
本日、食したカップラーメンはこちら!
マルちゃん
がっつり大盛 マジ盛
「魅惑の豚醤油」
ニンニクと黒コショウのパンチ!
だぁぁぁぁぁぁ!

早速! いただきます!
天気は晴れ。
朝から気持ちのいい青空……なのだが、それどころではない。
電卓の上にコーヒーこぼしたぁぁぁぁぁ!
慌てて拭き取ったものの、よりによって電卓の上とは……。
キーの隙間にまで入り込んでいないだろうか?
そもそも、これ、ちゃんと動くのか?
電卓なんて、普段は何気なく使っているけれど、壊れたら地味に困る仕事道具である。
……頼む! 計算結果だけはコーヒーの気分で変わらないでくれ!(笑)
そんな朝からの大惨事に頭を抱えながら湯を沸かし、手に取ったのは
マルちゃん
がっつり大盛 マジ盛
「魅惑の豚醤油」
ニンニクと黒コショウのパンチ!
湯を注いで数分。
フタを開ければ、ニンニクの力強い香りがガツン!
スープをひと口飲むと、豚の旨みが効いた醤油ベースのコクに、黒コショウのピリッとした刺激が重なる。
そこへ食べ応えのある麺が絡み、なかなかのパンチ力。
さすがはマジ盛。味もボリュームも遠慮がない。
朝の失敗で消耗した気力を取り戻すには、ちょうどいい一杯だ。
──まさに青天霹靂。
青天霹靂(せいてんのへきれき):突然起こる、思いがけない出来事に驚くこと。
晴れ渡った空の下、まさか電卓だけがコーヒーの集中豪雨に見舞われるとは……。
とりあえず、しっかり乾かして無事を祈るしかない。
……もし壊れていたら、今日のコーヒー代はずいぶん高くついたことになるなぁ(笑)。
今日のこれはパンチ度9/10級。ニンニクと黒コショウの刺激は大歓迎だが、電卓へのコーヒー攻撃だけは二度と御免ですwww
ということで、今日は「何気なく」つながりのお話を
「しかし、よく食うな」
アルテラが面白そうにタカトを見つめている。
ガツ・ガツ・ガツ! ムシャ・ムシャ・ムシャ!
タカトは、一心不乱に飯をかき込んでいる。
ほどなくして、空になった食器を物欲しそうに見つめるタカト。
皿は隅々までベロでなめ尽され、洗った皿よりもピカピカになっていた。
まるで、打ち捨てられた子犬が空の餌箱の前で耳を垂れているように見えたのか、アルテラはポケットを探った。
「これでも食べるか?」
そっと、手のひらをタカトの前へ。
「なんだ……これ?」
タカトはその手のひらに乗った物体を不思議そうに凝視した。
見た目は丸い……まん丸い。
まん丸い玉が、ビニールに包まれ、両端だけがリボンのようにねじられていた。
指でつついてみた。ツン・ツン……
アルテラの手のひらの上でわずかに転がる。
その表面は、かなり固いようだ。
――匂いは?
手のひらに鼻を近づけて、クン・クン……
――イチゴのにおい……
わずかな石鹸の香りの中に、甘い匂いが漂っていた。
――もしかしたら、これは食べ物なのかもしれない!
「お前……もしかして、アメも知らんのか……?」
アルテラは包みをさっと外すと、タカトの口にそっと押し込んだ。
「あまぁぁぁぁい!」
タカトの目が、とろけるような甘さにほころんでいく。
「お前! いいやつだな!」
満面の笑みで、タカトはアルテラの手を取るとブンブンとゆすった。
アルテラは、恥ずかしそうにうつむいた。
そして、意を決したかのように小さく呟いた。
「お前……私が気持ち悪くないのか……」
「なんで?」
キョトンとするタカト。
「私は緑女だぞ!」
「あぁ、その緑の髪のことか」
「そうだ……」
「きれいだと思うよ。うん、実際にさっき本当にきれいだと思ったからな」
アルテラは、恐る恐る問い返した。
「私に触れていると魔物になるかもしれないんだぞ……」
「お前、バカじゃないか! 髪が緑なだけで魔物になるかよ!」
ケラケラと笑うタカト。
アルテラは今にも泣きだしそうにつぶやいた。
「緑女とはそういうものなんだ……」
「お前が魔物なら、俺の爺ちゃんなんか『妖怪山爺(やまじじい)』そのものじゃんか!」
イカ、いや……以下、林民明書房刊『異界妖怪全書・深山幽谷編』より抜粋
<山爺(やまじじい)>
深山に棲む老人型妖怪。
カレーを愛し、芋を好み、壊れた道具を見ると修理せずにはいられない奇怪な習性を持つ。
その加工技術は神具すら蘇らせるとされ、「山爺に直せぬ物なし」と古来より語り継がれてきた。
ただし、山爺へ仕事を依頼する際には一つだけ絶対の禁忌がある。
「ありがとうございます」
と言われると、
「礼ならええ。それよりカレーじゃ!」
と電気ネズミのピカピカ中辛カレーの入った鍋へ連行されるため、一度助けられた者は二度と夕食時に山へ近寄らなくなるという。

「わははははは」
自分のたとえに妙にはまったタカトは大笑いする。
オオボラも意表を突かれ、思わずプッと噴き出した。
「ところで、青いスライム知らないか? 俺の腕に引っ付いていたと思うんだけど?」
タカトは、アメを口の中で転がしながら、何気なく右腕へ目を落とした。
いつものポジションにタマの姿はない。
代わりに目へ入ったのは、いつものぼろ服ではなく、白い病院服に身を包んだ自分の姿だった。
いつも着ていた服はというと……きれいに洗濯され、椅子の上へ丁寧にたたまれていた。
そこにはプリントされたアイナちゃんが笑っていた。
薄汚れ紫色のゾンビのようだったアイナちゃん……
黒いシミのような涙を浮かべたアイナちゃん……
しかし、なんということでしょう!
しっかりと人間らしい肌色へと戻って笑っているではありませんか!
って、どれだけ洗濯してなかったんだよ!
でも、きっと服についていたダニも、ちゃんと駆除されたことだろう。
よかった! よかった!

「あの半魔だったらちゃんと駆除しておいてあげたわよ」
笑いながら答えるアルテラ。
咄嗟にタカトの目が吊り上がる。
「何してんだ!」
あまりの豹変ぶりに、アルテラは思わず息をのんだ。
鬼のような形相で睨み付けるタカトに、本気でおびえた。
さっきまでの優しいほほ笑みは嘘だったのか。
今にもアルテラにつかみかかろうとするタカト。
それを制するように、オオボラが静かにつぶやいた。
「タカト、安心しろ。あのスライムは死んでやしない。ただ、今はどこかに逃げてしまっただけだ」
咄嗟にオオボラに目をやるタカト。
その目から、鬼気迫る色がふっと消えた。
ふぅ……と息を吐く。
「そうか……悪かったな」
振り上げた手を静かに下すと、アルテラを驚かせてしまったことを素直に詫びた。
しかし、アルテラはというと、逆にタカトを許す言葉を返すことができなかった。
どう返せばいいのか、それすら分からなかったのである。
緑女と忌み嫌われ、常に一人ぼっちだったアルテラは、人と深く接した経験がほとんどない。
自分が謝るべきなのか。
謝られた自分が許すべきなのか。
それとも、オオボラに助けを求めるべきなのか。
そんな当たり前のことすら、アルテラには分からなかった。
「半魔のスライムごときでなんだ!」
混乱するアルテラは、そう言うのが精いっぱいであった。
勢いよく立ち上がったかと思うと、ズカズカと病室を出て行ってしまった。
タカトは、ぽか~んとアルテラを見送るしかできなかった。
オオボラはアルテラを追いかけようと病室の入り口に足をかける。
「いいかタカト。最低でも一週間はここにいろよ。アルテラさまは、一般国民のお前を魔物から救助するためにエメラルダの捕縛をあきらめたことになっているのだからな。分かったな」
前日の夕刻――。
王宮の謁見の間で、オオボラはアルダインの前に片膝をついていた。
隣にはネル。
腕を組み、険しい表情でオオボラを見下ろしている。
「それで?」
ネルの冷たい声が響く。
「エメラルダはどうした」
「……捕縛には至りませんでした」
ネルの眉がぴくりと動いた。
オオボラは頭を下げたまま、万命寺で起きたことを一つずつ報告していく。
「万命寺にはエメラルダの姿はありませんでした。しかし、その後、森の中で黄金弓を所持する女を発見いたしました」
「黄金弓だと?」
それまで黙っていたアルダインが、わずかに身を乗り出す。
「はい。エメラルダが所持していた、あの黄金弓に間違いございません」
「ならば、その女がエメラルダだったのではないのか?」
「いえ」
オオボラは首を横へ振った。
「神民魔人でした」
ネルの目が細くなる。
「神民魔人が……なぜエメラルダの黄金弓を持っている」
「本人にも問いただしました。すると、その魔人は――」
オオボラは一瞬、言葉を切った。
「エメラルダは自分が食った、と」
「なっ……!」
ネルの顔色が変わる。
だが、すぐにオオボラは続けた。
「もっとも、それが真実であるかどうかは確認できておりません」
「どういうことだ」
「……取り逃がしました」
一瞬。
謁見の間が静まり返った。
「取り逃がしただと!?」
ネルの怒声が響き渡る。
「貴様! 万命寺へあれだけの兵を率いておきながら、エメラルダどころか神民魔人一匹すら捕らえられなかったというのか!」
「申し訳ございません」
「申し訳ないで済むか!」
ネルが一歩踏み出す。

「では、エメラルダが生きているのか死んでいるのか、それすら分からぬということではないか!」
「……そのとおりです」
「何をしていた!」
オオボラは黙って頭を下げる。
ネルはさらに詰め寄ろうとした。
だが――。
「まあ、待て。ネルよ」
アルダインが面白そうに口元を緩めた。
「まだ話の途中であろう」
そして、オオボラへ視線を戻す。
「なぜ取り逃がした?」
「アルテラ様が森へ入り込み、魔物に襲われかけました」
「アルテラが!?」
ネルの怒りが、一瞬で消えた。
「それで! アルテラはどうした!」
「ご無事です」
その一言に――。
「……そうか」
ネルの肩から、目に見えて力が抜けた。
「怪我は?」
「ございません。危ういところではありましたが、無事に救出しております」
「そうか……よかった……」
ネルは胸元へ手を当て、小さく息を吐いた。
先ほどまでオオボラを射殺さんばかりだった目から、険しさが消えていた。
そんなネルを横目に、アルダインは喉の奥で笑った。
「ククク……」
ネルが振り返る。
「何がおかしいのです、アルダイン様」
「いや、なに」
アルダインは肘掛けへ頬杖をついた。
「エメラルダを捕らえられず、正体の知れぬ神民魔人まで取り逃がした。確かに褒められた結果ではない」
そこで一度言葉を切る。
そして――。
「だが、万命寺を燃やしたのであろう?」
「……はい」
オオボラの拳が、わずかに握られた。
「ワシの命令どおりにな」
アルダインの口元が、ゆっくりと吊り上がる。
「それで十分ではないか」
「アルダイン様!」
ネルが声を荒らげる。
しかし、アルダインはますます楽しそうに笑った。
「面白いではないか。あれほど万命寺に恩義を感じていた男が、自ら火を放ったのだぞ」
オオボラは何も答えない。
「ガンエンは、どんな顔をしておった?」
「……」
「怒ったか? 嘆いたか? それとも、お前を恨んだか?」
答えないオオボラを眺めながら、アルダインは愉快そうに肩を揺らした。
「ククク……見たかったものよ」
オオボラは、ただ深く頭を垂れた。
その顔は誰からも見えない。
「まあよい」
アルダインは椅子へ深くもたれかかった。
「エメラルダが死んだというのなら、それでよし。生きておるというのなら、いずれまた姿を現すであろう」
「しかし――」
ネルが口を挟もうとする。
「それよりも」
アルダインはネルの言葉を遮った。
「アルテラが無事だったのであろう?」
ネルは口を閉ざした。
「ならば、お前も文句はあるまい」
「……はい」
不満げではある。
だが、ネルはそれ以上何も言わなかった。
アルダインは再びオオボラへ目を向ける。
「下がれ、オオボラ」
「御意」
深く頭を下げ、立ち上がる。
謁見の間を出ようとした、その時だった。
「オオボラ」
アルダインに呼び止められる。
オオボラは足を止めた。
「はい」
「ご苦労であったな」
その声には労いよりも――。
どこか、人の心を弄んだ者だけが浮かべる、愉悦が滲んでいた。
そして――現在、タカトの病室。
「あぁ、分かったよ」
タカトの返事が、病室に響いた。
「……ならいい」
オオボラは先ほどアルテラが出ていった扉へ目をやる。
もう、その姿はどこにもない。
「ったく、あの馬鹿公女は……」
小さく悪態をつくと、オオボラは慌てて病室を飛び出した。
その足音は、アルテラを追うように廊下の向こうへ遠ざかっていった。
























