本日、食したカップラーメンはこちら!
創業89年ファミリー食堂
埼玉県民のソウルフード
早速! いただきます!
赤パンチ?
ボクシングのグローブの事かいな?
ちなみにボクシングの赤と青の色分けは、格上が赤となっているようです。
すなわち赤はチャンピオンという訳です!
ならば、この赤パンチもチャンピオンに違いない!
ということはさておいて、赤パンチとは「麻辣醤に数種類の唐辛子をブレンドした辛口のもつ煮込み」の事だそうです。
まぁ、早い話もつ煮込みラーメンといったところでしょうか。
で……
モツは?
モツはどこにあるん?
モツがないと単なる煮込みラーメンやん!
というか、煮込んでないから、ただの赤味噌ラーメンやん!
ということで、今日は「パンチ」つながりのお話を。
「ところで、コウスケ。その恰好はどうしたの?」
どうやらビン子もコウスケのコスチュームが気になったようで、コウスケの手を外しながらそれとなく尋ねた。
「ああ、これですか!」
やっと聞いてくれたといわんばかりの嬉しそうな表情を浮かべるコウスケは、マントの襟を両手でピンと立て直す。
「実は、そこで仮面ダレダ―ショーをしてまして」
コウスケの指さす方向には一つのステージ。
それはアイスダンスのステージと対面するかのように広場の反対側に設置されていた。
当然、そのステージの観客はガキンチョで一杯!
それに対して、アイスダンスショーのステージはオバサンたちで一杯。
仕方ない。それぞれのお目当てが違うのだから……
えっ? お登勢さんの雄姿が、そんなにオバサンたちに人気があるのかだって?
そんな訳あるわけないじゃん!
まぁ、確かに、お登勢さんのことを好きか嫌いかと聞かれれば、オバサンであっても好きと答える人は確実に多いだろう。
だが、だからと言って、わざわざステージの上のお登勢さんを見たいかと聞かれるとついつい首をかしげてしまうのだ。
そんなセレスティーノを目当てにおばさんたちが群がっていたのだ。
「セレスティーノ様ァァァァ!」
「負けるな! セレスティーノ様ァァァァ!」
って、一体、いまセレスティーノの旦那は何と戦っているんでしょうかねwww
そんな声援に負けまいと、仮面ダレダ―ショーのステージの下からも子供たちが顔を真っ赤にしながら声を必死に張り上げていた。
「ダレダ―頑張れ!」
「負けるな! 仮面ダレダー2号!」
懸命な子供たちの声援を受けて、ステージの上では仮面ダレダ―2号が魔法少女と戦っていたのであった。
仮面ダレダ―は魔法少女のくりだす往復ビンタを掻い潜ると、自らの頭の上へと大きく回した掌底を思いっきり前へと突き出した。
「仮面ダレダ―48の必殺技の一つ! 出社三秒でサヨウナラ‼」
そんな手のひらからは高速の振動波が射出され……ているような気がした……
というのも、さきほどからその手はまるでサヨナラをするかのように小刻みに揺れているだけなのだ。
その様子はさながら仕事を投げ出して、今にもバックレようとする新入社員。
「仕事サボって、さ~せ~ん♪」
だが、魔法少女も負けてはいない。
ダレダ―の攻撃を予期していたのか、そのピンクの唇はニヤリと笑う!
「職務放棄は即死刑‼」
いつの間に着替えたのか知らないが、魔法少女の衣装はOL風のピッチリとした制服にコスチュームチェンジしていた。
魔法少女、いやOL風の美少女が赤いメガネの縁を中指で押し上げると、いきなり仮面ダレダ―に向けて一枚のコピー用紙を突き出したではないか。
「お前は既に有給休暇をすべて消化済みだぁぁァァ!」
突き出されたコピー用紙から発射された無言のプレッシャーが、今まさにステージから飛び降りようとしていた仮面ダレダーをぶちとばす!
バキ―ン!
会心の一撃ぃぃぃぃ!
瞬間、仮面ダレダ―のHPが活動限界のレッドゲージまで一気に減少した。
――な……ん……だ……と!
そんなものすごい衝撃を受けた仮面ダレダ―はガクリと肩を落とし、ついにステージの上に膝にをついてしまった。
子供たちと一緒にショーを見ていた大人たちなら、きっとこう思ったことだろう。
――おいおい……これはかなりのダメージだぞ……
――恥ずい……これはかなり恥ずいぞ……
――というか、お前……有給、全部使いきってたのかよwww
「「「俺なら、再・起・不・能wwww」」」
だが、子供たちにとって仮面ダレダ―はヒーローなのだ。
「負けるなぁぁぁぁぁ! ダレダぁぁぁぁぁぁ!」
ヒーローは不滅!
ヒーローは不敗!
「ダレダ―頑張れぇぇぇぇぇ!」
そんな子供たちの声援が、いままさに挫けそうなダレダ―の心を奮い立たせる。
――そう……俺はまだやれる……まだできるはずだぁぁぁぁっぁ!
なぜらなら俺は仮面ダレダ―2号!
悪に改造されし男!
膝をついたダレダ―の体が雄たけびと共に起き上がった!
「うぉぉぉおぉおおぉ!」
仮面ダレダ―! 復・活ぁぁぁぁぁつ!
「うぉぉぉおぉおおぉ!」
コウスケの指さす方向を見ていたビン子もまた、雄たけびを上げながらガッツポーズを突き上げていた。
ここから50m少々離れたステージの様子はかなり小さい。にもかかわらず、ビン子は食い入るように仮面ダレダ―の一挙手一投足に見いっていた。
そのビン子の異常なまでの熱気に少々呆気にとられていたコウスケは、はっと我に返りそれとなく声をかけようとした。
「……あの……ビン子さん……」
だが、ビン子は完全無視!
「……ビン子さん……あのですね……ボクの恰好は……実は……」
コウスケは今一度、自分のコスチュームを見せようとビン子の肩に手をそれとなく伸ばそうとした。
しかし、次の瞬間、その手がいきなり跳ね飛ばされたのだ。
そう、それは激しく上下しだしたビン子の右手によって。
まるで今の私に触れるんじゃねぇ! と言わんばかりに激しく上下する右手。
そのリズムに合わせてビン子がシャウトしていた!
「ダ・レ・ダ―! ダ・レ・ダ―! ダ・レ・ダ―!」
もう、どうしていいか分からないコウスケの手は行き場を失って固まったままだった。
そんなコウスケの肩にタカトが手をかける。
背後を振り向くコウスケの涙目には静かに首を振るタカトの姿が映っていた。
「コウスケ……今のビン子に言葉は通じない……唯一通じるとすれば、それはダレダ―に対する熱い情熱だけだ……」
その言葉を聞いたコウスケは大きくうなずくと目にたまった一杯の涙を手で拭う。
そして、なぜかビン子の横に並んで腕を突き上げだしたではないか。
「ダ・レ・ダ―! ダ・レ・ダ―! ダ・レ・ダ―!」
――って、お前のその格好……ダレダ―に対抗する悪の組織のツョッカーの首領の恰好そのモノじゃないかwww
タカトは一瞬そう思ったが、並んで大声を上げる二人を見ていると、もうどうでもよくなった。
そう、今のタカトの想いは、こんなバカ二人組ではなく、すでにガラポンの受付をしている巨乳のお姉さんに移っていたのだ。
――ああ……早くあのお姉さんのガラポンをパフパフと……いや、グリグリと……いや、ぐるぐると回したいなぁ~イヒヒヒ
その証拠に、今のタカトの口からはドバドバとヨダレが……
たれたー! たれたー! 垂れ落ちたー!
って、お前! アイナチャンの写真集を狙ってたんじゃなかったのかよwww
そんなステージの上では満身創痍の仮面ダレダ―がゆっくりと、だが大きく左右の手をまわしながら頭上へと上げていた。
まるでストロボ撮影の残影を引くかのような両の手が、頭の上に一直線に高くかざされた時、ついにダレダーが叫んだのだ!
「仮面ダレダ―48の必殺技の一つ!」
そして、振り上げた両手を勢いよく前へと振り下ろすのと同時に、目の前のOL少女、もとい魔法少女に対して渾身の土下座を放ったのであった。
「父ちゃんが魔人騎士に襲われて死んだので、
って、土下座かよwww
「おぉぉぉぉ!」
この攻撃には観戦していた大人たちが驚いた。
――その手が有ったか!
たいていの会社では忌引き休暇は有給休暇とは別勘定なっている。少なくともウチではそうだ!
既に有給休暇が尽きていても、親が亡くなったとあれば忌引き休暇を請求できるのである。
だが、すかさずOL風美少女のカウンターパンチ。
「お前の父ちゃんは! すでに3回死んでいる!」
地をこするように突き上げられたアッパーカットがダレダ―のアゴにモロにはいった!
バキ―ン!
「しまったぁぁぁぁぁぁ!」
再び会心の一撃ぃぃぃぃ!
ステージの空に放物線を描く仮面ダレダ―の体。
どシーン!
そんな体が、ついに地に沈んだ……
というか、お前! この「忌引き休暇」を3回も使ったのかよwww
そんな仮面ダレダ―を見る大人たちの視線はすでに白く冷たい。
ヒーローは不実
ヒーローは腐敗
真っ白な正義など、この世にありはしない……しないのだ……
そんな真実を知るということが大人となるということでもある……
今、仮面ダレダ―ショーを見ている子供たちも、そのうち気づく時が来ることだろう……
子供たちよ……大きくなれ!
仮面ダレダ―の屍を超えて、大きく育つのだ‼
「破れたり! 仮面ダレダ―!」
魔法少女がさっとOLのピチピチスーツを脱ぎ捨てると、蝶のメガネをかけたミニスカートのボインの女の子が現れた。
あれ? この娘は、もしかして……
「父ちゃんじゃなく……母……」
と言いかけた仮面ダレダ―の顔面に大きな白いパンツが飛んでくる。
「怪盗マネー48の必殺技の一つ! 岩清水!」
怪盗マネーのヒップアタックが仮面ダレダ―の顔面に炸裂したのだ。
そのまま倒れ込む仮面ダレダ―と怪盗マネー。
ミニスカートの下の白きパンツが仮面ダレダ―の顔面を押しつぶしていた。
この姿はまさに江戸四十八手の石清水!
女性が男性の顔にまたがってペロペロしてもらうというアレである。
しかし……残念!
仮面ダレダ―は仮面をかぶっているため、なめまわすことができないようだった。
「貴様ぁァァ! 仮面ダレダ―V3改造計画はどうしたぁァァ!」
怪盗マネーが怒声をあげながら股に挟んだダレダ―の頭をボコボコと殴っていた。
だが、仮面ダレダ―は仮面をかぶっているため、その拳はダレダ―にダメージを……
与えてた……
今やフルフェイス張りの頑丈そうな仮面ダレダ―の仮面がボッコボコ!
そう、怪盗マネーの両手には分厚いメリケンサックがつけられていたのだ。
しかもご丁寧に三重がさねwww
そんなメリケンサックが怪盗マネーの怪力で何度も何度も叩き込まれているのである。
いくら頑丈な仮面ダレダ―の仮面であっても、そうそう耐えきれるものではない。
「この仮面はクロト様に作ってもらったもの……この仮面がなくなったら……俺は……俺は……イグゥゥゥ……」
その打撃に耐えるダレダ―はパンツの下で悲痛なあえぎ声をあげていた。
「そんなもん知るか! ボケ! 死にさらせぇぇえぇ!」
いつもと異なる展開に慌てた司会者が、いそいでステージの上にかけ昇った。
「ちょっと! あなた! 何やってるのよ!」
そんな司会者はなぜかライダースーツに身を包む尾根フジコちゃん!
そう、今日のフジコちゃんは仮面ダレダ―ショーの司会のアルバイトをしていたのである。
というのも、オイルバーンの情報と引き換えに第六の魔人騎士ガメルから貰った大金も、バックやらエステやらと早々に使い切り無一文になってしまっていたのだ。
もう……今晩のカレーパンも買えません……
というか、
「もう‼ ステージが無茶苦茶じゃない! これじゃバイト代を貰えないじゃないのよ‼」
フジコは無理やり魔法少女の肩を持って引き離そうとするが、その腕の先で
「なんやワレ! 邪魔するな! いてこましたろか! コラ!」
魔法少女が恐ろしい形相ですごんでいた。
そう様子はまるでヤクザ! いや、ホンマもんの極道と言ったところ。
ひぃいぃ!
当然、カタギ(?)のフジコちゃんは恐れおののきビビりまくって尻もちをついていた。
「ごめんなさい! ごめんなさい! 冗談よ……冗談」
だが、スッと立ち上がった魔法少女は、こともあろうかそのフジコに狙いを変えた。
「往生せいや! このあばずれ女が!」
フジコちゃんに向かって勢いよく打ち下ろされる魔法少女の拳。
「いやぁん」
尻もちをついていた尾根フジコのライダースーツからはみ出す大きな胸の谷間がプルンといやらしく身もだえた。
だが、フジコはライダースーツを着ていても、残念ながら仮面ダレダ―のようにフルフェイスのヘルメットはかぶっていない。
そんな美しいお顔に、メリケンサック三段重ねが打ち込まれでもしたら……
もう……おそらく……ホラー映画ではなくて、スプラッター映画!
ボコっ!
ステージの上にメリケンサックが肉を打つ鈍い音が響いた。