令和7年12月5日の昼飯

 

本日、食したカップラーメンはこちら!

日清カップヌードル
辛麺
ポイントを貯めて当てよう
カップヌードルクエストⅡ 」
プレゼントキャンペーン

だぁぁぁぁぁぁ!

 

 

早速! いただきます!

今日の相手は──
日清カップヌードル「辛麺」。
ポイントを貯めて当てよう「カップヌードルクエストⅡ」……って書いてあるのだが。

……期限、25年1月31日。
──過ぎとるやないかい!
かれこれ1年近く前に終わっとるやないかい!

つまり当然、賞味期限も過ぎとるやないかい!
そして追い打ちのように……

ポットの湯も無いやないかい!!

ここまで来ると、もう笑うしかない。

湯がなければ、辛麺はただの“辛い気持ち”である。
手にしたカップを見つめながら、心の中に浮かんだのは──

──まさに捧腹絶倒。

捧腹絶倒(ほうふくぜっとう):腹を抱えて大笑いすること。
キャンペーンも期限切れ、賞味期限も切れ、湯もない。
ここまで揃えば、逆に清々しい。さて……どうやって食べようかねw

 

ということで、今日は「清々しい」つながりのお話を。

 

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 ニコニコと満面の笑顔を浮かべる蘭華の手には、さきほどタカトのポケットから奪い取ったものが握られていた

 それは金魂、いや、金貨ではなくて大銀貨が7枚……約7万円であった。

「ははは、それではこの大銀貨は蘭菊様がいただいていこう!」

 これみようがしに大銀貨をタカトとビン子に見せびらかす蘭華の横には、蘭菊が丁寧に頭を下げていた。

「いただきますです!」

 ――って、その銀貨!いつ!お前らにやったというのだ!……などという、タカトの心のツッコミを知ってか知らずか、蘭華と蘭菊はとっさに走り出すと、ビン子の横をすり抜け一気に逃走を図った。

 ――まずい! このままでは!

 配達代金を盗まれてしまったタカトの脳裏には権蔵の怒り狂う姿が浮かんでいたのかもしれない。

 だが、今や芋虫の身……いや、手足が見えない分、さなぎといったところか……

 そんなタカトが懸命に体を動かし、どう頑張ろうが幼女たちに追いつくことなど不可能。

 であれば、取る方法は一つ!

 言葉攻め!

 そう、言葉によって相手の動きを封じるのである。

 かつて、かの豊臣秀吉は、言葉巧みに家臣の心を掌握したという。

 それは……生来の人たらし……

 相手の望むものを常に先回りし、その行動を己が思う方向へと導くのだ。

 ――あの蘭華の望むものはなんだ!

 タカトは思考を巡らせる。

 蘭華と蘭菊はアイナのようなアイドルになるため毎朝、歌とダンスの練習をしていた。

 蘭菊の歌はビン子も認めるほどの美声。

 そして、蘭華のダンスは、周りの観客をも魅了するキレッキレの動きだったのだ。

 ――ならば!

「ちょっと待てぇぇぇぇぇ! ダンスバトルは!」

 力尽きたと思われていた芋虫がムクっと顔を上げると、逃げる幼女たちの背中を睨みつけながら自信ありげに叫んだのだ。

 ――そうだ! 俺は蝶になる!

 その自信満々に輝くタカトの目からは、そんな決意が見て取れた。

「お前! もしかして自信がないのか!」

 その挑発に逃げ去る蘭華の足がピタリと止まった。

 そして、ゆっくりとタカトへと振り返る。

「な・ん・や・て!」

 その眼に宿る炎が蘭華の怒りを物語っていた。

 ひぃぃぃいぃ!

 タカトは目の前の幼女の気迫に押された。

 ――俺は……もしかして、眠れる竜を起こしてしまったのだろうか?

 ちなみにタカトは16歳……蘭華は5歳……

 幼児に威圧される高校生とは……現代日本においても、その姿は恥ずかしい……

 ――コイツのダンスは体操やないか……

 蘭華はかつてタカトと繰り広げたダンスバトルを思い出していた。

 そう、タカトの踊りはタダのラジオ体操……というより、なよなよとしたタコ踊りに近い。

 だが、奴の繰り出した回転技は半端ではなかった。

 地面に対して平行に伸びた真っすぐな体。

 それが、体の中心から伸びる棒によってコマのように高速回転したのである。

 ――あれはウチには出来へん!

 まぁ、たしかに女の子である蘭華には無理な話……だって、アナタにはコマの軸がないんだからwwwって、あれ、タカトが融合加工したガラポンいかさま道具!パちんこ玉赭ブローですからwww残念!

 そんなタカトを思い出したのか蘭華はチッと舌打ちをした。

「アンタの相手はまた今度してやるさかい! 覚悟しときや!」

 だが、蘭華は何かにせかされるかのように再び正面へと向きなおすと、脇であたふたとしている蘭菊の手を取り再び走り出そうとしたのであった。

 だが、再び、そんな二人を止める声がした。

「待て! この泥棒が!」

 それは清々しい声。

 だみ声にちかしいタカトの声とは大違い。

 ということは、もしかしてビン子の声?

 いや、違っていた。それは蘭華たちが走り去ろうとする方向とは逆から駆けつけてきた清々しい禿げ頭、もとい、ツンツルてんの丸坊主

 そう、それは万命寺の黄色い修行着を身に着けたコウエンであった。

 その肩に担がれた大きなかごには一杯の食料。

 どうやら今日もまた、コウエンは万命寺に集まるスラムの人々のために食料を調達しに街まで来ていたようである。

 



 

 そんな帰り道、通りで悲鳴?(おそらく、ビン子にシバかれた時に発したタカトの悲鳴だと思われる)が聞こえてきたのだ。

 その瞬間! つるりと光る丸坊主が反応する!

「この声! どこかに困った人がいる! どこだ!」

 と、正義感が無駄に強いコウエンは、怒涛の勢いで道の奥から駆けつけてきたのだ。

「うぉりゃぁぁっぁぁぁぁ!」ドドドドドッド!

 ほんと、坊主というのはこれぐらい困った人に反応してほしいものだ。それに対して、どこの世界線の坊主ども、酒や金、権力や女におぼれて……人を助ける気など全くない。これでお盆の説法など話されたとしても、聞く方としてはへそが茶を沸かしてしまうwwwふっ!

 だが、そんなおへそがこちらへクルリ。

 そう、コウエンの「泥棒」という言葉に反応したのか蘭華の動きがピタリと止まっていた。

 そして、振り返りコウエンをキッと鋭い目で睨みつけているのである。

 だが、蘭華は先ほどから何も言わずにグッと唇をかみしめたまま……そして、再び体を正面へと向きを戻すと、先ほどよりもさらに勢いよく駆け出していった。

「待ってよぉ~蘭華ちゃん~」

 それはもう、後を追う蘭菊を置き去りにするほどの勢いで……

「待て! 泥棒!」

 コウエンが再び叫んだ。

 そして、去りゆく幼女たちを追いかけようと足先に力を込めた瞬間のことである。 

 それを制止するかのように横から手がニュっと伸びてきたのだ。

 足を踏みしめ、なんとか体の動きを止めたコウエンは体の反動を伴い勢いよくその主を睨みつけた。

「今、追いかけないと本当に追いつけないぞ!」

「別に……いいよ……」

 その手の主はタカト。その伸ばした手を引き戻し、服についた土ぼこりを払いのけはじめていた。

 というか、一体いつの間にロープをほどいたというのであろうか。

 もしかして! こ奴、マジシャンか何かなのか?

 ならば、脱出マジックのオチが決まったところで「こんなの出ちゃいましたぁ♪」などと満面の笑顔で締めくくれば少しは客ウケもいいのだろうが、今のタカトの顔は暗く落ち込み、マジシャンとは思えないほどシリアスな表情を浮かべていた……

 ――アイツ……

 そう、あの時、タカトは見たのだ……

 ――やっぱり……泥棒って言われたのがきつかったのか……

 それは蘭華が唇をかみしめ再び前へと走り出した時のこと……

 ――絶対に……泣いてたよな……アイツ……

 その頬からこぼれた落ちた小さなきらめきが流れていく様を……

 ――ああ……そうか……今日は月末だったか……

 去りゆく蘭華と蘭菊の背中を見つめるタカトの目は、どこか遠くを見つめていた。

 コウエンはそんなタカトをあきれた様子で見ながら大きなため息をついた。

「君たち、毎回毎回、盗まれているけど、本当に大丈夫なのかい?」

 そう、コウエンは月末に決まったルートで食料を調達しに街に来ていた。

 その寺へのかえり道……いつも、いつも、目の前のタカトとビン子が、あのコスプレ幼女から金を奪われているのをみかけるのだ。

 怪獣のコスプレをした幼女たちにダンスバトルを挑んで負けたのは仕方ない……だって……これも勝負だから……

 あからさまに胸に詰め物をしたOLのコスプレの幼女たちから言葉巧みにネジを買わされたのも仕方ない……だって……これも商売だから……

 メイドのコスプレをした幼女たちから、「ご主人様、いかがですかぁ?」などと明らかに河原に落ちていたであろうボロボロのムフフな本との交換も仕方ない……だって……コイツは変態なのだから……

 だが、今日は違った! 縛ったうえでの強奪である!

 さすがにこれは看過できない!

 だが……当の本人であるタカトの手がもういいとばかりに制止するのだ。

「まあ、君たちがいいというのなら僕は別にいいのだけど……」

 と、コウエンはまた大きなため息をついた。

「いいんだよ、だいたい、金なんて天下の周りモノwwwwいつか利子がついて俺のところに戻ってくるんだからwww」

 などと、強がるタカトであったが、こうでも言わないと幼女とたちの事を泥棒だと思っているコウエンを説得できなかったことだろう。

 先ほどからへらへらと笑う……その態度。おそらく……そうやって、この場をなんとかやり過ごそうという気のようである……が……大体、こういう時に限ってうまくいかないものなのだwww

 グー……

 そう、虚勢を張るタカトの腹が鳴ったのだ。

 ――そういわれれば……朝、配達前に芋をひとかけ食べただけだったな……

 タカトの家、すなわち権蔵家は貧乏だった。権蔵の作った融合加工品を売った金だけが生活の頼りなのである。だが、今日は月末……すでにそのお金も底をついていた。最後に残った握りこぶし大の芋を三人で仲良く6等分して今日という日の食事に割り当てたのである。

 6等分……そう、タカトと権蔵とビン子の朝飯と昼飯である。

 なら晩飯は? 晩飯についはタカトたちが本日、配達で得たお金で何とかする予定であったのだ。だから、権蔵などは食料とともに買ってこいと命じた安酒を楽しみに待っているぐらいなのである。

 そんな昼飯として残していた芋のかけらを、タカトは家に帰ってから食べようと思っていた。だが、今日は老馬の清志子がいないため配達時間がやけにかかってしまったのである。

 そのため、いまだに昼飯を食っていない。

 ――腹減ったぁ……

 ならば、外で弁当でも買ってと思うかもしれないが、今回得た配達代金で融合加工の材料代金と、これから先一か月分の食費を賄わなければいけないのだ。とてもじゃないが、そんな贅沢をする余裕などあるわけもない。

 それが盗まれた……

 いや、このタカトの遠くを見る表情……おそらく……かなり腹が減っているに違いないwwwって、違うわい! おそらく、タカトの奴は最初から蘭華と蘭菊に、その金を渡すつもりだったに違いないのだ。

 だって、今日は月末……ツョッカー病院の支払い期限なのだから。

 あの金があれば、きっと蘭華と蘭菊の母親はショッカー病院から追い出さずに済む。

 ――早く良くなるといいよな……アイツらのお母さん……

 というか、なんでタカトが蘭華と蘭菊を助ける必要があるというのだ? そんなお金を勝手に渡せば権蔵に怒られるに決まっているじゃないか。

 そう、確かに怒られる。

 家に帰るたび権蔵に怒られる。だが、そんなことはタカトにとっては日常茶飯事。大した問題などではなかった。

 おそらく、それはタカトの想い……

 かつて、目の前で父が魔人に食い殺され、母と姉をも失った……

 家族を失う悲しみは誰よりも痛いほどわかっている。

 ――大好きな人を失って泣くやつを見るのは……もう嫌だ……

 そんなタカト自身の想いが、蘭華と蘭菊の行動に重なったのだろう。

 だから、どうしても目の前で泣いている二人に……すこしでも手を差し伸べたい……そんな気持ちが先行してしまうのである。

 だが……しかし……

 このタカトという少年、少々、性格がひねくれていたwww

 だったら最初から素直に渡せばいいのであるが、どうやら、それはプライドが許さないようなのだwww

 だからこそ、いつも無駄なことをしてしまう。

 もしかしたら、それはタカトの照れ隠しなのかもしれない……

 いや……蘭華と蘭菊に施しを受けたという負い目を持たせないようにするというタカトなりの優しさなのかもしれない……が、おそらく、誰にもその真意は伝わることはないだろうwww(私は……ちゃんとタカトの気持ち……分かっているわよ……byビン子)

 

令和7年12月3日の昼飯

 

本日、食したカップラーメンはこちら!

明星
3種スパイスの香り&旨みソース
「焼そばでっせ ソース味 」
具なし

だぁぁぁぁぁぁ!

 

 

 

早速! いただきます!

天気は曇り。空がどんよりしている昼どきに、ふとイラッとする出来事を思い出した。
「昼時のアポなし来客はマジで困る。」
そんな憤りを抱えつつ手に取ったのは、明星「焼そばでっせ ソース味」(具なし)。

湯切りして麺をまぜると、3種スパイスと旨みソースの香りがふわっと立ち上る。
具がないぶん、ソースのストレートな旨さとスパイスのアクセントがダイレクトに来る。
シンプルゆえの潔さが心地よく、余計なことを忘れて麺に集中できる。

──まさに泰然自若。

泰然自若(たいぜんじじゃく):どんな事にも動じず、落ち着いているさま。
アポなし来客で心がざわついても、この一杯のシンプルな旨さがあれば、案外冷静でいられるものだ。

 

ということで、今日は「冷静」つながりのお話を。

 

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 謁見の間には、冷たい静寂が満ちていた。

 玉座に腰を沈めたアルダインは、肘をついたまま動かぬ瞳で来訪者を見下ろしている。

 その傍らには、黒のスーツに身を包んだ女秘書――ネル。

 硬く結ばれた唇と、スリットからのぞく白い脚。

 まるで氷像のような静けさの中に、張り詰めた気配が漂っていた。



 オオボラは床に膝をつき、頭を垂れている。

 その表情は見えない。だが、わずかに動く指先から、極度の緊張と冷静な計算が読み取れた。

「手紙を持参した者をお連れいたしました」

 守衛の報告に、ネルが短く命じる。

「下がれ」

「はっ」

 守衛が退室し、扉が重く閉まる。

 その瞬間、空気がさらに重く沈んだ。

 アルダインは封筒を指先で転がしながら、低く問う。

「……お前、この手紙の中身を見たか」

「いえ。封は閉じたままでございました」

 その声に迷いはない。

 だが、アルダインは信じない。

 ──この封蝋は第六の門の印。なぜ、この男がそれを……?

 目を細め、冷たく見据える。

 ――いずれかの騎士の手の者か?

 だが、自分が王を監禁していることを知る者がいるはずはない。

 しかし、王が姿を見せなくなって久しい今、疑う者が現れてもおかしくはなかった。

 ――もし、こやつが……それを探りに来た者であれば。

「では、中身を知っていたのか?」

「存じません」

 オオボラは呼吸ひとつ乱さぬまま答えた。

 ──アルダインの奴、探っていやがる。俺がどこまで信用に足るかを……。

 彼もまた悟っていた。目の前の男が、一国を動かす怪物であることを。

 だが、怯めば即座に“消される”。

「なぜ、第六の宿舎に届けず、ここへ持ってきた」

 鋭い問いが放たれる。

 オオボラは静かに顔を上げた。

「ここならば、私の願いを、必ずや聞き届けていただけると思ったからです」

「ほう。内容も知らずに、か?」

「はい」

 そのやり取りを、ネルは一歩下がった位置からじっと観察していた。

 ──この少年、アルダインを恐れていない……。それに、目が……アルテラと同じ色をしている。

 アルダインの気配がわずかに揺れた瞬間、ネルは無意識に踵をずらし、即座に動ける体勢をとっていた。

 彼女にとって、アルダインは“盾”。

 自分の娘アルテラを守るための、汚れた唯一の盾なのだ。

 ――この男を害する者は、どんな理由であれ、生かしてはおけない。

 しかし――オオボラの目には怯えも焦りもなく、ただ静かな確信が宿っていた。

 ネルは一瞬、判断をためらう。

 ――この少年、本当に敵なのか?

「……して、その“願い”とは?」

 アルダインが低く問う。

 オオボラは、ゆっくりと息を吸い込んだ。

「私を、アルダイン様の神民にお加えください」

 一拍の沈黙。

 それを破るように、アルダインの笑い声が響いた。

「ははははは! 貴様を? わしの神民に? 命が惜しくないようだな」

「命は惜しいですが、それ以上に価値のある提案かと」

 その一言に、空気がわずかに震えた。

 ──ふん……近くに置いておく方が、監視はしやすいというもの。

 アルダインは口元に笑みを浮かべながら、心の内で測っていた。

 この少年がただの愚か者なら殺してしまえばいい。

 だが、もし彼の背後に“別の騎士”がいるならば――。

 重い沈黙ののち、アルダインは手紙をネルに放る。

「よかろう。……お前を、わしの神民に加えてやる」

 ネルが一瞬だけ息を呑む。

 ──まさか……この男を信用するおつもりなのか?

「ありがたき幸せ」

 オオボラは深々と頭を下げた。

 その陰から覗いた口元には、わずかな笑み。

 ──これでいい。権力の牙城は、内側から崩すのが一番だからな。

 アルダインは、その笑みを見逃さなかった。

 だが何も言わず、ただ鋭い目を細める。

 静かな火花が散る。

 三人の思惑が交錯する中、謁見の間には、再び深い沈黙が落ちた。

令和7年12月2日の昼飯

 

 

本日、食したカップラーメンはこちら!

日清
並んでもたべられない完全予約制の各店
「Ramen Break Beats 地鶏醤油らぁ麺」
コクのある地鶏だしと糸島産醤油が織りなす上質な旨み

だぁぁぁぁぁぁ!

 

 

早速! いただきます!

天気は晴れ。日差しがやわらかくて、気持ちはゆるっとしていたのだが──
今日のカップ麺を前に、ふと正直な思いがよぎった。
「並んでまでも食べたいか?コレ。」
まあ、食べる前から言うのもアレなので、湯を注いでみる。

選んだのは日清
「Ramen Break Beats 地鶏醤油らぁ麺」。
並んでも食べられない“完全予約制の店”の味を再現したという、なんだか肩書きが強い一杯だ。

 

 

湯気とともに立ち上るのは、地鶏のふくよかな香り。
スープをすすると、糸島産醤油のきりっとした旨みが口に広がり、確かに上質。
麺もつるりとしていて、全体の完成度は高い……高いのだが……
やっぱり心のどこかで、あの疑問がひょっこり顔を出す。

──まさに虚心坦懐。

虚心坦懐(きょしんたんかい):先入観を持たず、素直な気持ちで物事に向き合うこと。
肩書きに惑わされず、率直に味わってみたら──まあ、これはこれで十分にうまい。

 

ということで、今日は「たんかい」つながりのお話を。

 

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 タカトはクロダイショウとオオヒャクテの群れをかき分け、懸命に走っていた。

「おい! だいじょうぶか!」

 その声に、青いスライムが振り返る。

 ――え? 私のこと?

 長い間、誰からも声をかけられることなく、ただ噛まれ、食われ、耐えるだけの毎日だった。

 だからこそ、その呼びかけは信じられないほど眩しく、胸の奥に強く響いた。

 表面を持ち上げ、後ろを見ようとしたスライムを、タカトはそのままの勢いで抱きかかえる。

 生まれて初めて感じる、ぬくもり。

 真っ暗な穴の底で、初めて見つけた光。

 その一瞬で、スライムはタカトに心を奪われた。

 もし小さな心臓があったなら、恋に落ちた音を立てて激しく跳ねていただろう。

 タカトはスライムを左わきに抱え、一心不乱に駆け抜けた。

 背後からは黒い群れが迫りくる。

 壁を這い、地をずり、ずるずるとうごめきながら――獲物を追い詰めるかのように。

「なんでやねん! お前ら!」

 止まればすぐ、足にクロダイショウとオオヒャクテが絡みつき、逃げ道をふさがれかねない。

 足元でうごめく群れから、唸るような声がもれた。

『ア……ダ……ム……ア……ダ……ム……』

 タカトは聞きとがめて、思わず叫ぶ。

ロッテルダムアムステルダムか知らんが! 俺の所ちゃうわ! ビン子の所行け! 絶対あっちの方が美味しいぞ!」

 

 とにかくドーム内を、タカトはドタドタと逃げ回っていた。

 腕に抱えているのが女の子なのか、スライムなのかも確かめることすらできずに、とにかく走っていた。

 その腕の中で、スライムは静かに抱かれていた。

 これまで感じたことのない安らぎ。

 暗い世界の中で、初めて触れた優しい光。

 ――ずっと、このまま抱かれていたい……。

 しかし、頭の片隅で不安がささやく。

 ――もしかしたら、この人も、私をいじめるかもしれない……。

 ホールの中を右に左に逃げながら、タカトはビン子に叫んだ。

「今なら岩の上から降りられるだろ! 早く! 助けを呼んで来い! 早く!」

 タカトの声に、ビン子ははっとして周囲を見渡す。

 岩のまわりに群がっていた魔物の数は、確かに先ほどよりも少なくなっていた。

 多くがタカトの後を追っていったようなのだ。

 地面の岩肌があらわになり、通れる隙間ができている。

 ――これなら行ける! 降りられる!

 ビン子は大きな声で返した。

「分かったわ! タカト! 少し待ってて!」

 決意を固めると、カバンから予備のたいまつを取り出し、火を灯す。

「ヨイショ!」

 そして、たいまつを片手に岩肌へと飛び降りた。

「ドッコイショ!」

 ……って、お前はオバサンか! 走れよ!ビン子!

 ビン子はそのまま無我夢中で、ホールの出口へと続く道をバタバタと駆けだした。

「ごめんやしておくれやして、ごめんやっしゃ~!」

 だが、その行く手にクロダイショウたちが立ちふさがる。

 まるで関西のやくざのように――。

『待たんかい! ワレ!』

 ……いや、もちろん蛇にしゃべる知能はない。

 けれど、その緑の眼光がそう言っているように、作者には聞こえたのだ!

 さらに蛇たちは、入れ替わり立ち代わりグルグルと。

 コレはまさに――!

『ローテーショントークとは、三人で』

『交替にしゃべること』

『や』

『で~』

「うざッ!」

 冷たい目でにらみつけるビン子。

 だが、武器を持たない彼女には、クロダイショウたちにツッコむ――いや、攻撃する手段がない!

 とっさにカバンへ手をツッコみ、何かを取り出す。

♪チャッチャ チャ~ン!

 手には一枚のウチワ!

「タカトが作ってくれた――スカートまくりま扇!」

 すかさず、開血解放!

 大きく振ると、ウチワから噴き出した突風がクロダイショウたちをまとめて吹き飛ばした。

『なんでやねぇ~ん!』

 だがスカートまくりま扇も、その一撃で無残に破れてしまう。

 どうやら以前、タカトが川に落ちた時に、どこかで傷つけてしまっていたらしい。

「なんでやねぇ~ん!」

 ビン子自身も思わずツッコむ。

 ――だが、道は開かれた!

 ホールの出口を抜け、外へと通じる洞穴を一心不乱に駆ける。

 もう、足元にゴキブリがいようが、ゲジがいようが関係ない。

 ――何もいない! 何も見えない! そう、コレは蝶々! 蝶々よ!

 そう自分に言い聞かせながら走るビン子。

 だが洞穴は、あざ笑うかのようにその先で二つに分かれていた。

 分かれ道を前に、ビン子は立ち止まる。

 どちらに進めば外に出られるのか、まったく分からなかったのだ。

 それもそのはず――。

 帰り道が分かるようにとオオボラが壁に印をつけていた時、

 ビン子はタカトの背中でグースカピースカ眠っていたのである。

 そして追い打ちをかけるように、タカトはその目印のことをビン子に伝え忘れていた。

(だって、それどころじゃなかったんだから仕方ないだろ! タカト談) 

「どっちに行ったらいいのよ……」

 立ちすくんだビン子は、半べそをかきはじめた。

「早くしないと……”また”タカトが……」

 そう、この前森に入った時もそうだった。

 イノシシの魔物・ダンクロールに襲われ、権蔵に助けを求めようと森を駆けたのに――結局、迷子になったのだ。

 この状況……まさに、あの時と同じ!

 ならば……!

♪チャッチャ チャ~ン!

 カバンの中から取り出したのは一本のバナナ!

 だが、ただのバナナではない!

 そう――これこそ!

「タカトが作ってくれた――恋バナナの耳!」

 もはや二度目ともなれば慣れたもの。

 ビン子は『恋バナナの耳』を開血解放し、すかさず耳に押し当てた。

『……あのドアホが……』

 男のぼやき声が聞こえた。

 本来、この『恋バナナの耳』は――

 耳につければ、遠くにいる女の子の恋話を盗み聞きできるという優れもの……のはずだった。

 だが実際に聞こえてくるのは……恋バナどころか、すさんだ花。

 不平、不満、嫉妬、怒り。負の感情ばかりだった。

『……あれだけ入るなと言ったのに……』

 どうやら声の主は権蔵らしい。

 朝からの様子を怪しみ、気づかれぬよう後をつけてきてくれていたのだ。

 ――近くに、じいちゃんがいる!

 その事実に、安堵がビン子の胸を満たした。

 涙があふれ出す。

 もう少しで外に出られる。権蔵のもとへ行ける――そう思った。

 だが……ここは狭い洞穴の中。

 耳に届く権蔵のぼやきは岩壁に反響し、方向が全くつかめない。

 ビン子はぐるりと周囲を見渡す。

 だが、視界は絶望に閉ざされていくばかり。

 一瞬にして洞窟の壁が遠のいていく感じがした。

 ――どうすれば、どっちへ行けばいいの……?

 『恋バナナの耳』を押し当てたまま立ち尽くし、声を振り絞る。

「権蔵じいちゃぁぁぁぁぁあぁぁぁん!!」

 その叫びは洞窟の奥へと反響し、暗闇に飲み込まれていくだけだった。

 

令和7年12月1日の昼飯

 

 

本日、食したカップラーメンはこちら!

明星
昭和100年 MYOJO75
ドラえもん 
「なつかしの喫茶店ナポリタン味焼そば 」
タイムマシンであのころへGO!

 だぁぁぁぁぁぁ!

 

 

 
早速! いただきます!
 

天気は晴れ。空気がきりっとしていて、季節の切り替わりを実感する。
そう、今日から12月。令和7年も残すところあと1か月──早すぎる。
そんな“年末感”に浸りつつ開けたのは、明星
「なつかしの喫茶店ナポリタン味焼そば」。
パッケージのドラえもんが、やけに優しく微笑んでいる。

湯気とともに広がるのは、ケチャップの甘酸っぱい香り。
麺をほぐしてソースをからめれば、まさに“あのころの喫茶店ナポリタン”を思い出させる懐かしい味。
ピーマンの気配まで感じるような、絶妙な再現度が楽しい。

──まさに温故知新。

温故知新(おんこちしん):古きをたずねて新しきを知ること。
昭和の喫茶店気分を味わいながら、令和の年末を quietly 迎える──そんな不思議で心地よい一杯だった。

 

ということで、今日は「昭和」つながりのお話を。

 

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 そのタカトの様子を見たガンエンは涙ぐむ。

「ああ……タカトや……」

 きっと、タカトの無様な様子を見てあきれたのだろう。

 だが、ガンエンから続いて発せられた言葉は意外なものだった。

「お前はなんと心根の優しい子だろうか……」

 うん? この場合、普通は『情けない』とか『不甲斐ない』とかが続くはずなのでは?

 それなのになぜ?

 ガンエンはこみ上げてくる鼻水を指でこすりながら話をつづけた。

「ここ万命寺に集まってくる人の数は日に日に増えてきている……」

 もしかして……

 もしかしてですよ……ガンエンさん……タカトが涙目になっているのは、このひもじい食事しか食べることができないスラムの人たちのことを慮ってのこととでも思っているのでしょうか?

 まさかぁwwww

 だからなのか、当然、タカトもビン子もガンエンの話の意味が分からない。

 ――いったい何の話だ?

 ――えっ? なに? なに? いったい何のお話?

 だが、先ほどからオオボラとコウエンは神妙な顔でうつむいている。

 おそらく、さっきの言葉だけでガンエンの真意を感じ取ったようなのだ。

 一瞬、生じた静寂。

 その静寂を破るかのようにコウエンが言葉をつづけた。

「もう炭を売って得ただけの食料だけでは足りなくなってきてるんだ……」 

 自分の力が至らないことを恥じ入るように下を向きながら。

 そして、オオボラも押し殺すようにつぶやくのである。

「飢えた人たちは何をしでかすか分からない……もし暴動でもおこれば……必ず守備兵たちが乗り込んでくるに違いない……そうなれば、スラムの人たちは無為に殺される……仮に運よく生き残ったとしても収容所送りに……」

 収容所……おそらく、それは人魔収容所の事だろう。

 本来は人魔症を発症した者たちを隔離する場所である。

 だが、噂では、その収容所内ではよからぬ研究がおこなわれているようで、実際に収容所から帰ってきたものはいないのだ。

 人間としての価値がないスラムの人々。

 逮捕したところで、生かし続ければ無駄に飯代がかかるだけ……

 ならば、収容所で何らかの研究材料にでも使えれば、まさに一石二鳥。

 というか、この話の流れ……

 ――スラムの人たちの貧困のことか!

 ――きっともう、その人たちに施す食料がないということなのね!

 どうやら、やっとのことで話の内容が腑に落ちたタカトとビン子。

 

 だが、その時、タカトの脳裏に口が干からびた乳飲み子の影が映る。

 ――まだ小さかったのに……

 タカトは幼き時、獅子の顔をした魔人によって家族を殺され一人生き残った。

 乳飲み子とはいわないが、5歳ほどの年齢。

 一人でこの世を生きていけるわけはない。

 だが、幸いにもタカトは権蔵に拾われた。だから、今までこうして生きてこられたのだ。

 それが、もし……権蔵に出会っていなかったらどうだろう……

 ――俺もまた……死んでいたかも……な……

 乳飲み子の姿と仮の自分の姿が重なる。

 いつしかタカトはぐっと唇をかみしめると膝の上で拳を握っていた。

「俺にも何かできることはないかな……」

「はい! その言葉! 待っておりましたぁ~!」

 と、ガンエンの明るい声が響いた!

 えっ?

 当然、タカトは固まる。

 ――あの話の流れ、どう考えてもスラムの貧困の流れだろ……

 だが、頭がこんがらがり言葉が出ない。

 そんな状況に、ガンエンがたたみかける!

「タカトや、お前、森で動物でも狩ってきてくれんかのwwww」

 おそらく、タカトが言葉に詰まっている間に外堀を埋めて断れないようにするつもりなのだ。

 だが、タカトの脳内にあるのはスパコン腐岳! 腐っても富岳の自称親戚だ!

 そのため、訳の分からない状況にあるにもかかわらず、現時点における最適解を導き出したのである。

「なんでだよ! なんで俺がそんなことしないといけないんだよ!」

 そう! タカトは狩りなどしたくはない!

 だって危ないじゃないか!

 まあ、タカトの本音としては……危ないというより、そんなことに時間を取られたくなかったのであった。

 狩りに行く時間があるくらいなら……

  一人、部屋にこもってシコシコシコ……

 お気に入りの本を女の股のように開いてあふれ出す……シコシコシコ……うっ!

 あっ♡ 今日も手が汚れちゃった♡

 もう♡ これを一日中してたい! してたい! してたい!

 って、お前は猿かよ!

 いやいやいやwwww変な想像をしてくれるな! タカトは決してエッチなことをしてるわけじゃないんだから!

 そう! タカトは融合加工をしたいのだ。

 融合加工の図面を開いてシコシコシコ……

 あふれ出すアイデアを形にするためシコシコシコ……うっ!

 あっ♡ 今日も手が汚れちゃった♡ 油で♡

 もう♡ 一日中してたい! してたい! してたい! してたい! 融合加工を!

 ――狩りなどに時間を潰すぐらいなら融合加工をやっとるわい!

 まして、男、いや、ジジイの頼み事など論外中の論外!

 仮にこれが美女の頼み事というのなら聞かないわけでもないのだが……残念ながらここにいる女はビン子とコウエンのみ!

 ビン子は論外として、コウエンはハゲ!いや、坊主だ!

 でも、よくよく見るとその顔立ちは宝塚の男役のように整っている。

 おそらく、ちゃんと髪でも伸ばせば、かなりの美人になるような気がする……

 が!

 ハゲはハゲ!

 ――ということで、この場で俺が言うことを聞く必要なんてナッシング!

 だが、ガンエンはタカトが断ってくるのを想定していたようで。

「タカトやwwwwさっきの干し野菜が最後の食料じゃないのか? だったら、帰ってから何を食うつもりなんじゃ?」

「うっ! それは……きっとじいちゃんが森から何か取ってきてくれてるに……」

「タカトや、お前はもう立派な青年じゃ。これからも権蔵だけに頼るつもりか?」

 ガンエンが静かな目でタカトをじっと見つめる。

 それはまるでタカトに大人としての自覚を持てと促しているかのよう……

「いや……」

 タカトは言葉に詰まる。

 確かにガンエンの言うとおりである。

 権蔵も70近い年だ……いつまでも森の中で狩りができるとは思えない……

 だが……自分が森の中に入って狩りができるとも思えない……

 ――だって、俺! 弱いんだもん!

 「やっぱ……人には適材適所というものが……」

 事ここに至って、いまだにグジグジと言い続けるタカト。

 ガンエンは「はぁ~」と大きなため息をつく。

 その表情は、まるで『情けない』とか『不甲斐ない』とかをにじませたかのようである。

 だが、ここでタカトにそれを説いたとしても反発するだけ。

 寺の住職であるガンエンにはそれがよく分かった。

 おそらく、このままではタカトの踏ん切りはつかないと思ったのであろう……先ほどまでの狩りの話から少し話を変えたのだ。

「タカトや。森には動物や植物以外にも魔物もおるはずじゃ」

「なら‼なおさら危ないじゃないか!」 

「よくよく考えてみ。ここは聖人世界じゃ。森におるのは小門を通ってきた小型の魔物ぐらいじゃ」

 小門とは聖人世界にできた穴のようなもの。

 その穴の先は行き止まりの場合もあるが、多くの場合、魔人世界とつながっている。

 だが、小門というだけあって、穴のサイズは通常、人一人が中腰でやっと通れるほど。

 だからこそ、小型の魔物ぐらいしか通れないのである。

「だからどうしたって言うんだよ!」

 食って掛かるタカトに、ガンエンは笑って返す。

「タカトや。お前、融合加工で使う魔物素材が足りてないんじゃろ?」

「うっ! なんでそれを……」

 確かにタカトは一日中、融合加工をしていたい。していたいのだが……使う魔物素材が圧倒的に足りてなかったのである。

 今ある素材は権蔵が以前から持っていたモノや狩りでとってきたものばかり。

 自分で集めてきたものといえば、カマキガルの鎌や食パンマン子さんのパンツぐらいなのである。

 素材は店で買うには高すぎる。

 かといって、そのあたりに落ちているものでもなかった。

 多くの種類、自分の欲する素材を手に入れるには、魔物を倒し解体しないと手に入らない代物なのだ。

「タカトや。狩りをしてれば小型の魔物にも出くわすかもしれんぞ。少なくとも魔植物ぐらいは見つかるじゃろうて」

 魔植物……それは魔人世界に生えるという植物である。本来、聖人世界には存在しないが、その種が小門を通してやってきて聖人世界で勝手に自生しているのだ。

「た……確かに……魔植物の採取ぐらいなら、俺でも!」

 と、だんだんとやる気になってきた様子のタカト君。

 簡単な奴やなwww

 だが、それを見たガンエンはニヤリ!

 ――もう一押しじゃなwwww

「そうじゃろwwwタカトやwww狩のついでに魔植物を探せば一石二鳥! しかも! 小型の魔物を倒せば!食料&素材をゲットだぜ!」

「でも、俺……小型の魔物どころか……ウサギすらも倒せないんですけど……」

「心配するな! タカトや! わしがちゃんと万命拳を教えてやる!」

「ば……万命拳を?」

「そうとも! 万命拳は最強の拳じゃ! 奥義『奉身炎舞』を極めれば、魔人騎士クラスとも渡り合えるぞ!」

 半ば諦めかけていた家族の復讐。獅子の顔を持つ魔人に対抗する手段がタカトの目の前に広がったのだ。

「魔人騎士クラスともか! マジか! 嘘じゃないだろうな!」

「坊主! 嘘つかない!」

 と、ガンエンは可愛くウィンクwwwって、その様子……マジでキモイ!

 だが、そんなタカトのやる気にビン子が水を差す。

「でも、ガンエンさん、お寺は殺生禁止じゃないのですか?」

 ガンエンはニコニコとした笑みをビン子に向ける。

「スラムの人々を救うための殺生じゃ、仏様もきっと許してくださる事じゃろうwwwアーメン ソーメン 何だったっけ?」

 って、経文覚えてないとは……お前はそれでも住職か!

 しかし、この時のタカトは拳法の修行を甘く見ていた。一朝一夕に身につくモノなどないというのに。

 本堂の前の石畳。

 そこは学校の教室2つ分ほどの広さ。

 その真ん中では昼食を食べ終わったタカトとオオボラが横一列に並んでいた。

 どうやら、オオボラがココに入り浸るのは万命拳の修業のためというので間違いないようである。

 そんなオオボラをちらりと見るタカトは、なぜかライバル心むき出し。

 というのも、オオボラの顔は真剣そのもの。

 先ほどから、入念に柔軟体操を行っているのだ。

 一方、タカトは腕を組んで余裕をかます

 ――オオボラなんかに俺様が負けるかよwwww

 と、なぜか妙に自信満々のタカト君!

 ――なぜなら! 俺はできる子! やればできる子なんだ! 当然、万命拳の修業だってチョチョイのチョイ!

 それを見る、オオボラは……

 ――って、お前……柔軟しなくていいのかよ……マジで死んでも知らねぇぞ……

 と思いもしたが、言っても無駄というか、ハンカチの恨みをまだ根に持っているようで……助言することをやめた。

 そんな対照的な二人の前には袈裟をまとったままのガンエンがニコニコと手を合わす。

 そして、その後ろでは本堂へと続く階段にビン子とコウエンが腰かけながら、にこやかに談笑をしていた。

「タカトのウィンナーって小指ほどなんだよwww‪( *¯ ꒳¯*)」

「ええ(*´艸`)、可愛い!」

「まずは、受け身からじゃ! 前回り受け身!」

 ガンエンの声にオオボラの体がクルリと回る。

 バン!

 オオボラの手のひらが石畳を勢いよく叩く音が大きく響いた。

 だが、それを見たタカトはビビった。

 こんな(ll゚Д゚)感じでマジでションベンを漏らしそうなぐらいにビビった!

 ひぃ!

 って、前回り受け身ぐらいでビビるなよwwww

 ――だって仕方ないだろ!

 普通、前回り受け身の練習と言えば……頭を地につけぐるりと回転しながら、エイヤ!と手で地面を打って起き上がる……

 タカトが知っている前回り受け身はこんなものだ。

 しかし……オオボラが行った前回り受け身は……

 目の前の地面へと勢いよく飛び込む!

 体を回転させるとともに素早く地面を手で打ち跳ね起きる!

 そんなオオボラの姿は、すでに次の行動に移らんと身構えていた。

 って、それはもう前回り受け身じゃなくて飛び込み前回り受け身ですから!

「アホか! 素人の俺にこんなマネできるか!」

 まぁ、ガンエンもそんなことは分かっている。

 だから、基本の前回り受け身をタカトにやらせるのだ。

 だが……

 頭を地面につけるたびに……「いてぇ!」

 体が回転するたびに……「ギョべぇ!」

 あまつさえ、腕の反動が足りないせいか起き上がれないのだ……

 あおむけに転がり頭を抱えてもだえ苦しむ姿は……もう、見るに堪えない……

 だが、万命拳を教えるガンエンは鬼!

 容赦ないしごきが飛び続けた。

「タカトや! 頭をつけるな!」

「顎を引け! 顎を!」

「左手でしっかりと地面を叩かんか!」

 そこには、もう妥協という言葉などは存在しない!

「できるまで、今日は帰さんからな!」

「いやだぁぁぁぁ!」

 タカトは今更ながら後悔しはじめた。

 そして、ついには泣き言を言い始めたのだ。

「あのさ……こういうコスパの悪い練習なんかするんじゃなくてさ。こう……パッと強くなる、例えば令和のアニメとかだと簡単に凄い力が手に入ってさ……ついでに身体能力も馬鹿みたいにすごくなるだろ! そういうのはないかな! というか! そういうのがいい! 俺はそれがいい!」

 それを聞くガンエンはあきれ顔。

「アホか……ワシは令和のアニメなど知らん! 昭和じゃ! 昭和!」

「昭和?」

「黄金期のジャンプを知らんのか! 友情・努力・勝利の完璧な方程式! その典型例がドラゴン玉じゃ! その主人公の孫悟空などは子供が生まれたことにも気づかぬほど修行に明け暮れておったのじゃ!」

「それって……親失格じゃ?」

「一に修行! 二に修行! 三枝がなくて いらっしゃーい!」

桂三枝は関係ないわい!」

「だから‼ タカトや! お前は弱いんじゃ! 世界で通用する力が身につかんのじゃ! なにが!クールジャパンじゃ!」

「いやいや……ジャンプは関係ないから……」

「そうじゃな……ジャンプは関係ない……年甲斐もなく、ちょっと興奮してしまったわ……ふう……なら、ボケモンの佐藤氏を見てみろ。1997年マサラ町を10歳で旅立ち、26年という長き年月をかけやっと世界チャンピオンになったんじゃ! もう、その時の佐藤氏は36歳! 立派なオジサンじゃ! それでも佐藤氏は頑張り続けたんじゃ! コレこそ強くなるための努力!」

「……って、1997年だと……平成じゃん……昭和はどこに行ったんだよ!」

「タカトや! 貴様にはこの佐藤氏のような努力が足らーーーーーーーーーーん!」

 

 しかし、そんな楽しそうな時間は長くは続かなかった。寺の門から取り乱した男の声が駆け込んできたのである。

「ガンエン様、うちの息子が倒れて動かないんです! 助けてください!」

 先ほどまで階段でビン子と談笑していたはずのコウエンは、それを聞いた途端スッと立ち上がると奥の部屋に向かって駆け出していく。

 ガンエンはタカトに怖い表情を向ける。

「タカトや、今日の修行はここまでじゃ!」

 そこには先ほどまでのお茶らけた笑顔などすでにない。

 そして、コウエンが医療器具の詰め込まれた箱を抱えて戻ってくるのを見ると、ガンエンは男に案内しろと命じて走り出す。

 ポツンと残されたタカト。

 ビン子もまたコウエンの変わりように驚いた。

 走りゆくガンエンたちを心配そうに見送るも、何を言っていいか分からない。

 そんな二人にオオボラが説明をする。

「ガンエン様は医者でもあるからな……スラムの人たちにとっては最後の命綱なんだ……」

 ふと、タカトは権蔵から聞いた話を思い出す。

 ――そういえば、じいちゃん……昔、第七駐屯地でガンエンのジジイが軍医をしてたって言ってたな。

 そう、ガンエンと権蔵は第七駐屯地で一緒に戦い抜いた仲間。

 互いの背中を任せられる無二の親友なのである。

令和7年11月28日の昼飯

 

 

本日、食したカップラーメンはこちら!

 

東洋水産
マルちゃん
「麺之助 肉そば」

 

だぁぁぁぁぁぁ!

 

 

早速! いただきます!

 

天気は晴れ。ぽかぽかと気持ちのいい昼下がりに、ふと気づいた。
──そういえば最近、米を食べてないなぁ……。
でも、まあ困らないwww
そんな軽い気分で選んだのが、東洋水産マルちゃん「麺之助 肉そば」。

 

湯気とともに立ち上るのは、甘じょっぱい肉だしの香り。
麺をすすれば、つるりとした食感に、旨みのあるつゆがしっかり絡んでくる。
どこか懐かしく、そして素直にうまい“肉そば”の王道といった味わいだ。

 

──まさに不即不離。

 

不即不離(ふそくふり):つかず離れず、ほどよい距離感を保つこと。
米からは離れているけれど、麺とはいい関係を保っている──そんな昼食だった。

 

ということで、今日は「食べてない」つながりのお話を。

 

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 そんな大きな声でミンミンゼミのように激しく鳴かれると、さすがのタカトも皿をもう一つ持ってこないといけないと思ってしまう。

 だが、すでに右手に3枚。左手に3枚。頭の上に1枚皿を置いて、更に口には2枚の皿を咥えているのだ。

 一体どこに……もう一枚の皿を置けというのであろうか……

 だが、そんな困り顔のタカトに、お菊が胸元から一冊の本をチラリと見せるのである。

 そう、それこそタカトが持っていた無修正のエロ本!

 しかし、その瞬間、タカトの股間に皿を置けるような台が起き上がったではないか!

 そこに置かれた皿に、タコさんウィンナーを嬉しそうに盛り付けるお菊。

 ついに、これで10皿クリアーだ!

 

 そう……お菊は、タカトにエロ本をプレゼントする代わりに、自分の皿の前へと無理やり並ばせたのである。

 この巧妙な罠にまんまとはまったタカト君。

 当初は……

「タコさんウィンナーを食べるだけでエロ本ゲットだぜ!」

 などと、簡単に考えていた。

 しかし、実際に並んでみると……現実は違っていた。

 一つの皿に盛りつけられるタコさんウィンナーの数は約30個。

 ここまでは何とか食べられる。

 それが、10皿で300個!

 ……頑張れば、まだ食べられるような気がする……

 ……いや……やっぱ、無理……ごめんなさい……

 

 だが……お菊は許してくれないのだ!

 お菊が目指すのは!

 打倒!エビフライ! 打倒!フジコちゃん!なのである!

 そう!目指すは配膳アイドルナンバー1!

 そのためには、タコさんウィンナーの消費量を否が応でも増やさないといけないのだ。

 しかし、残念ながら、お菊の皿の前に並んでいるのはエロ顔で呆けているタカト一人だけ。

 ならばどうする!

 そう、配膳回数を増やすしかないのである!

 

 レジスタンスリーダーお菊から発せられる言葉は、あまりにも無情なものであった……

「ハイ! 時間切れ! もう一回!」

「ええ……ひょんなぁ……ひゃんと10皿持ってきたひゃん!」

 皿を咥えているタカトはなんだか釈然としない。

 そんなタカトの様子に豹変したお菊が金切り声をあげるのである。

「やかましい! このチンコロ! 黙って働きやがれ!

 お前たちのような変態は、この世で一番の害悪なのだァぁぁぁ!

 だがしかし! 喜べ!

 タコさんウィンナーを運ぶたびにお前たちの心が浄化されていくのだ!

 さぁ! 叫べ! ロリコンどもよ! 

 今のお前たちが求めるモノを!

 心の赴くままに叫ぶのだァぁぁぁぁ!」

 なぜか一人、大会議室の中で大声を上げるお菊。

 その存在は確実に浮いている! さすがに周りの目も何事というような感じで驚いていた。

 だがしかし、なぜかタカトは、そんなお菊の声に合わせるのだ!

 それでは皆さん! ご唱和ください!

 1・2・3! 

 「「かつドン! 最高ぉぉぉぉ!」」

 って、なんでかつドンやねんwww

 

 そう……タカトは朝昼晩と3回! しかも、やり直し分も含めて合計50回、その都度、10皿分のタコさんウィンナーが盛り付けられていた……

 タカト一人で、タコさんウィンナーの一日の消費量は15,000個を超えている……

 ちなみに、赤いタコさんウィンナーの重量は1個当たり14gである。

 総重量にして210kgである

 

 勝った!

 フジコに勝った!

 エビフライに勝った!

 そう、お菊はタカトにタコさんウィンナーを食べさせることによって、その日、初めてナンバー1の座を勝ち取ったのである。

 

 しかも! この時のタカトは、アイナやチビ真音子たちとともにコンサートの練習をしていた最中であっため、タコさんウィンナーを盛り付けられる日は、その1日で終わらなかった……

 

 それが4週間も続くとなると、その総重量は5,880kgにもなる。これは平均的な象の重さ(5t~7t)とだいたい同じぐらい。

 そのため、内地から第七駐屯地へと運び込まれる輸送物資の約5割をタコさんウィンナーとエビフライが占めていたのはいうまでもない。

 もはやここまでくると地獄……タコさん地獄とでもいうべきかwww

 

 しかも、これだけの量をタカト一人で食べなければならないのだ……

 というのも、ビン子は隣で嬉しそうに大好物のエビフライを頬張っているのである。

「う~ん♡エビフライ美味しい!」

 こんなビン子にタコさんウィンナーを押し付けようものなら、邪魔をするなァ!と言わんばかりに確実に殺される……

 ちなみにココだけの話だが……ビン子一人だけで朝昼晩と、それぞれ1,000本ずつ食べているwwwそのため一日の合計消費量は3,000本をゆうに超えていた。

「だって、タダなんだもん♡」

 

 しかし、ビン子と違ってタカトは普通の男の子だ。

 いや、いろいろと変なところは確かにあるのだが、胃袋は普通だ。

 したがって、朝飯にタコさんウィンナーを5,000個も食べられない。

 だが、食べないと……呪われるのである……

 そう、お菊が先ほどからタカトの背後に立って、皿が空くのを今か今かとジーッと見つめているのである。

サラ……来なーコナーぃ……サラ……来なーコナーぃ……サラ……来なーコナーぃ……」

 もう……逃げるに逃げられない……

 

 だが、食べられないものは食べられない。

 そこで、タカトは考えた。

 どうすれば、タコさんウィンナーを食べずにエロ本をゲットできるだろうかと!

 そう、そこで出来上がったのが「エロ本カク―セル巻き」なのである!

 

 

 お菊さんの目から隠れて、タコさんウィンナーを「エロ本カク―セル巻き」の中に格納していくタカト。

 食べてないのだから、いくらでも入る。

「おかわり~」

 ニコニコと皿の前に並ぶタカトに、お菊もまた気をよくしていた。

「チンコロ! 今日はよく食べるなwww」

「だって、お菊さんが丹精込めて作ってくれたタコさんウィンナーだからネ♪」

 などと、心にも思っていない言葉を甘ったる猫なで声で発するタカト。

 だが、なぜかお菊は顔を赤らめるとタカトから顔をそらすのだ。

 そして、おもむろに胸元から一冊のエロ本を取り出すと、そっとタカトに差し出したのである。

「コレ……約束してたもの……だ……いるんだろ……」

 そう、それは第七駐屯地のエロ撲滅活動の一環として、兵士たちの寝床をガサ入れした際に押収したものだった。

 

 夜が更けたころ……時はそう、丑三つ時。

 守備兵たちは小さな部屋の中に並べられた二段ベッドで眠っていた。

 しかし、そんな部屋のドアがいきなり大きな音を立てて吹き飛んだのである。

 ドカンっ!

 その音に何事だと言わんばかりに飛び起きる守備兵たちは、眠気眼をこすりながら開け広げられたドアへと目を移す。

 外の廊下から差し込むわずかな光。

 軍服姿のお菊たち数人の女たちが、その光を背に偉そうに立っていた。

「うごくな! NHKだ!」

 その声を聞いた途端、兵士たちの顔から眠気がサッと引いた。

 それどころか、先ほどまで寝ていたにもかかわらずゴキブリのようにものすごい動きで動き出したのだ。

「やばい! NHKだ!」

「ガサ入れか!」

「ブツを隠せ!」

「居留守を使え!」

 枕の下に隠してあったブツさっと抱きかかえると窓から飛び出そうとする者。

 逆に、立っているのは女ばかりと見て開いた入り口に向かって強行突破を試みる輩。

 なぜかベッドの上で震えながら、何枚かの紙切れをギュッと握りつぶし、いきなり口の中に放り込むヤギ。

 最後には受信装置であるテレビをハンマーで叩き壊す強者までいた。

 そんな男たちを侮蔑するお菊は鼻で笑いながら腕を振り命令を下した。

「取り押さえろ!」

 その声に応じるかのように背後に並ぶ女たちが一斉に部屋の中に飛び込むと、あっという間に男たちを制圧したのだった。

 腕を背中へとねじりこまれ床に押し付けられる兵士の顔に勝ち誇ったかのようなお菊の顔が近づいていく。

 そして、悔しそうに見上げる男の顔の前に一冊の本を突き出すのであった。

「これは何だ! 言ってみろ!」

 そう、それは無修正のエロ本。

 このような破廉恥なエロ本がほかにもあるとのタレコミをもとに、お菊たちは強制捜査に入ったのである。

「くっ!」

 だが、男はそっぽを向いて目すら合わそうとしない。

「ふん! 言わないつもりか! ならば!かまわん! こいつを起こせ!」

 と、無理やり引き起こされた男の服をグイッと掴み取ると、お菊は力任せに無理やりビリビリと剥ぎ取ったのだった。

 目の前に立つスッポンポンの男。

 お菊はその体を舐め回すようにみながら舌なめずりをする。

「お前、いいもの持っているじゃないかいwww」

 と、男の股間に金属製の警棒をグリグリと押し付けるのだ。

 その冷たく硬い感触が男の恐怖をそそり立たせる。

 この警棒で叩かれたら、確実にタマタマはつぶれて……俺は玉名市に引っ越さないといけなくなってしまう……

「ま! 待ってくれ!」

 と、口を開きかけた瞬間! お菊は頭の上に振り上げた腕を勢いよく振り下ろしたのだった!

 グシャ!

 と、男のタマタマが鈍い音を立て……る代わりに、男のアタマが鈍そうなワンワンになっていた。

 うん?

 わんわん?

 そう、男の頭にはワンワンの着ぐるみが被せられていたのである。

「これから貴様も! NHKのため、いや!健全な少年少女のために犬となって働くのだ!」

「ワンワン!」

 当然、その様子を見ていたほかの兵士たちの表情は恐怖にひきつった。

 ワンワンといえば、小学校に入学する前の子供たちに人気があるあのチンコロだ。

 そう、魚を食う猫ではなくて犬である……

 あんなものをかぶせられたら、二度とますなどかけない……

 毎日……毎日……健康的にかつ丼を作らされるのである。

かつ丼!最高ぉぉぉぉぉ!」

 目の前で大声で叫ぶかつての同僚を見る兵士たちの目には涙が浮かんでいた。

「いやだ! ワンワンだけは嫌だ!」

 それを見たお菊はフンと笑うのだ。

「ならばどうするというのだ!」

 男たちは力なくお菊の前に膝まづくと隠し持っていたブツを差し出しはじめた。

「もう二度と……このようなことをしないと誓います……」

 そして、足元に置かれた一枚の従身じゅしん契約書にサインをしたのである。

 

 このようにして集められた無修正のエロ本の数々。

 それをこともあろうかタカトに差し出したのだ。

 おかしいだろ!

 思い出してほしい! お菊はターミネーターレジスタンスリーダー!サラコナーと同じくエロを撲滅するレジスタンスNノーHエッチKカツどんの第七駐屯地支部のリーダーである。

 そんな支部リーダーが無修正のエロ本をタカトに差し出すことなどありえない。

 だが、今のお菊は自分のために献身的にタコさんウィンナーを食べてくれるタカトに何かしてやりたかったのだ。

 そう、自分の信念を曲げてでも!

 もしかして、それは……恋?

 そんな訳……ないよね……

令和7年11月27日の昼飯

 

 

本日、食したカップラーメンはこちら!

 

明星
鶏・豚・鰹の旨みつゆ
「かけラーでっせ 醤油ラーメン 」

 

だぁぁぁぁぁぁ!

 

 
早速! いただきます!
 

天気は晴れ。気分よく写真を撮ろうとしたら──なぜか勝手に横向きになる。
……まあ、いいかぁwww
そんなゆるい気分のまま手に取ったのが、明星「かけラーでっせ 醤油ラーメン」。

 

湯気とともに広がるのは、鶏・豚・鰹の三位一体の香り。
麺をすすると、あっさりしつつも奥行きあるつゆが、すーっと喉を通り抜けていく。
奇をてらわない、ストレートで“正しい”醤油ラーメンの味。
写真が横向きだろうが、この味だけは揺るがない。

 

──まさに泰然自若。

 

泰然自若(たいぜんじじゃく):どんなことにも動じず、落ち着いているさま。
写真が回転しようと、この一杯の安定感はびくともしない。

 

ということで、今日は「まあ、いいかぁ」つながりのお話を。

 

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 そう……中央でお登勢とヨシ子の体がピタリと引っ付いた時……

 同じくステージの中央へとたどり着いたオッサンたちは、次々と垂直に立ち上げられたセレスティーノの腰肌へと飛びついた。

 それはまるで、バナナで火照った体を冷やすかのようにピッタリと。

 そして、ズボンのファスナーの間にできた隙間に爪を立て、徐々に徐々にとズボンをよじくり始めたのだ。

 

 下がりゆくセレスティーノのズボンとパンツ……

 だが、そんなことステージの上で備えるお登勢たちも想定内である。

 

 しかし……オッサン達のズボンの窓からは待ちきれないバナナたちが次々と大きな白玉を投げ落としはじめたのだ。

 今にも体内から飛び出そうとする白玉はバナナに張り付いた皮にぶつかり、さらにはその下から登りくる別の白玉を巻き込みながら落下していく。

 運よくセレスティーノへとたどり着いた白玉もいたが、穴の脇に控える別のバナナたちによってすかさず掻きだされる。

 これこそ! なんと生存競争!

 

 でもって、こちらが南斗性拳せいけん108派の一つ! 南斗無雄むおん拳! 

 そして、定番の! 北斗シイタケ‼ おいしいぞ!

 

 ヒョォォォ! ホワタァ!

 アタたたたたたたた!



 ピタリと引っ付くお登勢とヨシ子の体からは、目に見えない無数の斬撃が放たれていたのだ!

 残影すらも残さぬ無数の手刀の数々がセレスティーノの頭を挟んで激しく応酬しあっていた。

 傍からみると全く動いていないように見える二人。

 だがしかし、その巻き起こされる拳圧はすさまじい!

 ついには近寄るオッサン達のズボンとパンツを切り裂みはじめたのである!

 そして当然に……セレスティーノのズボンとパンツも……。

 いまや、そんな細切れにされた布切れたちが、まるでタカトの頭から吹き上がったフケのようにステージの上空からヒラヒラと舞い落ちていた。

 あっ……それに混じって数本の血まみれのバナナも……

 それはまさに……レッドバナナ……

 

「意外に味は普通だな……」

 モグモグと口を動かすタカトは、口にほおばるレッドバナナに舌鼓を打った。

 って、お前……それは……

「でしょwww」

 だが、それを聞くビン子もまた、赤いバナナのとん先をピンクの唇にそっと押し当てて、すぼめた口の中へとゆっくりと押し込んでいくのである。

 恍惚とする女の表情……

 まさに飢えたメスの表情である……

 おえっ……

 確かに黄色いバナナになれている作者のような一般ピーポーからすると、赤いバナナの見てくれは少々グロテスクと言えばグロテスク。

 しかし、何事も見た目で判断してはダメなのだ!

 一皮むけば、あらビックリ!

 味はイエローモンキー! いや、イエローバナナとほぼ同じなのである!

 そんなビン子の手には、まだ何本かの赤いバナナがしっかりと握りしめられていた。

 しかし、天から赤いバナナが降ってくるとは……まさに、これこそミステリー!

 

 って、そんなわけはありません!

 そう、ガラポンのテントからココに来るまでの道上には、赤いバナナがいたるところに投げ捨てられていたのである。

 だから今でもホラ! ポイっとね!

 黒い中折れ帽をまぶかにかぶる次元ダイスケお兄さんが肩越しにバナナを投げ捨てていた。

「こんなものいるかよ! ちぇっ!」

 ハイ! キャッチ!

 ビン子はまたもや飛んでくる赤いバナナを飢えたメスヒョウのような素早い動きでキャッチした!

 

 そう、赤いバナナはガラポンのハズレだったのだ!

 ハズレである金玉を出した次元ダイスケお兄さんはしょんぼり……

 巨乳のメルアの前で張り切って白玉をドピュッと出すつもりだったのだ……

 それなのに……バナナを出してしまうとは……しかもこともあろうか皮かぶり……

 ――俺が持っているのはコンバットマグナムなのに……

 プッと噴き出すメルア。

 だって仕方ない……

 数の多い4等の赤玉よりも外れである金玉を出す方が難しいのである。

 目の前でそんな金玉をクールに恰好をつけながらポロリと出されたのだ。

 メルアでなくともこれを笑わずにはいられない。

 だが、そんな微笑みは次元ダイスケお兄さんの心を、まるで地雷で吹っ飛ばすかのように木っ端みじんに砕いた!

 ドーン!

 もう、イタリアのCMもビックリしてしまいそうなオチである。

 

 一方、ビン子は投げ捨てられるバナナを今晩のオカズにするべくひたすらキャッチし続けていたのであった。

 だって、貧乏な権蔵一家、ビン子たちは常に飢えていた。

 そうそう腹いっぱいにメシなど食べられない……

 でも、今はバナナがいっぱい降ってくるのだ♪

 ――これで2・3日は食べるものに困らないわwww

 恍惚な表情を浮かべるビン子は神様に感謝する。

 ――赤いバナナ! ありがとうございま~す♥

 って、神様はビン子ちゃんだったかwww忘れてたwww

 

 

「でも、ビン子……これやっぱり、いつも食ってる電気ネズミの肉より硬いよな……」

「えっ? 硬い?」

 ビン子は一瞬、タカトが何を言っているのか分からなかった。

 レッドバナナはバナナである。

 だれが何といってもバナナである!

 だから、普通のバナナと同じく、その果『肉』はしっとりとしているのだ。

 あのピカピカしちゅゥ~と電気刺激が発生するような硬い電気ネズミの肉と比べようがない。というか、比べること自体がおかしいのである。

 だが、タカトはそんな肉と平然と比較した……

 チラリと見たビン子はハッと気が付いた。

 ――まぁ、いいかぁwwwおなじ『肉』だしwww タカトだったらきっとお腹も壊さないわよ!(汗)

 一体ビン子は何を見たのだろう……もはや作者にも分からない……だって、すでにタカトの口の中には現物が無いのである……もはやこれこそミステリーwww

 

 だが、もっとミステリーなのはステージの上であった。

 ステージ下から眺めるおばさま達からは、下半身むき出しのオッサン達はただ単に倒れ次々とその肉を積みあげているように見えていた。

 

 だが、その視点を上空へと移してみると……

 なんと言うことでしょう!

 匠達のケツによって、あれだけ殺風景だったステージに美しい一つの円が描かれているではありませんか!

 アメージングぅぅぅ!

 これこそ、まさにミステリー! ミステリーサークル‼

 そう、無秩序に倒れているとばかりかと思っていたオッサンたちのケツは、今やお登勢たちを取り囲むかのように規則正しく並び大きな円を描いていたのである。

 

 その円の中心でお登勢が、まるで儀式でも始めるかのように啖呵を切った。

「ステージは整った! いつ何時、誰の挑戦でも受けてやる! さぁ来い! ヨシ子!」

 受けて立つヨシ子もまた気勢を上げる。

「もうババァ、お登勢の時代じゃないぞ! 鶴屋、綾波、そして俺たちの若い世代の時代だぁぁぁぁ」

 って、鶴屋、綾波って誰のことだよ!

 というか、お前は鶴屋や、綾波みたいに美少女じゃないだろうが!

 どちらかと言うと長州力

 

 そんな二人がパッとステージの両脇に飛びはなれると、先ほどまで乳に挟まれていたセレスティーノのご尊顔が地に落ちた。

 ボてっ……いてっ!

 今や、ステージに顔をうずめてケツを突きあげるセレスティーノ様のお体!

 この姿はもしかして!

 お話しの場面がアイスダンスショーのステージに移った時にしていたというセレスティーノのポーズなのであろうか?

 これがどっこいwwwまだ違うのだwww

 だって、まだセレスティーノ様は、すっぽんぽんではないのだよwww

 確かにズボンとパンツは失ってはいる。だが、その上半身には神民学校の制服を身にまとっていたのだ。

 って、このネタ、まだ続くのかよwww

 いやいやwww これからが本番! 本番ですよwww

 

 元気があれば何でもできる!

 このネタを書けばどうなるものか……危ぶむなかれ。

 危ぶめばギャグはなし。

 踏み出せばその一足が笑みとなる。

 迷わず行けよ。

 行けばわかるさ。

 

 行くぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

 

 1!

 

 2!

 

 3!

 

 だあぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁ!!

 

 ステージの脇で突き上げられるお登勢とヨシ子の拳!

 その拳を合図にするかのように、ステージの真上から円盤状の分厚い氷が落ちて来た。

 それはオッサンたちが作るミステリーサークルよりも一回り大きい。

 そんなどデカい氷の塊がオッサンたちの上にドカンと落ちて来たのだ。

 当然にその重みでつぶれるオッサンたちのケツ。

 そして、その輪の中心にいるセレスティーノもブチっという音を立てていた……

 

 えっ? 何? この氷はどこから降ってきたんだって?

 これこそ先ほどまで匠のオッサンたちが作っていた舞台装置なのだ!

 アンビリバボォ~♪

 というか、セレスティーノ様……この氷の塊に潰されましたよね……

 プチっという音をたててましたよね……

 確か騎士は不死じゃなかったんですか?

 アンビリバボォ……

 

 今やステージの上には、さらに一段高くなった氷のお立ち台ができていた。

 それはまるでバブル期に一世を風靡したディスコステージのように、少々溶け出した氷の表面が太陽の光をきらびやかにまき散らすのだ。

 だが、そんな華やかなお立ち台の下へと目を向けると、一変して地獄の風景へと変わっていた。

 そう、それは……

 かのキン肉マンが悪魔将軍と戦ったといわれる死闘のリング。

 あまたの正義超人たちが己が体で支えたという地獄のリング!

 そのリングと同様に、このお立ち台の底もまたオッサンたちのケツによって支えられていたのである。

 

 先ほどまでバナナを大きく膨らませていたオッサンたち!

 すでにバナナの果肉は失っているとはいえ、その熱き思いは煮えたぎる!

 さすがは舞台装置を作った匠たち! 恒温動物である!

 そんな熱を帯びたケツと極寒の低温とがケツの皮一枚を挟んでせめぎあっていた!

 

 だが、いかに日ごろからオッサンたちのケツが互いのバナナによって鍛えあっていたとしても、所詮はヒト! イエローモンキーのケツなのだ!

 いまやケツを覆いつくす脂肪の肉がイエローからホワイトに徐々に変わりつつあった。

 この氷の塊、その表面は溶けだしているとはいえ、本体のそのものの温度はまだ低い。

 おそらくマイナス20度を下回っていると思われる……

 そんな低温に密着し続けているオッサンたちのケツが次第に凍傷を発症し始めたとしてもおかしくはなかった。

 しかし、小刻みに震え続けるケツどもは、一向に氷から離れようとしないのだ。

 それどころか、さらにケツの筋肉に力を込めて、氷のお立ち台を一段高く突き上げるのである。

 それはまさに、死闘のリングを支える正義超人の志!

 いや、匠としての責任感、使命感と言っても過言ではないだろう。

 今、ココで自分たちが逃げ出したりすれば、この世界はケツ柱という支えを失ってしまうのだ。

 チン柱を失った上にケツ柱まで失えば……これからどうやって鬼と戦えばいいのであろうか……

 そんな匠たちは大きく息を吸い込むと皆で一斉に呼吸をそろえる……

「「「「ケツの呼吸! 一ノ型! カイケツ解放!」」」」

 ぶひぃぃいぃ!

 20の穴から噴出す大放屁!

 

 くせぇぇぇぇぇえぇ!

 ステージ上から垂れ落ちる黄色い呼吸に観客たちは一斉に鼻をつまみ顔をゆがめた。

 だが、それと時を同じくするかのように噴き出された黄色い圧力は、お立ち台の底を一瞬わずかに持ち上げたのである。

 

 そんなわずかな時間!

 お立ち台の下にできた空間から魔血ユニットの甲高い音が鳴り響いた! 

「開血解放ぉぉぉぉ!」

 轟音とともに砕け散る氷の底!

 だが、その勢いは鋭利な刃物のように鋭い。

 例えていうならばパイナップルの芯をくりぬくかのように、氷の中心だけを円柱状にくりぬいいていたのであった。

 ステージの上から見ると、まるでワカサギでも釣れそうな穴。

 そんな穴から、黒いキツネの魔装騎兵がゆっくりとお立ち台の上へと這い上ってきた。

 

 だが、先ほどから仮面の下からブチプチという何かが切れる音がする。

 もしかして……これは、セレスティーノ様の血管が切れる音?

 騎士に対する非礼の数々……まぁ、頭に来ていたとしても当然である。

 

 しかし……その実は……

令和7年11月19日の昼飯

 

 

本日、食したカップラーメンはこちら!

 

東洋水産
マルちゃん正麺
もちもち生麺食感!うま辛ガーリック味!
「ペペロンチーノ味焼そば 」

 

 だぁぁぁぁぁぁ!

 

 

早速! いただきます!

 

天気は晴れ。部屋の棚を見ていて、ふと気づく。
カップ麺のストックがほとんど残っていない。
というか、賞味期限をだいぶ過ぎたものまで潜んでいて、今日までにかなり整理する羽目になった。
まあ、片付いたから良しとする。

 

そんな流れで手に取ったのは、東洋水産 マルちゃん正麺
「ペペロンチーノ味焼そば」。
もちもち生麺食感に、うま辛ガーリックが売りの一品だ。

湯気とともに立ち上るガーリックの香りは強烈で、食欲を一気に引っ張り上げる。
麺はもちもちと弾力があり、ピリッとした辛みとにんにくの風味が絡んでクセになる味わい。
在庫整理でやさぐれた気分も、このジャンキーさでむしろ清々しい。

 

──まさに意気軒昂。

 

意気軒昂(いきけんこう):元気がみなぎり、気力が高まっているさま。
ストックは減ったけれど、この一杯で気力だけはガッツリ満たされた。

 

ということで、今日は「在庫整理」つながりのお話を。

 

kakuyomu.jp

 

 タカトは、一心不乱に一般街の街並みを早足で歩いていた。

 いつもならタカトなら押し寄せる人の波に翻弄されあちらこちらにとフラフラと揺れ動くのだが、今日に至っては少々違っていた。

 

「そこをどけ! この! ぷぅ~!チンころ!酢豆すどぅ腐♡ うふ♪」

 うーん、というか今のタカト君、怒ってみたりニヤニヤしてみたりとその表情があちらこちらにフラフラと揺れ動いている。

 強い一言を放ったかと思うと、目の前に迫りくる人の波を荒々しく押しのける。

 そして今度は、うわついた笑みを浮かべたかと思うと、いきなり道の真ん中で立ち止まり何かを計算し始めるのだ。

 

 そんな邪魔なタカトに押しのけらていく人々には、しだいに殺気といら立ちがふり積もり、いつしか怒号が飛び交っていた。

「何がどうした?」

「同時的雌雄てきしゆう同体らしい?」

 ちなみに、同時的雌雄同体とはデジタル大辞泉小学館)によると、『雌雄同体の生物のうち、同一個体が同時に雄雌両方の生殖機能をもち、雌雄どちらでも生殖できる生物』ということでカタツムリ、ナメクジなどが当てはまるようだが、今いちよくわからない。おそらくきっと今のタカト君のように表情、いや性別が同時に存在する生き物の事なのだろう。って、今のタカト君、そういえばなんかナメクジみたい……

 

 そんなタカトの後をついていくビン子には、人々が向けてくる侮蔑と憤怒の視線が耐えがたかった。

「じいちゃぁぁぁんー---! 帰りたいよぉぉぉ!」

 だが、タカトのその様子。ビン子なりに、ただならぬ事態が差し迫っていることだけは感じ取っていた。

 

 しかし、どうしてこうなったかというと……

 今の時刻がおやつ時だから……さかのぼること約6時間ほど前……の事である。

 

 そう、今日も朝食を食べ終わったタカトは権蔵から配達の仕事を命令されていたのであった。

 それは、急遽依頼された道具の配送。

 

 いまだアイナちゃんの食い込み写真集を片身離さず持ち続けているタカト。

 そんな朝食のテーブルの上には、これ見ようがしに写真集がおかれていた。

「なんじゃ……タカト……それはワシへの当てつけか?」

「ふん! そう見えるんならそうじゃない!」

 何やら不満そうなタカトは権蔵の言葉から顔をそむけた。

 

 ――そうか……そうか……そういう態度に出るんじゃの……

 権蔵はそんなタカトをにらみつけると、今日も配達の仕事を命令した。

「タカト! 今日は、お前が荷物を背負っていけ!」

「はぁ? なんで清志子に運ばせたらいいだろ!」

「今日の荷物は少ないんじゃ!」

 そう、数日前に第六の宿舎に荷物を運ぶために老馬の忌野清志子は頑張ったばかり。

 そんな清志子に気を使ったのか権蔵は清志子を休ませようとしたのだ。

 本当かぁ? たぶん……

 

「そんなの無理だよぉ~ だって、おれ貧弱だしぃ~」

 忌野清志子が引く馬車が休みなら、俺自身も営業終了にきまっている!

 今日は、部屋にこもって『お脱がせ上手や剣』をの融合加工を始めるんだい!

 というのも、ここ最近はそんなことに構っていられなかったのだ。

 そう、権蔵によって破かれたアイナちゃんの写真集……

 その復元作業にいままで精を出していたのだ。いや……まだ精〇は出してないけど。でも、精を出すために! ていうか、早く出したい! 己が欲望!

 だが……物事には限界があった……

 いくら俺が天才(自称)といえども復元できるものと出来ないものがある。

 たとえば処女膜とか? いやいやそれは復元できるだろ! 現代医学をなめるな!

 

「タカト! これぐらいなら運べるじゃろが!」

「無理だって! じいちゃん!」

「根性見せんか! ほれアイナちゃんが見ているぞ! タカト君、頑張って!」

 権蔵はテーブルの上に置いてあったアイナちゃんの写真集をパッと奪い取ると、食い込み写真のページを開き顔の前に掲げた。

 そこには恥ずかしそうな笑顔を浮かべるアイナちゃんの下半身に穴が開いていた。

 穴ってアンタ……食い込み写真でしょうが! コレ!

 いやいや、処女膜のように薄いそのページ。

 どうやら、権蔵に無理やりヤラれたことによって無残にも破瓜させられたのであった。

 そうそれは握りこぶし二つ分ぐらいの大きな穴。

 そんな穴から権蔵の目がニコニコとしながら覗いていた。

 

「爺ちゃん、それは食い込み写真にあいた穴から覗く爺ちゃんの目! 絶対に許さんからな爺ちゃん! この破れた食い込み写真の恨みは一生ものだからな! 恨めしやぁぁぁぁぁ!」

 だが、写真集から目を放した権蔵は大笑いする。

「おぉこわっwww なら、タカト、いいものをやろうか?」

「なんだよ! 新しいアイナちゃんの食い込み写真集か?」

「いや違うが、ほれ……」

 

 なにやら権蔵にうまく丸め込まれたタカトは、どうやら本当に荷物を背負って配達に出かけたようである。

 まぁ、そのせいで運送するのに、ほぼ6時間もかかってしまったのだ。

 だが、その配達も終わった。

 あとは俺の自由時間!

 そんなタカトの耳に第六の門の方角から警鐘のけたたましい音が届いた。

 この警鐘は国内で魔物が出たものとは全く異なる。

 そう、門外のフィールドで大規模な戦闘が起こっていることを示していたのだ。

 融合国内に大規模戦闘の警鐘が鳴り響くのは、いつ以来のことであろうか。

 というのも、聖人世界も魔人世界も自分たちがなぜキーストーンを奪い合っているのかよく分かっていなかったのだ。

 ただ、長年、キーストーンは奪い合うものだといわれ続けてきたため、なんとなくそう思っているのである。

 確かに八つのキーストーンを集めれば大門が開くといわれている。

 そして、その開いた門を通って王が相手の国に行くことができるのだ。

 でも、王さま、わざわざ相手の国に行って何をするの?

 茶でも一緒に飲むとか?

「今日はいいお天気ですね」

「いや……雨ですけど……」

「雨って……あれ、おたくのミサイルですよね……」

「そうですけど……なにか?」

「分かっとんやったら、さっさと止めんかぁ!」

「うぁぁぁ! 責められてる! 口撃されてる! 防衛や! 防衛!」

 って、そんなわきゃないだろうwww

 

 まぁ、確かに王を殺せるのは王だけ。

 ということは、わざわざ門を通って相手世界の王様を殺しに行くわけですよ。

 なんでやねん! 殺してどうするねん!

 そんなの決まってるじゃん自国を攻められないためですよ! って、どこぞの大統領ならいいそうですが……この世界、門外フィールドがちゃんと干渉地域になっとるわけで、そうそう、攻め込まれることなどないわけですよ。

 被害妄想MAXな王様でもおったら、「相手をぶちのめさんとベッドで眠れない!」とか言いそうですが、一応、この世界の王様、不老不死。そう簡単に死にはしません。

 なら……本当に何をするの? というか……何をしたらいいの?

 ということで、誰もいまだ大門を開くことの意味が分かっていなかったのだ。

 

 そんなものだから、どの騎士もマジで本腰を入れて相手のフィールドに殴りこもうなどとは考えていなかった。

 だって、相手のフィールドに殴り込んだら騎士であっても死んじゃうんだもん。

 ということで、一般街の住民たちも久しく聞く大規模戦闘の警鐘音に次々と家から顔を出し心配そうに第六の門の方を見つめていた。

 

 タカトの後ろを歩いていたビン子も心配そうに第六の門の方向をかえりみる。

「ねえ、タカト、大丈夫かな?」

「大丈夫だろう」

 だが、先を急ぐタカトは気にしていない。まるで、他人事のように呟く。

 そう、所詮は門外の出来事。

 テレビの中で放送されるニュースと同じなのだ。

 遠く離れた場所では現実に起こっているにもかかわらず画面の中で見る光景はどこか冷めて見える。

 日々、多くの血が流れているというのに、その痛みは全く感じない。

 経験がないというのはこういう事なのだ……

 

「……」

 しかし、ビン子はやはり気になるのか、後ろを何度も何度も振り返りながらタカトの後をついて歩く。

 そんなビン子を、タカトは振り向きもせず諭すのだ。

「あのな……よく考えろよ! 魔人騎士も自分のフィールドの外に出れば死ぬからな。だから、こちら側まで来る馬鹿はいないよ」

 タカトに限らず聖人世界の誰しもがそう思っていた。

 

「でも、今回は、大変そうよ」

 だが、ビン子はたびたび後ろを振り返る。

 振り変える回数が多くなったせいなのか、少し距離が開いたタカトを早足で追いかけ始めた

「門外だけだよ。大丈夫。大丈夫」

 しかし、距離がひらいたのは、どうやらビン子のせいだけではなかったようだ。

 というのも、先ほどから目的を持って歩くタカトの足は明らかに早まっていたのであった。

 

 駆け足で追いつくビン子はとうとう我慢ができなくなったのか、タカトに尋ねる。

「ねぇ、一体どこに行くの?」

 タカトはズボンのポケットからグチャグチャに丸められた福引券を取り出してビン子に見せた。

 それをマジマジとみるビン子。

 はて? タカトが福引券など持っていただろうか?

 というか、ここ最近お金がないのだからまともに買い物などしたことがない。

 なので当然、商店街の福引券など貰えるわけがなかったのだ。

「これ福引券? いつ、貰ったの?」

「朝、じいちゃんから貰った!」

 

 そう、権蔵はタカトの写真集を破ってしまったことを密かに後悔していたのだ。

 だが、穴が空いたものは仕方がない。

 世の中、穴が空いた方がいいモノだってあるのだ。

 そもそも、穴が空いてない方を好むのは世間知らずの童貞ぐらい!

 って、タカト君も童貞だったか!

 

 この前の日、そう、それは空に穴が空いたような天気のいい昼下がりだった。

 その日も、タカトとビン子は今晩の食材を探しに目の前の森の中に食材を探しに出かけていた。

 そんな二人が留守の間、権蔵は道具屋の入り口に置かれた切り株の椅子に腰を掛けて煙草をふかしていたのである。

 たばこの煙が空にプカプカと浮いては、次第に薄くなって消えていく。

 ――今日もいい天気じゃ……

 青空を見上げる権蔵の目に突然、何かの影が覆いかぶさってきた。

 ふと視線を前に戻す権蔵。

 そんな先には一人の男が立っていた。

 そのいでたちは黒い袴に白い小袖。まるで和風剣士といったところ。

 権蔵は煙草を口から離しながら平静を装った。

 というのも、その男の気配を全く感じなかったのである。

「どちらさんじゃ……」

「拙者、石川県在住の五右衛門と申すもの……」

「……住まいまでは聞いとらん……」



 

「タカト殿はご在宅か……」

「いや、タカトは今、外に出とる。おそらく夕方ぐらいまでは帰ってこんわい」

「さようか……」

「どうしたんじゃ? タカトに何か用か?」

「いや……タカト殿に作ってもらった剣を鍛え直してもらおうと思いまして……」

「タカトが作った剣じゃと?」

 ――アイツは戦いの道具を作るのを嫌っていたはずじゃが……

 確かにタカトには道具作りの才能はある!

 もしかしたら、権蔵がまだ気づいていない才能すらも持っているかもしれない。

 だが、奴はその才能をまともな道具作りに向けないのだ。

 だから出来上がるものは、いつも変な物ばかり。

 権蔵には、それが少々歯がゆかった。

 まともな物を作れば、あっという間に自分を超える存在になるというのに。

 だが、タカトの口癖は「俺の道具はみんなの笑顔にするためのモノ」。

 分かっているが……いつかタカト自身が、それで泣きを見るかもしれない。

 

「どれ、ワシに見せてみろ……」

 権蔵の問いかけに五右衛門は腰に差した剣をスルリと抜くと手渡した。

 その剣の白く輝く刃先を見た権蔵は大きくため息をついた。

「これは……」

 

 そう、この剣はタカトがお脱がせ上手や剣の試作として融合加工した剣である。

 だが、それは少々強すぎた。

 そう、タカトの計算ではスカート一枚だけを切り落とすはずだったのだが、残念ながらその下にあるパンツをも切り裂き、さらに、その先にある女の子の太ももまでも傷つけてしまう代物だったのである。

「こんな剣、使えるか!」

 道具屋の前の通りにある大石に向かって剣を叩きつけて折ろうとしていたタカト。

 ちょうどその時、五右衛門がその側を通りかかっていたのだった。

「おぬし! その剣いらぬのなら拙者にいただけないであろうか!」

「はぁ? こんな人を傷つけるような剣なんか危なっしくて渡せるわけないだろうが!」

「そこを頼む! いま、拙者は武士になるために腰に差す刀を探しているところなのだ……武士の情け!」

「嫌だ! 絶対に嫌だ!」

「タダとは申さぬ……今、手元にあるのはこの写真集だけ……これと交換ではどうだろうか……」

 それはアイナチャンの写真集『熱いうちに召し上がれ♥』。

 エプロン姿のアイナがエビフライの調理をしている姿が収録されているのだ。

 そして一番の見せ場は、極太エビフライを口に含みながら「もう大きいんだ・か・ら♥」と上目遣いで上気したポーズしているところ。

 しかもまた、口角からわずかに垂れる白いタルタルソースがいい味を出している。

 もう、これを撮った写真家のこだわりが見え隠れする至高の一品だ。

 俺のエビフリャイも食べさせてぇぇぇえぇ♥

 世の男どもは思ったことだろう。

 ちなみにこの写真集、エロい写真は全くないにもかかわらず、なぜか有害図書に指定されたいわくつきの写真集である。

 

 タカトはゴクリと生唾を飲み込んだ。

 一見するだけでそれは丁寧に保存されている極上品。

 ――これは……すごい……

 しかし、タカトのポリシーが許さないのだ。

 ――俺の道具は人を笑顔にするもの! 傷つけるものでは断じてない!

 当然、それを見るタカトは首を振った。

 残念そうな五右衛門は大きなため息をつく。

「そうか……残念だ……実は2冊あったのだが……」

「ぜひ‼ 交換、お願いします♥」

 

 権蔵が空に掲げた残念剣は日の光を激しく散らしていた。

 権蔵は大きなため息をつく。

 一見するだけで、剣の刃先が大きく欠けた粗悪品。

「これは……ひどい……」

 そんな権蔵の横で五右衛門が申し訳なさそうにモジモジしている。

「その……あの……タカト殿が作ってくれた残念剣……ある男の手錠の鎖を切ったら刃こぼれしてしまって……」

 どうやらスカート一枚だけを切り落とすことを目的とした剣には、手錠の鎖は固すぎたようであった。

「タカトの奴……こんな中途半端な仕事をしよってからに……」

「何とかならんであろうか……」

「仕方ない、ワシが作り直してやるわい」

「それで構わぬ! かたじけない! だが、今手持ちがコレしかなくて……」

 五右衛門はすまなそうに懐から一枚の福引券を取り出した。

「それでやってやるが……そもそも元の融合が悪いから、そんなによくはならんぞ! きっと後悔するぞ」

 ここに残念剣あらため。慚悔剣が誕生したのだった。

 

 そこまでして権蔵が手に入れてきた福引券。

 きっとものすごいものが当たるのだろう。

 ビン子は期待に胸を膨らませてタカトにきいた。

「で、1等の景品は何?」

「さぁ?」

「えっ……知らないの」

 足を止め固まるビン子。

 なら、どうしてタカトはこんなにも嬉しそうにしているのだろうか。全くもって分からない。

 

「1等なんて知らねぇよ。しかし、今回の景品はすごいぞ。なんといっても4等は、アイナちゃんの写真集10冊と極め匠印の頑固おやじシリーズの工具……のネジ1点セット!」

 ちなみにこのアイナちゃんの写真集10冊は全ておなじ写真集である。

 そう、アイナちゃんの写真集でありながら全く売れなかったという、ある意味伝説的な写真集『チンころと酢豆腐すどうふ』!

 アイナちゃんが全身ワンワンの着ぐるみを着て、読者へ酢豆腐をアーン♥と食べさせてくれるようなポーズが延々と収録されているのだ。

 しかし、だぼだぼの着ぐるみのおかげで美しいボディラインも、豊満なバストも見えやしない。

 まぁ、確かにアイナちゃんがワンワンの着ぐるみを着ていれば可愛いことは間違いない。

 だが、この写真を撮った写真家……何をとちくるったのか知らないが、なぜかアイナちゃんの顔もワンワンの着ぐるみで覆ってしまったのだ。

 そのためもう、このワンワンが本当にアイナちゃんかどうかも分かりゃしない。

 ただ、単に写真集のタイトルの片隅にアイナちゃんの名前が入っているだけで……後は、ほぼワンワン!

 ワンワン最高ぉぉぉぉ!

 って、お前はNHKの回し者か!

 ちなみにこのNHKは某放送局とは全く関係ございません! 

 そう、これは健全な少年少女の育成を志す、N(ノー)H(エッチ)K(カツドん)!

「欲しがりません! カツまでは! Hエッチの後にIはない! Hエッチの前にIが有る! アルファベット表記を変えよう! 少年少女のためにアルファベットの並びを変えよう! 打倒! エビフライ! 怨敵! エビフリャィィィ!」

 



 

 さすがにこれにはアイナちゃんのファンもブチ切れた!

 そのため、販売した出版社には返品の山ができていたのだ。

 そんな写真集も在庫整理とばかりに商店街のくじ引きの景品に並べられたのである。

 そのため、4等の当たり本数はなぜか一番多くて1万本!

 これなら絶対に当たるはず!

 って、外れじゃん! これ……

 というか……ワンワンの写真集として売ればいいんじゃね?

 

 興奮を抑えきれないタカトは福引券を強く握りしめガッツポーズをとった。その握りこぶしは、武者震いのように揺れている。タカトの決戦に望む強い決意が、その目に輝いていた。

 

「なんだ、そういうことね」

 腑に落ちたビン子は、笑いながら駆け足でタカトを追いかけた。