかった。

 そんな暗い空間を蛍の光のような小さな明かりが揺れているのがかろうじて見えるだけだったのだ。

 

 丘の頂上に続く道はむき出しの土でデコボコだった。

 そんな暗いあぜ道を照らし出すランプは、荷馬車が進むたびに大きく揺れ動いていた。

 ランプの光が揺れるたびに、道の脇にむき出しになった大きな石の影が伸び縮みする。

 それはまるで、闇の中に何か異質な生き物たちがひっそりとうごめいているようでもあった。

 うごめくものは、タカトたちにつかず離れず、常にを取り囲む。

 隙さえあればタカトたちをすぐさま襲うかと伺っているようにも思えた。

 

 

 しかし、なぜタカトは、こんなうす気味の悪いところをのぼっているのであろうか。

 というのも、権蔵に教えられた花火の見物スポットへビン子を連れて行こうとしていたのである。

 

 ドーン

 

 頂上に着いたタカトたちの目の前で光の輪が広がった。

 夜空に飛び散る無数の火花が輝く尾を引きながら散っていく。

 そして、しばらくして丘へと届く音が空気を震わした。

 離れた丘の上から見る花火は、神民街を隔てる大きな城壁に邪魔されることもなくその輪郭をすべて見ることができた。

 

 だが、ここから見る花火は少々小さい。

 いや小さすぎた。

 だがしかし、目の前に映る光景は、神民街の街並みが作り出す光の海に打ち立てられた光の柱のように幻想的にも思えた。

 

 

 そんな光景を荷馬車に座る二人は肩を並べて眺めていた。

 やさしい夜風の中に、時折聞こえる虫の音が心地よさを誘った。

 だが、それよりも先ほどからタカトの鼻先をほのかにかすめるビン子の香りのほうが心地よかった。

 

 そんな香りが急に強まった。

 ビン子がタカトにそっともたれかかったのである。

 近づくビン子の黒髪。

 ビクッとするタカトの頬には、まるでビン子の体温が伝わってくるかのようであった。

 

 だが、タカトは動かない。

 ビン子を肩に手を回すわけでもなく、ただただじーっと小さく背を丸めながら、相も変わらず無言で花火を見ているだけなのだ。

 

 そして、ビン子も口を開かない。

 こちらも、ただただ黙ってタカトに寄りかかっているだけなのである。

 

 まるでそんな二人を見ている周りの方が緊張でもするかのように、あたりはシーンと静まり返っていた。

 そんな無音の空間に二人の鼓動の音だけが響いていくるような気がした。

 

 ビン子はつぶやいた。

「次、上がらないね……」

「あぁ……」

 そっけないタカトの言葉。

 ドーン

 

「ねぇ……なに怒ってるの……」

「別に……」

 

「言ってくれないと分からないよ……」

「……」

 

「このままじゃ、寂しいよ……」

「……」

 

「……」

 暗闇の中でビン子のすすり泣く声がかすかに聞こえた。

 

 それに応じたのか、タカトは荷馬車につけられたランプを取ると自分の手元へと近づけた。

 光に照らし出されたカバンの中をゴソゴソとあさりだすと、中から一枚の紙きれを取り出してた。

 その紙きれは、きれいな花柄の模様で装飾されたチケットのような券であった。

 「うんっ!」

 何も言わずに、その券をビン子へと突き出す。

 

 「かわいい……」

 それを受け取るビン子。

 ランプの明かりに赤く照らし出された手作りの券を見ながらビン子は、手で涙をぬぐった。

 そんな一粒の涙がぽとりと券の上に落ちると、花の模様の上にうっすらとしたシミを広げていった。

 

 でも、なんかこの花の模様……どこかで見たような気が……

 というか、涙のシミ以外にも何か別のシミもあるようなのですが……

 きっと気のせいなのでしょう……

 

 その券の真ん中には、大きくタカトの汚い字が書かれていた。

『何でも一つ願いをかなえる券(お金がかかるものは却下です!)』

 

「今日、俺たちが出会って10年目の日だろう」

 まるで照れを隠すかのように夜空を見上げるタカトがつぶやいた。

 

「うん」

 ビン子はほほ笑みながら、券を見つ続けていた。

 ――でも……実は11年目なんだけどね……もっと言うならば、出会った日はもう少し先なんですけど……

 でも、今はそんな些細なことはどうでもいい。

 自分の事を思ってタカトがこの券を手作りしてくれたのだ。

 そのことがうれしい。

 そんな些細なことがうれしいのだ。

 いまやビン子の目からは、先ほどまでの悲しみにくれていた涙とは別の、歓喜の涙であふれていたのである。

 

「……ありがとう」

 両手でぐっと目を押さえるビン子。

 

「で、何がいい?」

 相変わらず照れているタカトは、いまだビン子に目を合わそうともせず、その実行すべき内容を尋ねていた。

 

 ビン子が意地悪そうな笑みを浮かべる。

 だが、いまだ潤み続けていた瞳からは、笑顔によって盛り上がった頬によって涙が押し出されこぼれ落ちていた。

 

「うーん、じゃぁ、キスして!」

 

 ⁉

 その言葉を聞いたタカトは固まった。

 

 ――キス? キスと言えば接吻のことですか?

 童貞のタカト君。当然、今までの人生でキスなどと言った行為は全くしたことがなかった。

 イスや帙簀ヂスを作るためにニスは使ったことはある。止水シスい栓を壊すミスもした。リスにヒスチジンをぶち込んだこともある!

 だが、キスはない。「キ」だけはやったことがなかったのである。

 

 ――キスって、どうやってやるんだよぉぉぉぉ!

 さっきからタカトの黒目あっちこっちにせわしなく泳ぎまくっていた。

 

 催促するかのように顔をタカトに向けて、目を閉じるビン子。

 

 それを見たタカトはついに意を決した。

 顔を真っ赤にしたタカトは口を突き出す。

 もうその様子は、明らかにタコそのものwww

 

 そんなタコの口がビン子の唇に近づいていく。

 あと、唇の感触まで、10cm!

 

 あと、5cm……

 

 2cm……

 

 ……8cm

 なんで、戻っとるねん! この根性なし!

 

 仕方ない……

 仕方ないのだ……

 童貞のタカトにとって最後の数センチは、とても勇気がいることなのだ。

 

 あと少し……いやいやいや……

 これはチャンス!……しかし、いいのか? 相手はビン子だぞ……

 いやちょっと触れるだけだって……

 いやいや、ここは男らしく、ぶちゅーっとベロまで!

 

 そんなタコの口が伸びたり縮んだりしていた。

 

 じれるビン子。

 待っていても、いつまでたってもキスが来ないのだ。

 ――何してるのよ……

 そんな、ビン子が目を開けた。

 

 

 そこには、目を血ばらせたタコのような異様な生き物が!

 興奮気味に鼻息を荒くして、口を伸ばしたり縮めたりしているではないか!

 もしかして、暗闇の中に潜んでいた魔物?

 いや、どうひいき目に見ても変態である。それも、超ド級の変態。

 緊張で醜くゆがんだタカトの顔面が、置かれたランプの光の中に浮かび上がっていたのであった。

 

「ぎゃぁーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 ビシっ!

 反射的に手が出てしまった。

 というか、女の防衛本能が発動してしまったのだ。

 瞬間、ビン子のハリセンがタカトの頬を捕えていた。

 

 ほぎゃぁっ!

 

 そのハリセンの衝撃で赤きタコの顔がさら歪んでへっこんだ。

 だが、そもそも赤らめた顔に、しばかれた赤き跡がついたところで、今一よく分からない。

 だが、タカトにとってこれは救いだった。

「何するんだよ!!」

 大げさに騒ぎ、懸命に照れをごまかしていた。

 

「ごめん、ごめん……」

 そう、笑うビン子はタカトの顔に手を添える。

 そして、優しくおでこにキスをした。

 

 ドーーーン

 

 夜空に上がった大きい花火が、暗い丘の地面に重なり合う二人の影を映し出す。

 虫たちもそんな二人に気を使ったのか音をひそめていた。

 無音の空間。

 

 いつしか、あれほどまであたふたしていたタカトは静かになっていた。

 というのも、さきほどから額に触れる唇を通してビン子の体温が伝わってくるのだ。

 心地いい……

 いったいどれだけの時間が経ったのだろうか

 いや、このまま止まってくれてもいい。

 

 そんなビン子の唇がゆっくりと離れていく。

 

 少々残念そうなタカトはビン子にしどろもどろになりながら尋ねた。

「あのですね……キっ……キッ……キスと言えば……く・く・唇ではないでしょうか……?」

 

 それを聞いたビン子の顔は照れるかのように真っ赤に染まっていた。

「……また今度ね……」

 まぁきっとそれはランプの明かりのせいなんでしょう。

 

 荷馬車の上でスッと立ち上がったビン子は、これでおしまいと言わんばかりに大きく伸びをした。

 そして、ランプの光の中でしゅんとしおれているタカトを見下ろした。

 

「さぁ、帰ろ。じいちゃん待ってるしね」

「……うん」

 

 ドーン

 パラパラパラ

 未だに、神民街の上では花火が上がっていた。

 
第134話 慰霊祭(3)  より
 
 

令和6年4月15日の昼飯

本日、食したカップラーメンはこちら!

 

徳島製粉
「金ちゃん ヌードル」

 

だぁぁぁぁぁぁ!

早速! いただきます!
 
せっかく書いたブログが消えた!
しかも、復旧もなしwww
 
やる気が失せたぁ~
完全にうせたぁ~
せっかく聖徳太子まで調べたのに……完全にリセットwwww
 
ということで、今日はここまで!
 
なので、当然今日は「聖徳太子」つながりのお話じゃぁwww
 

kakuyomu.jp

 

 だが、カルロスが恐怖したのはそんなグロテスクな光景ではない。

 これでもカルロスは歴戦の勇者。

 魔物の臓物など手で引きちぎって投げ捨てることなど造作もない。

 それどころか、女子たちがキャーキャーと言って全く役に立たないカエルの解剖の授業で一人率先して内臓を部位ごとに細かく切り分けるオタク君よりもてきぱきと作業するのである。もう、その速さと言ったら一瞬! 秒の世界! もはや匠の領域ですよwww

 ならば……カルロスは何に恐怖したというのだろうか……

 

 そう、二つに分かれたそれぞれの体の断面から垂れ落ちるゲルゲの内臓がウネウネとミミズのように動いているのだ。

 いや、内臓だけではない、脳みそや血管といったあらゆるものが何もない空という空間に伸びてく。

 それはまるで無数に伸びる触手のよう。

 だが、それらが互いに絡まり、一つにまとまりだすと肉の塊を作り出す。

 そして、ついには何もなかったはずの半身に元と同じような肉体を作り出していたのだ。

 

 空に浮かぶ二人のゲルゲ……

 そう、奴はコカコッコーの魔血をかぶり分裂したのである。

 しかもこともあろうか、完全に成熟した成人体でである。

 グレムリンというのなら、ここは芽キャベツから生まれる子供ギズモというのがオチじゃないのかよ!

 などと、カルロスが思ったかどうかは知らない。

 

 だが、それで終わりではなかった。

 宙に浮く二人のゲルゲは、再び空を飛び回るコカコッコーの首をつかんで跳ね飛ばしたのだ。

 ぐえぇぇぇぇぇぇえ♡

 共鳴するゲルゲの叫び声。

 そして、先ほどと同じように

 カシワ腹イグえぇぇぇぇぇぇえ♡ という絶叫とともにゲルゲの体がはじけとんだ。

 ちなみに柏原は芳江(よしえ)であるが、このお話しとは全く関係ないwww

 

 2つの体が3つ。

 

 3つの体が5つ。

 

 5つの体が9……17……33……65……

 だが、空にはまだまだコカコッコーの鳴き声がこだましている……

 

 そして、こともあろうか分裂し終わったゲルゲたちは城壁の上の守備兵たちを襲い始めていたのだ。

 守備兵たちはただでさえ、空から飛来するコカコッコーの相手で手一杯。

 そんなところに魔人であるゲルゲの攻撃が加わったのである。

 

 守備兵たちは恐怖する。

 ……魔物が魔人に……変わった……

 コカコッコーという魔物だけでも死にかけていたのに……

 よりによって、魔人に変わりやがった……

 しかも、これほどの数……どうしろと……

 というのも、進化した魔人は魔物よりもはるかに強いのだ。

 そんな畏怖にも近い既成概念が守備兵たちの頭の中には存在していた。

 いまやゲルゲの群れが城壁全体を覆うように飛んでいるのだ。

 

 突然飛来したゲルゲの攻撃に混乱し右往左往に逃げ惑う守備兵たち。

 だが、そんな守備兵たちは面白いように次々とゲルゲの爪の餌食になっていく。

 しかし、最前列に立っていた魔装騎兵たちが傷つき倒れていく仲間たちを守るかのように剣をきしませ、そのゲルゲの攻撃を食い止める。

 確かに……食い止めているのだが……やはり魔装騎兵らにも恐怖と疲労の色が濃くなっていた。

 おそらく、このままでは魔装騎兵たちの体力も限界を迎えることになるだろう……

 そして、いつかは魔血ユニットに装てんされているタンクの魔血が切れて、最悪……人魔症を引き起こしてしまうことだろう……

 そうなると、魔装装甲をまとった人魔まで暴れだすことになるのだ……

 もうそれは……地獄以外何物でもない……

 そんな血みどろの戦いが繰り広げられる城壁の上では、なすすべもない守備兵たちの終わらない悲鳴と、魔装騎兵たちの今生最後の雄たけびがこだまし続けていた……

 

 ――このままでは……

 そんな状況をカルロスは苦虫を潰したかのような厳しい表情を浮かべてにらみつける。

 しかし……

「この魔人……まさか……無限に分裂できるというわけではあるまいな……」

 というのも神民魔人は並みの魔人ではない。

 魔人がさらに進化して魔人騎士から「神民の刻印」を与えられし者たちなのだ。

 その強さ、一匹でも厄介なのに、それが無数に増え続けている……

 さすがに歴戦の勇者であるカルロスも恐怖せざる得なかった。 

 

 今や、空を舞うのは無数のコカコッコーではなく分裂したゲルゲの姿。

 そんな数のゲルゲの群れが、「は~い♡ 皆ぁ~♡ 全員集合~♡」という、掛け声のもと一所に集まりだしたではないか。

「さぁ♡ ガメル様のご命令通り、さっさとあの神民片づけてお仕事済ますわよ♡ じゃないと……ヒィィ!」

 四方から集まるゲルゲたちは、ついに黒い一団にまとまると一斉にカルロスめがけて降下しはじめたのだ。

「死ねやコラぁ♡」

「いてこますぞコラぁ♡」

「しゃぶるぞコラぁ♡」

 もうすでに、勝手気ままに叫ぶゲルゲの言葉は聖徳太子であっても何を言っているのか聞き取ることは不可能に違いない。

 

 空を覆いつくすほどに分裂を繰り返したゲルゲの群れ……

 それがカルロスめがけて一気に降下しはじめたのだ……

 これには、カルロスもさすがに立ち尽くした。

 

 

 そう、ここは城壁の屋上

 乗用車1.5台分ほどの石畳の幅は、なんだかんだといっても狭い。

 狭いうえに、ポツンと存在するカルロスという点に向かって無数のゲルゲの爪が集中したのである! 

 

 当然……

 

「ワタシのお尻に突っ込まないで♡」

「いいわ♡ もっと激しく突きまくってぇぇぇぇぇえ♡」

「しゃぶるぞコラぁ♡」

 などと、同士討ち……

 すでに数百もの数になっていたゲルゲたち。

 当然、最前列にいるゲルゲの尻をその後ろにいるゲルゲの爪が貫いていた。

 そして、その爪を突き立てているゲルゲの尻にもまた、その後方から迫まってきた別のゲルゲの爪がまるで『アワビにバナナをさしたやつとか、桃にキュウリをさしたやつとか……そんなチョー下品なメニューしか想像できないよ~ん』wwなどと、どこぞの神〇川県知事が不倫相手に送った卑猥なメールのように立て続けに行われていたのであるwww。

 以下、リフレインで叫んでいる♡

 

 どうして♡ どうして♡ 僕たちは♡

 出会ってしまったのだろう♡

 壊れるほど抱きしめた♡

 

 って……そりゃ……みんなが一斉に突っ込めば、そうなるわなwww

 でもってwww

 

 最後の春に見た夕日は♡

 うろこ雲散らしながら♡

 ボンデッドで死んでったぁ~♡

 

 ということで、互いに責め合うゲルゲたちの体。

 突き立てた爪を激しくピストン運動させるたびに血のうろこ雲をまき散らす。

 その血のりが、まるで接着剤のようにいくつもの体をピタリと張り付けるのだ。

 きっと……彼ら?の死にゆく瞳には、きれいな夕日が映っていたことだろう……

 って、もう、夕方かよ……時がたつのは早いものだ……

 と、しみじみとカルロスが思っていたかどうかは……

 って、もう夕方かよっ! ちょっ! これ不味くないか?

 「駐屯地の事はこのカルロスにお任せを!」って言った手前……

 これは非常にまずい!

 だって俺……まだ、魔人一匹もやっつけていないよ……

 神民魔人の一匹ぐらいの首をはねとかないと、駐屯地に帰還したエメラルダ様に対して『ちゃんと仕事しました』のアピールができないのだ。

 このままだと、エメラルダ様に「仕事しろ!」って、めっちゃ怒られてしまうじゃねぇの?

 ……

 ……

 ……まずいよ……まずいよ……超まずい!

 ……カルロスが恐怖したのは無理からぬことだったのかもしれないwww

 だって、エメラルダ様……怒ったら、めっちゃ怖いんだもん……

 

 ということで、カルロスはマジモードに入った!

 というのも、あれほどいたゲルゲの群れがすでに数十匹にまで減っていたのである。

 チャンス!

 というか、このままだと、こいつら勝手に自滅しかねない……

 そう、魔人どもはいかに進化したとはいえ、元は魔物。アホなのだ。

 だが、勝手に自滅してしまうほどココまでアホな個体も珍しい。

 これほど頭が悪くてもよく神民魔人になれたものだwww

 よほど主である魔人騎士ガメルが馬鹿なのだろうwww

 

 ……いや……

 ……そうではない……

 

 魔物の世界は力がすべて……

 強いものには絶対の服従が唯一のルールなのだ……

 すなわち、魔人騎士への反抗は己が命の消滅を意味している……

 おそらく……このガメルに対する絶対なる恐怖が、ゲルゲに無理な判断を急がせたのだろう。

 

 そう、今のゲルゲは一分一秒の時間が惜しかったのである。

 背後の草原の奥、すなわち魔物たちの本陣から立ち上る恐怖。

 神民魔人であるゲルゲだからこそ感じるのだ。

 今、ガメルは確実に苛立っている。

 これほどの大群をもってしても、いまだに命令が成就されていないことにいら立ちを覚えているのだ。

 

 彼?に科された使命……それは……

「必ずオイルバーンを手に入れろ!」

「えっ♡ ガメル様♡ 狙うのは……キーストーンじゃ……」

 一瞬、自分の耳を疑うゲルゲ。

 だが、魔の融合国内のガメルの居城、その暗い石造りの大きな部屋にぽつんと置かれた椅子から、ものすごい気迫が放たれ続けているのだ。

「もう一度言う! オイルバーンを必ず手に入れろ!」

 このガメルの強い一言が、目の前に並ぶ神民魔人たちの頭を無理やり下げさせた。

「かしこまりました♡ このゲルゲ♡ 命に代えても、そのオイルバーンとやらを手に入れてまいります♡」

 体を小刻みに震わせるゲルゲは、そう言うのがやっとであった。

 だが、もう下げた頭は前方から放たれる恐怖によって上げることすらできない。

 ――今♡、目を合わせば殺される……♡

 それほどまでのガメルの気迫、いや殺気がすごかったのである。

 

 しかし、そのオイルバーンとは何なのだ?

 ここに居並ぶどの神民魔人たちも、そのオイルバーンなるものが一体なんなのか全く理解していなかった。

 だが、今ここでガメルにそれを聞く勇気など持てる者などいやしない。

 それどころか、そのオイルバーンを手に入れることができなかっとしたら……

 おそらく……いや……確実にガメルによって殺されてしまうことだろう……

 それだけは、全員、瞬時に理解できていた。

 ――ならば♡、なんとしてでも♡、そのオイルバーンなるものを手に入れるまでヨ♡ 

 

 駐屯地の上空で飛ぶゲルゲ。

 その背筋を伝って一筋の冷汗が流れ落ちていくのを感じていた。

 もはやコカコッコーを突撃させるだけでは城門を開くのに時間がかかりすぎてしまう。

 ここで手こずれば地上部隊の突入も、当然、遅れてしまうのだ。

 だが、この突入の遅れの責任は、空を統べるゲルゲの責任であることは、だれが見ても一目瞭然だった。

 

 ――まずい♡ これでは確実に殺される……♡ ガメル様によって殺される……♡

 ゲルゲは覚悟を決める。

 ――ならばここは自分が……♡

 だが、どうにも魔装騎兵たる神民兵たちが邪魔なのだ。

 しかも、城壁の上にはひときわ偉そうな神民兵が一人、指揮を執っている。

 ――あれが♡……指揮官か……♡

 ならば、あの指揮官を潰せば、この駐屯地は落ちたのも同然ではないか。

 今までの遅れの責任を取り返すには十分な功績である。

 

 

 そう、あの時、全軍一斉攻撃をもって、この指揮官を打ち取っていれば確かに優れた功績で間違いなかったのだ……

 だが……どうにも功を焦りすぎた……

 おかげで、せっかく増やした分裂体の大部分を失ってしまったのである……

 私って♡ おバカちゃん♡

 

 だが、ここで引いていい訳はない。

 こんなところであきらめて帰るなどという選択肢は初めから無いのだ。

 こうなればせめてオイルバーンだけでも手に入れて帰らないと生き延びることはまずもって不可能……

 ならば!

「オイルバーンはどこだぁぁぁぁぁぁ♡」

 上空で叫び声をあげるゲルゲが、再び分裂を繰り返しはじめていた。

 ぐえぇるぐぐぇぇぇぇえで♡

 ?

 そして、先ほどと同じように

 頭がイグえぇぇぇぇぇぇえ♡

 ???

 だが……どうもゲルゲの様子が何かおかしい……

 

 先ほどまでと同じようにコカコッコーの首をはねては分裂を繰り返しているのであるが、増えた個体が意味不明の言葉を発し続けているのだ。

 まあ……確かに、さっきほどまでのゲルゲの会話が理解できていたかといえば、いまいち理解不能な部分もあった。しかし、それでもまだ、カルロスの耳には言葉として入ってきていたのである。

 だが、新しく生まれた個体たちの発する声は、もう言葉になっていないのだ。

 ぐえぇるぐぐぇぇぇぇえで♡

 じぃぉんぐぐえええええで♡

 がぁんだむむいかんでぇぇ♡

 なんでやねん!

 その奇声のボリュームは、コカコッコーよりもけたたましい。

 もう、大阪のおばちゃんの10倍ぐらいやかましい! いや、8倍ぐらいかな……

 というか……あれほど鳴きわめいていたコカコッコーの姿がほとんど見えなくなっている……

 その代わりに、狂ったように鳴きまくるゲルゲたちの姿が城壁の上を飛び交っていたのである。

 

 第20話 激闘!第六駐屯地!(7) カルロス vs. ゲルゲ  より

令和6年4月12日の昼飯

本日、食したカップラーメンはこちら!

 

日清の

「どん兵衛 天ぷらそば」

だし比べ 西

鰹と昆布のだしの旨み

 
だぁぁぁぁぁぁ!

早速! いただきます!
 
だし比べと書いてあっても、日ごろ食べている味と変わんない~♪
だって、ココは西側www西国だもん♪
というか、西日本で西の味を強調して売っても意味ないじゃんwwww
 
もしかしたら……東で売ってみたのだが、西側の味は全く受け入れられずに在庫で大量に残ったとか?
いやいや、東の味のほうこそwwwwアレでしょwwww
まあ、味覚は人それぞれなので、人様がどうこう言う話ではない。
 
だが、だし比べというからには比べたい!
だからこそ一つ提案なのだが、東西のカップ麺をセットにして売るというのはどうだろうか?
そうすれば、ちゃんとだし比べができる。
なに? 私のように一日で二つ食べるのは不可能だって?
ならば、シャブ屋のようにシャブシャブ鍋の中を二つに分けて二種類のおだしを楽しむみたいにカップの中を分けるというのはどうだろうか?
左は西のおだし。右は東のおだし。という具合に!
これなら女性の人だって食べきれる!
え? そんなことしたら原価がいくらになるのか分かってんのか!だって。
知らんがなwwwそんなことwwww
そこを工夫するのが企業努力というものでしょうがwwww
 
ということで、今日は「シャブ」つながりのおはなしを。
 

 だが、その瞬間、水たまりが中心に集まりだしたかと思うと、ピンクスライムの形にピョコンと戻った。

「やったぁ! よかったぁ!」

 女の子たちの声が一斉にそろった。

 

 一仕事終えたキャンディは、両手をおろし、肩をだるそうに回した。

「あぁ腹減った! 腹減った! 腹減った!」

 だが、おれは知っていた。

 目にたまった涙を、誰に見られることもなくこっそりこすっていたことを。

 ただ強がる弱い女の子なのだ、キャンディは。

 

 嬉しそうにグラスが再び俺の裸に飛び込んだ。

 そんなグラスを、うらやましそうに見つめるアリエーヌ。

 

 アリエーヌは思う。

 グラスなんて嫌いじゃ……

 マーカスも嫌いじゃ……なんでグラスに抱き着かれて拒まないのじゃ……

 マーカスはワラワだけを見てくれていたのではなかったのか。

 

 あの時もそうだ……

 

 算数の授業で7×6が解けなかった時……

 ワラワは笑いながら強がった。

「だって、計算なんて、ワラワがしなくとも、ばあやがしてくれるからの!」

 みんな笑って、相槌を打ってくれた。

「さすがアリエーヌ様!」

「そうですよね、ばあやさんがいれば、計算なんて必要ないですよね」

 そんな時、マーカスだけだった。

「バカはしんどいぞ!」

 ワラワに対してまっすぐに意見をしたのは。

 そして、放課後、誰も残ってない教室で二人は対峙したのだ。

 窓から差し込む夕日が、机を挟んでにらみ合う二人を赤く染めた。

 クッ! クッ! クッ!

 目をとがらせたワラワは不敵につぶやく。

 そんなワラワを見つめるマーカスの拳に力がこもる。

 まさに一触即発の空気。

 静かな教室に張り詰める緊張感。

 ワラワは最後の一声を、やつに撃ち放った!

「クク! ハチジュウイチ!」

 その瞬間、奴の顔が、満面の笑みに変った。

「言えたじゃないか! アリエーヌ!……姫……さま」

 そう、誰もいない教室で、マーカスだけがワラワに九九を教えてくれたのだ。

 バカにもせず、何度も何度も繰り返し。

 九九をすべて言えた時、ワラワに向けた笑顔は嘘だったのか……

 

 あの時もそうだ……

 学校の参観日。

 寄宿舎暮らしで久しく会う生徒と家族。

 久しく離れ離れになっていた家族との時間を取り戻すかのように、生徒のほとんどが、楽しそうに食堂で団らんをしていた。

 ほぼほぼ全員の親が、我が子の様子を見に来ている。

 とてもうれしそうに話す女子生徒。

 得意げに剣を振るふりをする男子生徒。

 にもかかわらず、ワラワは一人。

 仕方ない、ワラワの親はキサラ王国の国王じゃ。

 そうそう、学校になどこれるものではない。

 そんなことは分かっている。

 分かっているのじゃ……

 ワラワは、一人で父からもらった大切なうさちゃんのタオルをギュッと握りしめて食堂のテーブルに座っていた。

 寂しくなんかない……

 寂しくなんかあるもんか……

 いつもやかましく騒ぎ立てる取り巻きの女の子たちが、今日はいない。

 いつもはそんな女の子たちによって占領されて座ることもできない席が、今日に限って誰もいない。

 ワラワは、ぽつんと一人テーブルで食事をしている。

「ここいいか?」

 そんなワラワの前に、カレーが山盛りに盛られたトレーがドンと置かれた。

 見上げるとそこにはマーカスが立っていた。

「お前もぼっちか! 俺もなんだよ! ボッチ同士、仲良く食べようぜ! アリエーヌ!……姫……さま」

 ワラワは静かにうなずいた。

 こんな奴でもいないよりかは、ましだ。

 ざわつく食堂……

 笑い声が飛び交う食堂……

 家族のぬくもりがあふれる食堂……

 そんな中、一人でご飯を食べるのは、つらい……寂しい……

 まるで、氷の世界でテレビに囲まれてご飯を食べるかのよう。

 決して自分に向けられることがないと分かっている笑顔が、ワラワの心を冷たく凍らしていく。

 だけど、マーカスが目の前で笑ってくれていた。

 ガツガツとカレーにムシャブリつくたびに、米粒が飛び散っている。

 もう少し、落ち着いて食えないものかの……

 だが、それを見ていると、少し、心があったかくなった。

 まるで、先ほどまで凍っていた世界が、少しずつ溶けていくかのように。

 私は、一人じゃないんだ……

 

 そんな時、一人の母親が慌てて走ってくるとマーカスに声をかけた。

「どうしましょ、どうしましょ、どこかおむつ替えできる場所ありませんか?」

 その胸では泣き叫ぶ赤ちゃんの姿。

 それを見上げたマーカスは、咄嗟に言う。

「あっ! いいですよ! このテーブル使ってください!」

 母親はテーブルを見ると、はっと驚く。

 そして、後ろに後ずさると、膝をつく。

「これはアリエーヌ様、大変失礼いたしました。申し訳ございません」

 ワラワは何も言わずに、食事を続けた。

 だが、そんなワラワの食事の入ったトレーが突然浮かび上がった。

「邪魔だ! どけ! アリエーヌ!……姫……さま」

 マーカスが、自分のトレーとワラワのトレーを持って立ち上がっていた。

「何をするのじゃ!」

「さっさと机を開けろ、緊急事態なのが分からんのか!」

 膝まづく母親が、慌ててマーカスを止める。

「申し訳ございません……申し訳ございません……他を探しますゆえ……」

 それを聞いたマーカスは、その母親に言う。

「何おっしゃっているのですか、食事と赤ちゃん、どちらを優先すべきかは明白なこと、何も心配する必要はございません。こう見えてもアリエーヌ……姫……さまは、国民の安寧と健康を常に願っております。な! そうだろ! アリエーヌ!……姫……さま」

 そこまで言われて、ワラワも嫌とは言えない。

「勝手にしろ……」

 母親は、いそいそと赤ちゃんをテーブルの上に寝かしつけると、慣れた手つきでおむつを外す。

 外れたおむつには、カレーのようなもりもりうんこ!

 きっと、あれが気持ち悪かったのじゃろな……

 そのせいか、きれいなおむつに変ったとたん、赤ちゃんはキャッキャ! キャッキャ! と笑いだす。

「いいだろ、赤ちゃんの笑顔は、あれはお前に向けた笑顔だぜ……きっと」

 ワラワの横に立つマーカスがうれしそうにつぶやいた。

 赤ちゃんの笑顔を見ていると、先ほどまでのムカつきがすっと消えていくようだった。

 テーブルに戻ったワラワたちは食事を続ける。

 しかし、マーカス、先ほどおむつの中のカレーを見たというのに、よくカレーを食べられるな……

「えっ? だって、これカレーだぜ! カレー味のウンチだと食べるのはしんどいけれど、カレー味のカレーだぜ! 何を気にする必要があるんだ! まぁ、俺ならウンチ味のカレーでも食べる自信はあるがな!」

 意味が分からない……

 

 空になったトレーを持ってマーカスが立ち上がる。

 背中を見せたままつぶやいた。

「お前は一人じゃない……あの赤ん坊だってお前の国民だ……そして、俺もお前の国民だ……お前はみんなに守られている、そしてみんなを守らないといけないんだ。だから、そんな悲しい顔をするな! アリエーヌ!……姫……さま」

 ワラワ、小さくうなずいた。

 だが、ワラワは思った……お前だけでいいんだと……

 ワラワを見てくれるのはお前だけでいいんだと……

 

 そんなことを思い出していたら、いつの間にかワラワの目から涙がこぼれ落ちていた。

 

令和6年4月11日の昼飯

本日、食したカップラーメンはこちら!

 

東洋水産
マルちゃん
ごつ盛り
「コーン味噌ラーメン」
麺90g大盛(当社比)

 

だぁぁぁぁぁぁ!

早速! いただきます!
 
先日、X(旧ツイッター)で「これ以外のごつ盛り食べられましたか?」という質問をいただいた。
 
自分としては、ごつ盛りシリーズはあらかた食べた自信があったのだが、ふと思ったのだ。
そもそも、ごつ盛りシリーズは一体どれだけ種類があるのだろうか?と。
 
ということで、調べてみました。
東洋水産のホームページによると「ごつ盛り」シリーズは全11種類。
 

ごつ盛り きつねうどん

ごつ盛り 天ぷらそば

ごつ盛り ワンタン醤油ラーメン

ごつ盛り コーン味噌ラーメン

ごつ盛り 豚骨醤油ラーメン

ごつ盛り コク豚骨ラーメン

ごつ盛り 塩担々麺

ごつ盛り ちゃんぽん

ごつ盛り ソース焼そば

ごつ盛り 塩焼そば

ごつ盛り 油そば

 

だそうである。

 

うーん……「ごつ盛り きつねうどん」と、「ごつ盛り 天ぷらそば」は食べたことがないな。

というか、この二つ、近くのスーパーで見たことがないんですけどwww

 

ということで、今日は「シリーズ」つながりのお話を。

 

kakuyomu.jp

 

 そして、そんなフジコの背中を名残惜しそうに見るギリー隊長は思うのだ。

 ――あの女……オイルパン……いや、揚げパンが好きなのかな……

 そうだ!

 今晩のおかずは餅をやめて久しぶりにカレーパンにしよう!

 

 私の彼は♪♪ カレぇ~パン~♪ れました!

 パンパパ♪ パンパパ♪ パンパパ♪ パン♪

 チュパ♪ チュパ♪ チュパ♪ チュパ♪ 穴だ♪ パンパパパ~ン♪

 

 ……そんな次元だいすけお兄さんのような歌声が夕焼け空に響く中、タカト達の荷馬車は宿舎を離れゆっくりと家路についていた。

 そう、御者台の上では先ほどからご機嫌なタカトが鼻の穴に挿れた指先を前後させながら鼻歌を歌っていたのである。

 

 みんなぁ~♪ 一緒に体操はじめるよぉ~♪

 三度エッチ♪ 兄さん♪ 三度エッチ♪ 兄さん♪

 

 ――クソっ! 今頃ヨークの兄ちゃんは三度目かな……うっ! イクッ!

 ゴトっと大きく荷馬車の車輪が揺れた瞬間、クカトは鼻の穴から勢いよく指先を引き抜いた。

 ――ヤバイ! 奥で……やってしまった……

 その指先には何やらネバッとした液体がビロ~んと一本の白い糸を引いて伸びていた。

 あぁ……ごめん……クじゃなくてタだったね……突然沸き起こった暴力的快感にタカト自身も少々気が動転してしまったようなのである。

 ――(鼻の)穴の奥の大事な部分を激しく突きすぎて少々赤くなってしまったか……

 白い液に混じって赤玉がにじんだ指先を眺めながらタカトはズボンのすそでそれを拭くのだ。

 それを横目で見ていたビン子が叫び声をあげた。

「ちょっとタカト! 汚いでしょ! ティッシュで拭きなさいよ!」

「だって、俺、ティッシュ持ってないもん!」

 ズボンのポケットの中をこれみようがしに見せる。

 チャリーンと御者台の上に転がるコイン。

 どうやらポケットの中には先ほどもらった2枚の金貨とタカトの全財産である銅貨5枚50円、そして後はパンのクズしか入っていなかったようである。

 もう、ティッシュもハンカチもありゃしない……

 それどころか、お金も財布に入れてない!

 もう、コイツのほうがクズだと思うのですが……いかがでしょう。

 

 いそいそと銅貨をポケットにしまうタカトにビン子が興味ありげに尋ねるのだ。

「ねぇタカト、今日もらった金貨は何に使うの?」

 というのも、権蔵の作った道具の納品代は金貨一枚。

 だが、タカトの手には毒消しを駐屯地に運んだ分の金貨1枚が余分にあるのだ。

 そう、この金貨は権蔵の知らない金貨。

 タカト達が自由に使えるお金なのである。

 

 

「決まってるじゃないか!」

 当然に、そう答えたタカトは嬉しそうである。

「金貨一枚もあれば頑固おやじ印の極め匠シリーズの工具を買うに決まってるだろ! プライヤーとドライバーだろ。それとスパナ。う~ん、ぎりぎりカッターまで買えるか」

 すでにタカトの頭の中のスパコン腐岳は金貨一枚分にぴったりあうように購入すべき工具の種類の計算が終了している様子であった。

 ちなみに頑固おやじ印の極め匠シリーズの工具は、職人仕様のハイグレードモデル! 当然に、そのお値段も高いのである。まぁ素人のビン子にはコンビニで売っている工具と何がどう違うのか全く分からないのであるが。

 

 だが、ビン子は「そんな答えはすでに丸っとお見通しヨ!」といったところで、しらけた目をタカトに向けていた。

 ビン子にはなんとなく分かっていたのだ。

 どうせせこいタカトの事だ。きっと自分一人で全て使ってしまう気だろうことを。

 ただ、その使い道がムフフな本とかを買いあさるというのであればビン子も納得ができなかったであるが、融合加工の道具の購入にすべての金額をつぎ込んでしまうというのである。

 まぁ、それはそれでタカトらしいといえばタカトらしい。

 だけど、このまま引き下がったのでは自分もさんざん危険な目にあったのに納得がいかない。 

「ふーん。じゃぁ、私には何を買ってくれるのかしら」

 期待薄なのは承知の上でビン子は意地悪そうな質問を投げかけた。

 

 えっ……⁉

 ――もしかして、ビン子は分け前を寄こせと言っているのだろうか?

 タカトはしばらく固まった。

 すでに金貨一枚分の使い道はスパコン腐岳による決定事項である。

 ビン子に分け与える金など銅貨一枚も残らない計算なのだ……

 だが……このままビン子が機嫌を損ね続けていると爺ちゃんにチクりかねない。

 なにせ、爺ちゃんの言いつけを破って門外に出てしまったのだ。

 そんなことがバレたりしたら「このドアホが!」と雷が落っこちかねないのである。いや……雷だけで済めばまだいい……下手したら……半殺し?

 ――それは、マズイ……非常にまずい!

 ここはなんとしてもビン子の口をふさいでおかなければ……

 だが、どうする……

 もう、使える金は残っていない……アイナちゃんの写真集? イカン! あの写真集だけは絶対にダメだ! ならば……どうする……どうすればいいんだ……

 考えろ!

 考えろ! 俺!

 

 ピコーン!

 

 待てよ!……あるじゃないか!

 

 

 第120話 金貨をどう使うかは俺の自由だ!(13) より