ぺんぺん草のすけのブログ

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令和8年11月6日の昼飯

 

本日、食したカップラーメンはこちら!

マルちゃん
がっつり大盛 マジ盛
「魅惑の豚醤油」
ニンニクと黒コショウのパンチ!

だぁぁぁぁぁぁ!

 

 

早速! いただきます!

天気は晴れ。
朝から気持ちのいい青空……なのだが、それどころではない。

電卓の上にコーヒーこぼしたぁぁぁぁぁ!

慌てて拭き取ったものの、よりによって電卓の上とは……。
キーの隙間にまで入り込んでいないだろうか?
そもそも、これ、ちゃんと動くのか?
電卓なんて、普段は何気なく使っているけれど、壊れたら地味に困る仕事道具である。
……頼む! 計算結果だけはコーヒーの気分で変わらないでくれ!(笑)

そんな朝からの大惨事に頭を抱えながら湯を沸かし、手に取ったのは

マルちゃん
がっつり大盛 マジ盛
「魅惑の豚醤油」
ニンニクと黒コショウのパンチ!

湯を注いで数分。
フタを開ければ、ニンニクの力強い香りがガツン!
スープをひと口飲むと、豚の旨みが効いた醤油ベースのコクに、黒コショウのピリッとした刺激が重なる。
そこへ食べ応えのある麺が絡み、なかなかのパンチ力。
さすがはマジ盛。味もボリュームも遠慮がない。
朝の失敗で消耗した気力を取り戻すには、ちょうどいい一杯だ。

──まさに青天霹靂。

青天霹靂(せいてんのへきれき):突然起こる、思いがけない出来事に驚くこと。

晴れ渡った空の下、まさか電卓だけがコーヒーの集中豪雨に見舞われるとは……。
とりあえず、しっかり乾かして無事を祈るしかない。
……もし壊れていたら、今日のコーヒー代はずいぶん高くついたことになるなぁ(笑)。

今日のこれはパンチ度9/10級。ニンニクと黒コショウの刺激は大歓迎だが、電卓へのコーヒー攻撃だけは二度と御免ですwww

 

ということで、今日は「何気なく」つながりのお話を

 

kakuyomu.jp

 

「しかし、よく食うな」

 アルテラが面白そうにタカトを見つめている。

 ガツ・ガツ・ガツ! ムシャ・ムシャ・ムシャ!

 タカトは、一心不乱に飯をかき込んでいる。

 ほどなくして、空になった食器を物欲しそうに見つめるタカト。

 皿は隅々までベロでなめ尽され、洗った皿よりもピカピカになっていた。

 

 まるで、打ち捨てられた子犬が空の餌箱の前で耳を垂れているように見えたのか、アルテラはポケットを探った。

「これでも食べるか?」

 そっと、手のひらをタカトの前へ。

「なんだ……これ?」

 タカトはその手のひらに乗った物体を不思議そうに凝視した。

 見た目は丸い……まん丸い。

 まん丸い玉が、ビニールに包まれ、両端だけがリボンのようにねじられていた。

 指でつついてみた。ツン・ツン……

 アルテラの手のひらの上でわずかに転がる。

 その表面は、かなり固いようだ。

 ――匂いは?

 手のひらに鼻を近づけて、クン・クン……

 ――イチゴのにおい……

 わずかな石鹸の香りの中に、甘い匂いが漂っていた。

 ――もしかしたら、これは食べ物なのかもしれない!

「お前……もしかして、アメも知らんのか……?」

 アルテラは包みをさっと外すと、タカトの口にそっと押し込んだ。

「あまぁぁぁぁい!」

 タカトの目が、とろけるような甘さにほころんでいく。

「お前! いいやつだな!」

 満面の笑みで、タカトはアルテラの手を取るとブンブンとゆすった。

 アルテラは、恥ずかしそうにうつむいた。

 そして、意を決したかのように小さく呟いた。

「お前……私が気持ち悪くないのか……」

「なんで?」

 キョトンとするタカト。

「私は緑女だぞ!」

「あぁ、その緑の髪のことか」

「そうだ……」

「きれいだと思うよ。うん、実際にさっき本当にきれいだと思ったからな」

 アルテラは、恐る恐る問い返した。

「私に触れていると魔物になるかもしれないんだぞ……」

「お前、バカじゃないか! 髪が緑なだけで魔物になるかよ!」

 ケラケラと笑うタカト。

 アルテラは今にも泣きだしそうにつぶやいた。

「緑女とはそういうものなんだ……」

「お前が魔物なら、俺の爺ちゃんなんか『妖怪山爺(やまじじい)』そのものじゃんか!」

 イカ、いや……以下、林民明書房刊『異界妖怪全書・深山幽谷編』より抜粋

 <山爺(やまじじい)>

 深山に棲む老人型妖怪。

 カレーを愛し、芋を好み、壊れた道具を見ると修理せずにはいられない奇怪な習性を持つ。

 その加工技術は神具すら蘇らせるとされ、「山爺に直せぬ物なし」と古来より語り継がれてきた。

 ただし、山爺へ仕事を依頼する際には一つだけ絶対の禁忌がある。

 「ありがとうございます」

 と言われると、

 「礼ならええ。それよりカレーじゃ!」

 と電気ネズミのピカピカ中辛カレーの入った鍋へ連行されるため、一度助けられた者は二度と夕食時に山へ近寄らなくなるという。



「わははははは」

 自分のたとえに妙にはまったタカトは大笑いする。

 オオボラも意表を突かれ、思わずプッと噴き出した。

「ところで、青いスライム知らないか? 俺の腕に引っ付いていたと思うんだけど?」

 タカトは、アメを口の中で転がしながら、何気なく右腕へ目を落とした。

 いつものポジションにタマの姿はない。

 代わりに目へ入ったのは、いつものぼろ服ではなく、白い病院服に身を包んだ自分の姿だった。

 いつも着ていた服はというと……きれいに洗濯され、椅子の上へ丁寧にたたまれていた。

 そこにはプリントされたアイナちゃんが笑っていた。

 薄汚れ紫色のゾンビのようだったアイナちゃん……

 黒いシミのような涙を浮かべたアイナちゃん……

 しかし、なんということでしょう!

 しっかりと人間らしい肌色へと戻って笑っているではありませんか!

 って、どれだけ洗濯してなかったんだよ!

 でも、きっと服についていたダニも、ちゃんと駆除されたことだろう。

 よかった! よかった!



「あの半魔だったらちゃんと駆除しておいてあげたわよ」

 笑いながら答えるアルテラ。

 咄嗟にタカトの目が吊り上がる。

「何してんだ!」

 あまりの豹変ぶりに、アルテラは思わず息をのんだ。

 鬼のような形相で睨み付けるタカトに、本気でおびえた。

 さっきまでの優しいほほ笑みは嘘だったのか。

 今にもアルテラにつかみかかろうとするタカト。

 それを制するように、オオボラが静かにつぶやいた。

「タカト、安心しろ。あのスライムは死んでやしない。ただ、今はどこかに逃げてしまっただけだ」

 

 咄嗟にオオボラに目をやるタカト。

 その目から、鬼気迫る色がふっと消えた。

 ふぅ……と息を吐く。

「そうか……悪かったな」

 振り上げた手を静かに下すと、アルテラを驚かせてしまったことを素直に詫びた。

 しかし、アルテラはというと、逆にタカトを許す言葉を返すことができなかった。

 どう返せばいいのか、それすら分からなかったのである。

 緑女と忌み嫌われ、常に一人ぼっちだったアルテラは、人と深く接した経験がほとんどない。

 自分が謝るべきなのか。

 謝られた自分が許すべきなのか。

 それとも、オオボラに助けを求めるべきなのか。

 そんな当たり前のことすら、アルテラには分からなかった。

「半魔のスライムごときでなんだ!」

 混乱するアルテラは、そう言うのが精いっぱいであった。

 勢いよく立ち上がったかと思うと、ズカズカと病室を出て行ってしまった。

 タカトは、ぽか~んとアルテラを見送るしかできなかった。

 オオボラはアルテラを追いかけようと病室の入り口に足をかける。

「いいかタカト。最低でも一週間はここにいろよ。アルテラさまは、一般国民のお前を魔物から救助するためにエメラルダの捕縛をあきらめたことになっているのだからな。分かったな」

 前日の夕刻――。

 王宮の謁見の間で、オオボラはアルダインの前に片膝をついていた。

 隣にはネル。

 腕を組み、険しい表情でオオボラを見下ろしている。

「それで?」

 ネルの冷たい声が響く。

「エメラルダはどうした」

「……捕縛には至りませんでした」

 ネルの眉がぴくりと動いた。

 オオボラは頭を下げたまま、万命寺で起きたことを一つずつ報告していく。

「万命寺にはエメラルダの姿はありませんでした。しかし、その後、森の中で黄金弓を所持する女を発見いたしました」

「黄金弓だと?」

 それまで黙っていたアルダインが、わずかに身を乗り出す。

「はい。エメラルダが所持していた、あの黄金弓に間違いございません」

「ならば、その女がエメラルダだったのではないのか?」

「いえ」

 オオボラは首を横へ振った。

「神民魔人でした」

 ネルの目が細くなる。

「神民魔人が……なぜエメラルダの黄金弓を持っている」

「本人にも問いただしました。すると、その魔人は――」

 オオボラは一瞬、言葉を切った。

「エメラルダは自分が食った、と」

「なっ……!」

 ネルの顔色が変わる。

 だが、すぐにオオボラは続けた。

「もっとも、それが真実であるかどうかは確認できておりません」

「どういうことだ」

「……取り逃がしました」

 一瞬。

 謁見の間が静まり返った。

「取り逃がしただと!?」

 ネルの怒声が響き渡る。

「貴様! 万命寺へあれだけの兵を率いておきながら、エメラルダどころか神民魔人一匹すら捕らえられなかったというのか!」

「申し訳ございません」

「申し訳ないで済むか!」

 ネルが一歩踏み出す。



「では、エメラルダが生きているのか死んでいるのか、それすら分からぬということではないか!」

「……そのとおりです」

「何をしていた!」

 オオボラは黙って頭を下げる。

 ネルはさらに詰め寄ろうとした。

 だが――。

「まあ、待て。ネルよ」

 アルダインが面白そうに口元を緩めた。

「まだ話の途中であろう」

 そして、オオボラへ視線を戻す。

「なぜ取り逃がした?」

「アルテラ様が森へ入り込み、魔物に襲われかけました」

「アルテラが!?」

 ネルの怒りが、一瞬で消えた。

「それで! アルテラはどうした!」

「ご無事です」

 その一言に――。

「……そうか」

 ネルの肩から、目に見えて力が抜けた。

「怪我は?」

「ございません。危ういところではありましたが、無事に救出しております」

「そうか……よかった……」

 ネルは胸元へ手を当て、小さく息を吐いた。

 先ほどまでオオボラを射殺さんばかりだった目から、険しさが消えていた。

 そんなネルを横目に、アルダインは喉の奥で笑った。

「ククク……」

 ネルが振り返る。

「何がおかしいのです、アルダイン様」

「いや、なに」

 アルダインは肘掛けへ頬杖をついた。

「エメラルダを捕らえられず、正体の知れぬ神民魔人まで取り逃がした。確かに褒められた結果ではない」

 そこで一度言葉を切る。

 そして――。

「だが、万命寺を燃やしたのであろう?」

「……はい」

 オオボラの拳が、わずかに握られた。

「ワシの命令どおりにな」

 アルダインの口元が、ゆっくりと吊り上がる。

「それで十分ではないか」

「アルダイン様!」

 ネルが声を荒らげる。

 しかし、アルダインはますます楽しそうに笑った。

「面白いではないか。あれほど万命寺に恩義を感じていた男が、自ら火を放ったのだぞ」

 オオボラは何も答えない。

「ガンエンは、どんな顔をしておった?」

「……」

「怒ったか? 嘆いたか? それとも、お前を恨んだか?」

 答えないオオボラを眺めながら、アルダインは愉快そうに肩を揺らした。

「ククク……見たかったものよ」

 オオボラは、ただ深く頭を垂れた。

 その顔は誰からも見えない。

「まあよい」

 アルダインは椅子へ深くもたれかかった。

「エメラルダが死んだというのなら、それでよし。生きておるというのなら、いずれまた姿を現すであろう」

「しかし――」

 ネルが口を挟もうとする。

「それよりも」

 アルダインはネルの言葉を遮った。

「アルテラが無事だったのであろう?」

 ネルは口を閉ざした。

「ならば、お前も文句はあるまい」

「……はい」

 不満げではある。

 だが、ネルはそれ以上何も言わなかった。

 アルダインは再びオオボラへ目を向ける。

「下がれ、オオボラ」

「御意」

 深く頭を下げ、立ち上がる。

 謁見の間を出ようとした、その時だった。

「オオボラ」

 アルダインに呼び止められる。

 オオボラは足を止めた。

「はい」

「ご苦労であったな」

 その声には労いよりも――。

 どこか、人の心を弄んだ者だけが浮かべる、愉悦が滲んでいた。

 そして――現在、タカトの病室。

「あぁ、分かったよ」

 タカトの返事が、病室に響いた。

「……ならいい」

 オオボラは先ほどアルテラが出ていった扉へ目をやる。

 もう、その姿はどこにもない。

「ったく、あの馬鹿公女は……」

 小さく悪態をつくと、オオボラは慌てて病室を飛び出した。

 その足音は、アルテラを追うように廊下の向こうへ遠ざかっていった。

令和8年11月5日の昼飯

 

本日、食したカップラーメンはこちら!

マルちゃん
「うまいヨゆうちゃんラーメン どっ豚骨」
TRYラーメン大賞 名店部門とんこつ1位

だぁぁぁぁぁぁ!

 

 

 

 

早速! いただきます!

天気は曇り。
最近、雨が降ったりやんだりと、どうにもすっきりしない天気が続いている。
しかも、天気予報がいまいち当たらない。
晴れると思っていたら雨が降り、雨が降ると思っていたら降らない。
……おいおい、どっちなんだよ!
傘を持って出れば邪魔になり、持たずに出れば濡れる。
もはや天気予報より、自分の勘を信じた方がいいのではなかろうか?
……まあ、その勘も大して当たらないのだが(笑)。

そんな気まぐれな空模様に振り回されながら湯を沸かし、手に取ったのは

マルちゃん
「うまいヨゆうちゃんラーメン どっ豚骨」
TRYラーメン大賞 名店部門とんこつ1位。

フタを開ければ、豚骨らしい濃厚な香り。
湯を注いで数分、スープをひと口飲むと、豚骨の旨みがガツンと押し寄せてくる。
なるほど、「どっ豚骨」と名乗るだけあって、なかなかの濃厚さ。
麺にもスープがしっかり絡み、豚骨のコクを存分に楽しめる。
名店の味をカップ麺で気軽に味わえるのは、ありがたいものだ。

──まさに朝令暮改。

朝令暮改(ちょうれいぼかい):朝に出した命令を夕方には変えることから、方針や決定がころころ変わって定まらないこと。

晴れの予報が雨になり、雨の予報が曇りになる。
天気予報も、まさしく朝令暮改……と言いたくなる今日この頃。
まあ、自然相手では予報する方も大変なのだろうが、せめて傘が必要かどうかくらいは当ててほしい(笑)。

今日のこれは濃厚度9/10級。空模様はどっちつかずでも、豚骨の主張だけは迷いのない一杯でした。

ということで、今日は「朝令暮改」つながりのお話を。

 

kakuyomu.jp

 

「タカト! 何とかしないと」

 ビン子もまた、あの時の犬たちであることに気づいたようだ。

 だが、何とかしたくても相手は巨大なイノシシ。

 この場にいるのが魔装騎兵なら、イノシシなど瞬殺モノである!

 だが……タカトは……少年同士の喧嘩にも勝てない……

 そんなタカトが下に降りたところで、どうにもならないというもの……

 ならないのだが……このままでいいわけもない。

 というのもイノシシの様子。今すぐにでも子犬にとびかかりそうな勢いなのである。

 ならば!

 と、タカトとビン子は、落ちていた石を拾い上げると崖下めがけて投げつけだした。

 ビュン! びゅん! ビュン!

 大小さまざまな石が飛んでいく。

 しかし! ノーコントロールの二人。

 懸命に石を投げるが一向にイノシシに当たらない。

 あれほど的がでかいにもかかわらずであるwwwwこの!役立たず!

 まぁ、石が当たったところでイノシシを倒せるとは思っていない。

 要はイノシシの殺気が犬からコッチに移れば儲けものなのだ。

 というのも! 二人がいるのは崖の上!

 それも、垂直以上に切り立った、いや、せり出した崖なのだ!

 いかにイノシシがこちらに狙いを定めようが崖の上には登ってこれない。

 飛べない豚はただの豚だ!

 そう! 奴は!ただの豚!

 なに?豚なのかイノシシなのかはっきりしろって?

 そんなのどっちでもいいんだよ!

 デブは豚!

 豚はイノシシ!

 だいたい奴の脂肪にまとわれた背中には羽なんてついていやしない!

 まして、あのぶっとい豚足では飛行機の操縦なんてできやしないのだ!

 ならば、崖の上は絶対的な安全地帯!

 いかに喧嘩の弱いタカトであっても負けはしないのだ!

 ますます調子に乗ったタカトはイノシシを挑発し始めた!

「この豚野郎! てめえの汚ねぇケツを掘ってやるぞ! こっちに来れるもんならこっちに来てみやがれってんだ!」

 だから……崖の上には来れないんだって……

 崖下から崖の上へはぐるりと回ってこないと辿り着けない。

 いかにイノシシが全速力で走ったとしても10分はかかることだろう。

 そのことをビン子も理解したようで、タカトの挑発に調子を合わせる。

「豚さん。こちらですよぉ~♪」

 だが、イノシシも馬鹿にされているのが分かったのだろうか。

 ぐるりと顔を背後に回すと崖上のタカトとビン子をにらみつけたのだ。

 ふがーーーーーー# # # # # #

 それは、まさに怒髪天をつく勢い。

 まぁ、イノシシの場合、どこからどこまでが髪の毛なのか分からない。

 そのため、全身の毛が逆立っていた。

 ――ひーーーー! あの豚! 怒っとる!

 当然、タカトはビビった。

 というのも二人に向けられる怒りは、魔装騎兵の闘気にも匹敵するほどの威圧感。

 あんなものと戦えと言われたら、秒で!速攻!お断り!

 というか、勝てる気がしない!

 だが! 今は負ける気もしないのだwwww

 ということで! 挑発続行wwww

「この豚野郎! 尻がでかくて登れないのか! お前の尻なんか小さい方じゃ!」

「こちらにおいで、手のなる方へ♪」

 ぱん! ぱん! パン!

 ビン子も面白そうに手を叩く!

 もう、面白くなってきたタカトの挑発は勢いを増した!

「この豚野郎! フガフガ言ってんじゃねぇぞ! コラ! うちの尻デカ女は、お前なんかよりも!もっと鼻息荒いぞ!」

 タカトは石を投げながら言葉をつづける!

「ぶた! 豚! 豚! お前の乳は小さいのに体だけはやけにデカい!いや!態度だけはメッチャでかいのぉ!」

 あくまでも!イノシシに向かって石を投げながら!

「飯がまずいんじゃ! 口が悪いんじゃ! 自分のベッドで寝やがれ! この豚ぁぁぁぁ!」

 何度も言うがイノシシに向かって石を投げながら……である……

 そして、ビン子も……

 って、なんだか白い目でタカトをにらみつけていた。

 じとーーーーーー……

 さっきまで、あれほど面白がって豚を挑発していたにもかかわらず、なにやら怪訝そうな目をタカトに向けているのだ。

「……ちょっと……タカト……豚の挑発にかこつけて、さっきから私のことディスってない?」

「へっ……(;'∀')」

 タカトの石を投げる手が止まった。

 ――もしかして、バレたか……?

 というのも、悪口をすぐさま発するという行為は意外と難しいのだ。

 作者を含め人の良い人間というのは 日ごろ、人をディスったことがない。

 だからこそ、悪口など簡単に思いつかないのである。

 ならばどうする。どうすればいい!

 簡単ではないかwwww

 日ごろのうっ憤!思いのたけをぶちまければいいのだ!

 クソ上司に対して思っていること!

「くそ上司! その命令!朝令暮改なんだよ! お前の脳みそは猿並みか!いや穴の空いたザルか!」 

 妻に対して感じている不満!

「ごにょごにょごにょ……(バレたらマジでマズイのでとてもここでは書けません(-_-;))」

 それを「学校に行こう」という番組内で行われた「未成年の主張」のように大きな声で叫べばいいのだ!

 ここは崖上! せり出た崖の先!

 屋上と同じように端に立て叫べば声は通る!

 ということで、この際だからタカトは日頃思っていることを思いっきり叫んでみたwwwww

 だが、やはり……悪口とはバレるものwwww

 それとなく……主語を省いて、暗に言ったつもりなのにもかかわらず……

 というのも、悪口を言われた本人は気づくものなのだ。

 感受性が鋭いとかそんなレベルではない。

 直観! 天のお告げ! 生存本能が自己を否定する天敵を感知する! まさにそんなレベルで、コイツ!今!私の事をディスっているわ!って気づくのだ。

 で、この後、悪口を言われた本人のとる行動は……

 ① 無視をする。

 日本人としてはよくある行動パターンwwww争いごとを避ける場合には、一番のおすすめである。

 ② なんでそんなことを言うの! と悪口を言うのをやめさせようとする。

 子を持つ親としては、まず、なぜ問題が起こっているのかということを当事者同士で話し合いさせたいものだ。それで解決するのであれば、互いにいい方向に向かって改善できたという事に他ならない。まぁ、仮に当事者間で解決できなかったとしても、まわりに助けを求めることができるということをかんがえれば、なかなかいい方法だとおもう。

 ③ とりあえず!一発殴っとく!

 一番、手っ取り早いわなwwww

 学校におけるいじめでも相手が反撃してこないとタカをくくっているからドンドンとエスカレートするのである。

 ならば一発どつく!

 悪口を言われた時点で、とにかくどつく!

 だが、中途半端にどついたぐらいでは「コイツ、何むきになってんのwww超ウケるwww」ってことになりかねないので、どつくときは「こいつ!マジでヤバい!」と思われるぐらいに命がけでどつく!

 ということで、ジャンプしたビン子はハリセンを振り上げた。

 それも思いっきり体を反らして上段に!

 そして! 渾身の力を込めて一直線に振り下ろすのだ!

 ビシドカンっ!

 ビシドカンっ?

 ビシっ!……じゃなくてビシドカンっ?

 そう……ビシがちょびっとで、あと!ドカンっwww

 タカトの頭に「ビシ」っとハリセンの先端が触れた瞬間!タカトの足元が激しく揺れた。

 それはまるで地震のよう。

「なに⁉」

 タカトは咄嗟に足を出し揺れる体を支える。

 もう、そこにはハリセンの衝撃にもだえてやる余裕などありはしなかった。

 そう、あの時……ビン子がバカにされて怒った時の事である。

 その場にはディスられて怒った奴がもう一人……いや、もう一匹いたのだ。

 崖下で子犬と対峙していた豚。いわゆるイノシシである。

 おそらく、タカト達に馬鹿にされたことを理解できるほどの知能があったのだろう。

 その知能をフル回転して一つの答えを導き出す。

 一発殴る!

 マジで殴る!

 どうやら、コイツもまたビン子同様に一発どつくという選択肢を選んだようなのだ。

 唐突に崖にむかって突進する巨体。

 その勢いのままに反り立つ壁へと突っ込んだ!

 ドカンっ!

 激しい衝撃が崖全体を襲う。

 しかも、そこはせり出した崖の壁

 逃げ場のない衝撃波は反復共鳴を伴って崖の根元へと集中する。

 次の瞬間! タカトの足元にひびが入った!

 ちょうどそこは突出した崖の根本。

 そんな場所にハリセンを振り下ろしたビン子の足が着地したのだ。

 その重み、その衝撃が悪かったというのだろうか……ヒビは大きな裂け目へと変わると割れた先端が崖下へと落ち始めたのである。

 それも、ビン子の体を伴って!

「え?」

 訳の分からないビン子!

 ハリセンでドツこうとビン子の視界はタカトの顔を確かにとらえていた。

 それが、突然、ぐるりと回り青空へと変わったのである。

 そんな視界の端に消えていくタカトの表情が驚いている!

「タカト!」

 ビン子はタカトへと咄嗟に右手を伸ばす。

 あおむけに落ちていくビン子の体。

「ビン子ぉぉぉぉお!」

 タカトもまた反射的に手を伸ばした。

 それは考えるよりも早く!本能的に!

 大切なものを守る!

 愛するものを守る!

 自分の身がどうなろうとも!

 そんなタカトはビン子をつかんだ手を思いっきり引っ張った。

 体をひねり、その反動を使って後方へとビン子の体を投げ飛ばす。

 そのかいあってか、ビン子は何とか崖のへりにしがみつくことができたのだ。

 ――よかった……ビン子が無事で……

 だが……

 タカトには崖にしがみつくビン子の姿が、まるでスローモーションのようにどんどんと離れていくのだ。

「あれ……?」

 ――もしかして、俺……落ちてるとか?

 もしかしてではない、実際に落ちているのだwwww

 そう、落ちそうになったビン子を引っ張り上げた際、代わりにタカトの体が崖下へと落っこちた。

 だが、今さらそのことを理解したとしても仕方ない。

 聖人世界にも重力というものが存在する。

 それは高い所から低い所に落ちていく自然の摂理。

 タカトがいかにそれを拒もうと、自然法則は変えられない!

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

 悲鳴を上げるビン子……ではなくてタカト君wwww

 え?ビン子ちゃん?

 ビン子ちゃんは必死になって崖をよじ登っていたので、タカトの様子なんてわかりませんwwww

 ということで、地面に衝突! いらっしゃ~いwwww

 次の瞬間!タカトの体を激しい衝撃が襲った。

「いてぇ!」

 崖の高さはおよそ大人二人分。

 二階建ての高さぐらいである。

 そんな高さから落っこちたら骨折だってしかねない。

 だが、タカトは着地と同時に受け身を取った。

 落下の衝撃を回転で逃がす。

 こすりつけられる頭部や背中に激しい痛みが走っていく。

 だが、骨が折れるという最悪の事態は避けられた。

 そう!それは不格好ながらも、一応、前回り受け身。

 万命拳の修行と称して万命寺でしこたま練習した受け身のひとつである。

 おそらくガンエンに死ぬほどしごかれたせいなのだろう……おのずと受け身が取れるようになっていたのだ。

 タカト君! すごいじゃん!

 受け身が取れるようになってるじゃん!

 そのため、運よく「いてぇ!」だけで済んだのである!

 まぁ、そこまではよかった……よかったのだ……

 だが、尻もちをつくタカトの目の前には、イノシシが鼻息を荒くしながら、まるで「いらっしゃぁ~い♡」と言わんばかりに前足をこすっていた。

「コイツ、何むきになってんのwww超ウケるwww」

 タカトは顔を引きつらせて笑みを浮かべる。

 いや、もう、笑うしかなかったのだ。

 というのも、イノシシから逃げようとケツを後ろへと少しずつずらしていく。

 ずらしていくのだが、それはすぐに止まった。

 タカトの背中が崖の岩肌に当たったってそれ以上進めなくなっていたのである。

 万事休す!

 これ以上は行き止まり! 行き場がない!

 それを見たイノシシは「はい! 残念♡」と言わんばかりにタカトに突っ込んできた!

「おわぁっぁぁぁ……」

 慌てふためいたタカトはバタバタと四つん這いで逃げる。

 もう、みっともないとか言っている場合ではない!

 というか……腰が抜けて立ち上がることすらできなかったのだから仕方ないw

 イノシシの牙がそんなタカトタカトの袖をかすめて岩肌に突き刺さった。

 ふがーーーーーー# # # # # #

 天へと突き上げられるシシのあご。

 まるで豆腐でも切るかのようにタカトの背後の岩肌には一直線の深い溝がきざまれていた。

 さすがにこの状況、さっきまで調子に乗っていたいじめっ子が、思いもしなかった反撃を食らった時のようでもある。

「ひぇぇぇっ! こいつ!マジでヤバいって!」

 今のタカトにはイノシシを馬鹿にする余裕など全くない。

 まぁ、確かに……ベッツとの喧嘩にも勝てないタカトだ。イノシシに勝てるわけなどありはしなかった。

 ありはしなかったのだが……現状、そんなレベルのお話ではなかったのである。

 そう……状況は、もっと最悪!

 というのも……先ほどイノシシが突っ込んでくる際にタカトは見てしまったのだ……

 え? 何を?

 それはね……イノシシちゃんのつぶらな瞳……

 それを見た瞬間、タカトの目はイノシシちゃんの目にくぎ付けになった。

 それはもう!目と目で通じあう♡間柄かっていうぐらいwwww

 もはやアイコンタクト♡ 心の中で通じ合ったといっても過言ではないwwww

 何を隠そう!その瞬間!タカトには分かったのだ!

 イノシシの強い想いが!

 それは一途に恋焦がれる熱い思い!

 ひたすらに渇望する強い願望といってもいいだろう!

 そんなイノシシが思うのはただ一つ!

「にくぅー------------------!」

 ワンピースに出てくるルフィのごとく肉を食わせろと言っているに違いないのだ!

 ただ、残念ながら、その所望する肉は犬の肉などではない。

 そう……それは人の肉。

 それも、生気が多く宿る心臓と脳みそを食わせろと言っているのだ。

「こいつは……ま……も……の……」

 崖の上からでは気づかなかった……

 だって……イノシシの目って小さいから遠くからだと分からなかったのだ……

 でも、近づいてくる目はよく見えた。

 生存本能?

 火事場のクソ力?

 よく分からんが、ピンチになると人間の認識力は跳ね上がる!

 今まで見えていなかったものが、よりはっきりと見えるのだ。

 緑色のつぶらな瞳……

 それがちゃんとイノシシの顔に二つ付いていた。

 緑の目……それは言わずもがな魔人世界の生き物を現わしている。

 すなわち! この豚! ブタではなく魔物なのだ!

 魔物は人の脳を食って魔人へと進化する。

 それは人の姿に恋焦がれる魔物たちにとっては根源的な欲望。

 そのため、常に人を食らう事を渇望していた。

 そんな魔物の目の前に人であるタカトが無様に転がっているのだ。

 子犬からタカトへと狙いが変わるのは必然というもの。

 しかも! この豚!ただの魔物ではない! 魔豚のダンクロールだったのである!

(ちなみに、このダンクロール。制圧指標42。魔装騎兵数人がかりでの討伐が推奨されている。)



「なんだってぇぇぇぇえぇ!」

 もう、タカトじゃなくてもびっくり仰天!

 だって、ダンクロールっていったら、突進力はダンプカー並みに超強力で有名なのだ。

 もう、乗用車クラスのイノシシなんて比べ物にならない。

 その超強力な突進力で並みいる魔物を蹴散らしていく魔物の中の暴れん坊!

 そんな暴れん坊が、タカトの目の前にいるのであるwww

 もう、タカトのズボンの中の暴れん坊もシュンと縮こまって大人しくなってしまったぐらいである。

令和8年11月4日の昼飯

 

本日、食したカップラーメンはこちら!

エースコック スーパーカップ汁なし
「いか天ふりかけ付き焼そば」
イカしたウマさがスーパー!

だぁぁぁぁぁぁ!

 

 

 

早速! いただきます!

天気は曇り。
やらないといけないことが山ほどある。
あれもこれも片づけなければならないのだが、どうにもやる気が出ない。
優先順位を考えるだけでも面倒くさい。
まあ、そのうち何とかなるだろう。
……という根拠のない自信だけは、なぜか人一倍ある(笑)。
もっとも、仕事というものは放っておいても勝手に片づいてくれない。
誰か、私の代わりにやってくれませんかね?www

そんな現実逃避をしながら湯を沸かし、手に取ったのは

エースコック スーパーカップ汁なし
「いか天ふりかけ付き焼そば」
イカしたウマさがスーパー!

湯を切ってソースを絡めれば、食欲をそそる香ばしい香りがふわり。
そこへ付属のいか天ふりかけを投入。
ひと口食べれば、濃厚なソースの旨みに、いか天の香ばしさとサクサクした食感が加わって、なかなかいい組み合わせ。
麺もたっぷりで、さすがはスーパーカップ。
やる気はなくても、食欲だけはスーパー級である(笑)。

──まさに楽観主義。

楽観主義(らっかんしゅぎ):物事を明るく考え、将来は何とかなると捉える考え方。

仕事は山積み。やる気は底をついている。
それでも「まあ、何とかなるだろう」と思えるのだから、人間とは不思議なものだ。
……ただし、何とかするのは未来の自分なのだがwww

今日のこれは満腹度9/10級。いか天のサクサク感はいいけれど、仕事までサクサク片づいてくれれば、もっと嬉しいのになぁ(笑)。

 

ということで、今日は「なんとかなる」つながりのお話を。

 

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 賢者モード発動!

 タカトは、ぽか~んと口を開けたまま固まっていた。

 つい先ほどまで、その瞳には憎しみの炎が宿っていた。家族を奪った片腕の獅子頭の魔人。そいつを思い浮かべるだけで、胸の奥からどす黒い感情が湧き上がっていたのだ。

 だが、今はどうだ。

 目の前にはミーア。自分の手を握ったまま、きょとんとした顔でこちらを見つめている。

「タカト……?」

「あ、いや、その……」

 タカトは慌てて視線をそらした。

 ミーアは首をかしげた。

 何かがおかしい。

 ――いや、臭い……

 先ほどから漂っていた嫌なニオイが、さらに強くなっている。

 鼻の奥を刺し、胸の内側をざわつかせるようなニオイ。思わず眉をひそめたミーアだったが、その中に、かすかに別のニオイが混じっていることに気づいた。

 ピクリと耳が動く。

 ――これは……タカトのニオイ?

 スン……スン……。

 嫌悪を覚えるニオイの奥に、青臭いニオイが漂っている。

 だが、不思議と嫌ではなかった。

 それどころか、なぜか、その匂いを嗅ぐたびに、ミーア自身の体が喜びを感じている。

 ――間違いない。タカトのニオイだ。

 ミーアは、握っていたタカトの手を見つめた。

 そして、ゆっくりと顔を上げる。

 ――もしかして……私に反応してくれた?

 ミーアの頬が熱くなる。

 ――もしかして……タカトも私のことが好き?

 ミーアの鼓動が早まった。

 自然と、体の奥底がうずうずしてくる。

 

 タカトは、そんなミーアの変化にも気づかず、ひたすら目を泳がせていた。

 その様子を、窓の外からじっと見つめる者がいた。

 真音子である。

 窓枠に身を寄せ、部屋の中をうかがっていた真音子は、ミーアの表情が変わった瞬間、ぴたりと動きを止めた。

 ――ヤバッ!

 真音子は知っていた。

 魔人にとって、人間とは基本的に食料である。

 だが、食料として見ない相手はどうなるのか。

 魔人は、人間ほど恋愛というものを複雑に考えない。動物に近い本能を持つ彼らにとって、好意を抱く相手は、そのまま繁殖相手となり得る。

 好きならば、その相手を求める。

 大好きならば、その相手との子を何人でも残したいと願う。

 そして、あのミーアの目には……。

 真音子は、これまでに集めた情報を頭の中で並べた。

 アルテラは、タカトをダーリンと呼んでいる。しかし、一線を越えるには、まだまだ抵抗がある感じ。危険度30。

 ビン子は常にタカトのそばにいる。だが、性的な関係にはほど遠い。危険度1。

 エメラルダは、時折、タカトを女の目で見つめているものの、本人がその感情を理解できていない。危険度40。

 蘭華に至っては、まだまだお子ちゃま。タカトが好きだと騒いだところで、所詮は幼女のたわごとである。危険度10。



 だからこそ、真音子は思っていた。

 タカト様と最初に結ばれるのは、きっと私。

 そう信じて疑わなかったのだ。

 ところが、ミーアは違う。

 あの女は、魔人。

 しかも、タカト様に好意を抱いているとしたら……。危険度100。

 真音子の背筋に冷たいものが走った。

 ――まさか……。

 ――すでに、あの女、タカト様を繁殖相手に選んでいるのでは!?

 窓枠を握る指に、ぐっと力が入る。

 魔人の体力から考えれば、夜通し繁殖行動を行うことだってあり得る。いや、それどころか、一週間ぶっ通しでもやりかねない。しかも、ミーアは自分が主導権を握るタイプ。男を食らうタイプの女だ、完全に肉食系女子。そのうえ、繁殖行動を目的としているから、コンドーム仮面など被らない。質の悪い生肉派!

 まさに奴は!

『夜行性肉食系生肉派女子!』

 真音子の頭に、そんな恐ろしい言葉が浮かんだ。

 ――危険です! 

 危険度150。

 ――あの女だけは、超危険すぎます!

 危険度300。

 ――やっぱり!

 危険度1,000!

 いや!

 危険度10,000,000!



 ――やっぱり私の勘は当たっていましたわ!

 そのころ、ミーアはようやくタカトの手を離していた。

「ところで、私には言ってくれないんだな」

 だが、その顔はまさしく恋する乙女。

 赤らんだ頬に、熱い吐息。

 半目に閉じた瞳が妙にエロい! 

「何を?」

「女の子には、いつもおっぱいもませろって言ってるじゃないか。私も、一応女の子だぞ」

「えっと……」

 固まるタカト。

 ミーアは、じっとその顔を見つめていた。

 冗談を言っているようには見えない。

「お、お前……何を言い出すんだよ」

「何を慌てている。いつものお前なら、喜んで飛びついてくるところだろう?」

「いや、そりゃそうだけど……そうじゃなくて……」

 タカトは、どう答えてよいか分からなかった。

 いつも調子に乗って発している言葉だ。

 だが、その後ろにはビン子がいる。

 そして、そのビン子が間髪入れずにハリセンを叩き込んでくることを知っている。

 だが、今は違う。

 当のビン子はベッドの上でお休み中。

 今頃、夢の中で倒したエビフライ怪人をムシャムシャと食べていることだろう。

 まさに、夜行性肉食系生肉派女子!

 だいたい、いざ相手から真正面に返されるなど、想像もしていない。

 ミーアは、そんなタカトを不思議そうに見つめていた。

 目の前に自分に好意を向けてくれる相手がいる。

 魔人である自分を怖がらず、敵としてでもなく、一人の相手として見てくれる男だ。

 しかも、自分の世界を守ってくれる男。

 自分の居場所。

 今の自分の存在意義。

 それが、タカトだ。

 そんなタカトが自分を求めてくれるのだ。

 こんな夢みたいなことがあるだろうか。

 幸いなことに、今、この道具屋には誰もいない。

 繁殖行動を妨げる障害は何もないのだ。

 もう、朝までエンドレス。

 ――子供は何人作ろうか?

 10人?

 いや、タカトほどの男気にあふれた男だ。

 100人でもかまわない。

 タカトの子供なら何人でも生みたい♡

 ミーアの胸の奥に、温かなものが広がっていた。

 だが、それを窓の外でみていた、真音子の顔が青ざめていた。

 ――あの女! 今日、決行する気だわ!

 いや、もしかしたら、今すぐ食い始めるかもしれない。

 タカトの童貞を!

 ――食わせるわけにはいきません!

 真音子は懐へ手を伸ばした。

 ――童貞死守! 断固阻止!



 シュッ!

 夜の闇を切り裂き、一本の針が壁の隙間から飛び込んだ。

 狙いは、ミーアの首筋。

 だが――。

 パシッ!

 ミーアは顔を向けることもなく、飛んできた針を二本の指で挟み取った。

「……ほう」

 先ほどまでの柔らかな表情が消える。

 ミーアは針を見つめる。

 針先から垂れる毒液。

 その針には明確な殺意が込められていた。

 ミーアはその針が飛んできた方向へと視線を移した。

 窓の外に誰かがいる。

 ――敵か?

 魔人である自分を追ってきた守備兵か何かか?

 ――いや、違う……

 この匂い。

 発情した雌の香り。

 ――敵は敵でも恋敵の方かwww

「どうした、ミーア?」

「いや……何でもない」

 ミーアは針をそっと机に置いた。

 今夜は、どうやら邪魔者がいるらしい。

 だが、焦る必要はない。

 タカトは逃げていかない。

 これからも、ここにいるのだから。

 恋敵を叩き潰してからタカトをいただいても遅くはない。

 その方が、死ぬまでしゃぶりつくせるというものだ。

 ミーアは椅子に腰を下ろした。

 タカトは、ほっと胸をなで下ろした。

 正直、助かった。

 あんなふうに迫られても、どうすればいいのか分からない。普段は偉そうなことを言っていても、いざとなれば、この有り様である。

 ――何か話さなければ。

 そうだ。帰る方法だ!

「なら、俺が帰る方法考えてやるよ。だから、知っているやつを教えろ」

 はっと顔を上げるミーア。

「一体どうするというんだ! 大門も騎士の門も通れない。中門もどこにあるか分からないんだぞ!」

 ふんと腕を組み、笑みを浮かべるタカト。

「お前といっしょさ! 俺にも分からない!」

「はぁ?」

 あきれ返るミーア。

 しかし、タカトはそんなミーアに気を留めず続ける。

「戻る方法など俺は知らん! だが、知っている奴ならいるかもしれない!」

「私の真似か? そんな嫌がらせをして楽しいか?」

 チッ、チッ! チッ!

 タカトは顔の前で指を振った。

「バカか! 俺は知らんが、魔人国の誰かなら知っているかもしれんだろうが!」

「一体どういうことだ?」

「俺が小門を通って、魔人国に行ってやる。そこで、ミーアが帰れる方法を聞いてきてやるよ」

「小門を通ってって……」

「そう、あの小門は魔人国に通じているんだよ」

「かといって、お前が魔人国に入ったとたん、魔物たちの餌食だぞ!」

「やってみないと分からないだろ」

「バカか! 導き手もいない人間が魔人国に入れば死しかない!」

 ミーアは身を乗り出した。

 魔人国にとって、人間とは食料でしかない。街に入れば、そこにいる魔物や魔人たちが黙って見逃すはずもない。

 導き手もいない人間が、一人で魔人国を歩くなど、自ら食われに行くようなものだった。

「でも、それ以外に方法ないだろう? こちら側で、魔人さんが魔の国に帰りたがっていますって聞けるか? 聞いたとたんに袋叩きにあうわ!」

「それもそうだが……ただ、お前ひとりでは……」

「誰が一人で行くって言ったんだよ! そんな危ないところ!」

「それなら……」

「当然、強いお仲間連れていくに決まっているだろ!」

「そうだな。さすがにタカト一人では無理だよな」

「だろう。せめてカルロスのオッサンでもいてくれたらな」

 カルロスは、タカトたちを庇って人魔収容所に収監されていた。

 エメラルダからカルロスを救ってくれと懇願され、安請け合いをしたものの、その方法が見当たらない。

 ――そういえば、アルテラが人魔収容所から道具制作の依頼を持ってきていたな。

 もしかしたら……助けられる?

「かといって、仲間がいても危険なことは変わりない。町には魔人たちが無数にいるんだ」

「街に近づかなかったらいいだけのことだろwww」

「そうか……ならば、私の主人である第三の魔人騎士ミーキアンさまを頼れ。私の名前を出せば、ミーキアンさまは必ず力になってくれる。そして、お前が欲している魔人のことも知っているはずだ」

「ミーキアンだって! エメラルダはミーキアンと叛逆を企てたために、あんなひどいことになってるんだぞ!」

「ミーキアンさまは、叛逆なぞ企てん!」

 ミーアは机を叩いて怒鳴った。

「ミーキアンさまは、人間のエメラルダを唯一の同志として認めておられる。だからこそ、私がエメラルダを救いに来たのだ。分かるか! 私の命よりもエメラルダの命の方が尊いのだ!」

 ぐっ!

 さすがに返す言葉が見当たらないタカト。

「しかし……ミーキアンとエメラルダは何がしたかったんだよ……あんな目にあってまで」

「詳しくは知らない……ただ、この無益な争いを止めようとしていたことだけは確かだ」

「だから……それがこの世界では……叛逆じゃないのか……」

「……確かに……そうとも言うかもしれないな」

 ミーアは視線を落とした。

 人間と魔人。

 互いを敵と見なし、殺し合うことが当たり前になっている世界。

 自分も、これまで多くの人間を食料として見てきた。

 だが、今は違う。

 目の前にいるタカトは、自分を助けようとしてくれている。

「だけど……誰かが死ぬのは嫌だな……」

「そうだな……」

 しばらく、二人は黙っていた。

 やがて、タカトが口を開いた。

「必ずミーキアンと相談してくる。きっと何とかなる。それまで待ってろって!」

 赤くなって笑うタカト。

 ミーアの目から、涙がこぼれ落ちた。

 魔人である自分のために、危険な魔人国へ行くと言ってくれる。

 人間にとって、魔人とは恐ろしい存在のはずなのに。

 それでもタカトは、当たり前のように助けようとしてくれる。

 ――やっぱり……タカトだ。

 ――私のタカトだ。

 ミーアは椅子から立ち上がり、タカトの手をそっと握った。

「私は……帰れるんだな……」

「だから、帰れる方法を探すって言ってるだろ」

 ミーアは、そのままタカトをぎゅっと抱きしめた。

「……ありがとう」

 小さな声だった。

 タカトは驚いたように目を見開いたが、ミーアが泣いていることに気づくと、何も言わなかった。

――こいつ……本当は心細かったんだな……

 しばらくして、ミーアはそっと体を離した。

 そして、ちらりと窓の外を見る。

 そこには、まだ誰かがいる。

 だが、もう構わない。

 恋敵だろうが、すべて叩き潰してタカトを食らう。

 いや、タカトに選ばれて、私のすべてを食らってもらう。

 もう、私の心と体はタカトのものだ。

 これほどまでに頼りになる相手なのだから、将来の伴侶としては申し分ない。

 ミーアは涙を拭い、小さく笑った。

 その笑みを、窓の外の真音子は見逃さなかった。

 ――ちっ! あの女……まだ諦めていませんね!

 真音子の額に、青筋が浮かんだ。

 そんな二人の女の争いなど、タカトは知る由もない。

「ところで、お前! 俺の部屋に入ってないだろうな!」

「タカトの部屋か? あぁ、入ってないぞ。ベッドの下の女の本なぞ見ておらん」

「お前! 俺のコレクションを見たのか!」

「見ただけだ……触っておらん!」

「触られてたまるか!」

「しかし、タカト。お前、ああいうのが好みなのか?」

「いやぁ……そんなわけでは……」

 顔を赤らめてうつむくタカト。

 そんなタカトを見ながら、ミーアは意地悪そうに笑った。

 そもそも、ミーアがタカトの秘密を知ったのは、彼らが道具屋を留守にしていたときのことだった。

 暇を持て余したミーアは、店の中をあちこち見て回っていた。

 棚に並べられた道具の数々。

 何もない台所。

 そして、タカトの部屋もである。

 作業台に無造作に置かれた意味不明な道具を指でつつきながら、

「これはなんだ?」

 と、興味を示す。

 魔物や魔人にとって、人間の文化は憧れの対象だった。

 戦うために生み出された自分たちとは違い、人間はさまざまな道具を作り、言葉を残し、文化を育んでいる。

 そんなミーアの目がタカトの本棚に止まった。

 並ぶ本。

 道具作りの参考書が半分、なんでこんなものに興味を持つのか全く意味が分からないが『乳房画像解像学にゅうぼうがぞうかいぞうがく』『乳房検査実践にゅうぼうけんさじっせんガイド』などの、おっぱいの専門医学書がその半分。

「こんなものが好きなのか?」

 そんな時、ミーアの鼻先をわずかにかすめる嫌な臭い。

 その匂いをたどって、ミーアはベッドの下に潜り込む。

 そこには大量の本が隠されていた。

 何を隠そう、タカトのコレクション!

 アイナちゃんの写真集やムフフの本たち。

 しかも、その中には、ここでは書けないようなかなりきわどいムフフな本まで入っている。

 本を引っ張り出して真剣にページをめくるミーア。

「そうか、タカトは、こういうのが好きなんだな?」

 人間に近づきたい。

 人間のようになりたい。

 そうした思いは、魔物たちの奥深くに根づいていた。

 ミーアも例外ではない。

 ――人間とはこうやって繁殖行動をとるのだな。

 タカトが隠していたムフフな本ですら、ミーアにとっては聖人世界の文化を知るための貴重な資料でもあった。

 そこに書かれた言葉も、数字も、ミーアは熱心に読み込んでいた。

 たとえ、その数字がビン子によって捏造されたものであっても、だ。

 ――なるほど、人間の平均バストサイズとは意外と小さいものだなwwww

「それに、ビン子の部屋も面白かったぞ」

「……は?」

 タカトの顔から、すっと笑みが消えた。

「お、お前……ビン子の部屋まで入ったのかよ?」

「何だ、そんなに驚くことか?」

「いや、それは……」

「ずいぶん、いろいろなものがあったぞ」

 机の上に置かれた豚さん貯金箱。

「コレはなんだ?」

 ということで、叩いてみた……すると割れた。



 中から出てきたのは銀貨一枚、大銅貨六枚、銅貨九枚。

「ラッキー!」

 ということで、ミーアはそのお金をポケットの中にしまい込んだ。

 次に目がいったのが、壁際に置かれたビン子のカバン。

「あの中には何が入っているのかな?」

 またもお金?

 いや、もしかしたら、ビン子の下着だろうか?

 いやいや、先ほどタカトの部屋で見たムフフな本の中に出てくる繁殖行動時に女を発情させるために使う奇妙な道具ではないだろうか。

 もう、興奮が抑えきれないミーア。

 颯爽と、カバンを開ける。

 だが、中に入っていたのは道具は道具でも意味不明な道具たち。

 まったくもって何に使うのか分からない。

 それもそのはず、エロ道具はエロ道具でも、カバンの中に入っていたのはタカトの作ったエロ道具だったのである。

 だが、それだけではなかった。

「うっ!」

 カバンを開けた瞬間に立ち上る強烈なニオイ。

 あの嫌なニオイである。

 ビン子のカバンの中にはタカトが作った道具以外にも、タカト自身が作った儀式後のティッシュが大量に丸められて入っていた。

 ミーアの眉間にしわが寄る。

 ――このニオイ……。

 万命寺の病室で、一度嗅いだことがある。

 忘れるはずもない。

 ――アダム。

 間違いない。

 創造主アダムのニオイだった。

 ミーアの全身に、ぞわりとした感覚が走った。

 魔物や魔人は、アダムによって生み出された存在である。

 戦うために作られ、戦うことを宿命づけられた存在。

 その創造主に対して、魔物たちは複雑な感情を抱いていた。

 忠誠。

 恐怖。

 そして、反抗。

 創造主へ引き寄せられる者もいれば、その存在を恐れる者もいる。

 だが、自分たちを戦うためだけの存在として生み出したことに、激しい反感を抱く者もいた。

 ミーアは、アダムを直接見たことがない。

 アダムが姿を消してから、すでに数百年。

 自分は、その後に生まれた魔物から進化した魔人なのだ。

 それでも、ニオイは知っている。

 本能が覚えている。

 そして、その本能は――。

 ――許さない。

 ミーアの指が、ぎゅっと握り締められた。

 目の前にアダムがいるのなら、飛びかかっていたかもしれない。

 だが、カバンの中にあるのは、ただのティッシュ。

 しかも、これほど大量に集められているということは……。

 ミーアはもう一度鼻を近づけた。

 わずかに混じるタカトの匂い。

 ――タカト……なのか?

 このニオイの主が、タカトだというのか。

 ――タカトがアダム……憎むべき相手?

 魔物たちを醜い存在に作り上げし創造主。

 しかし、すぐに別の光景が脳裏に浮かんだ。

 万命寺の病室。

 眠っているエメラルダの手を握り、その寝顔を優しく見つめていたタカト。

 あのときの、穏やかな眼差し。

 ミーアは、今でも覚えている。

 ――あんな目を……アダムができるのか?

 ニオイは同じ。

 だが、タカトはタカトだ。

 自分が見てきたタカトは、憎しみの対象などではない。

 ミーアは、そっと息を吐いた。

 そして、今、目の前にいるタカトを見つめる。

 先ほど、自分を助けると約束してくれた男。

 ――アダムの匂いがしても、タカトはタカトだ。ならば、今はそれでいいじゃないか。

 あの優しい眼差しを、自分は信じたい。

「おい、ミーア。聞いてるのか?」

「……あぁ」

 タカトの声に、ミーアは我に返った。

「だから! 俺のコレクションを勝手に見るなって言ってるだろ!」

「分かった、分かった。もう見ない」

「本当だな!」

「本当だとも」

 ミーアは、くすりと笑った。

「しかし、タカト。お前の好みは、ずいぶん分かりやすいな」

「何がだよ!」

「私のも大きかっただろwwww」

 タカトの目は、あっちこっちに泳いでいた。

「そんなことより、まずは……カルロスのおっちゃんかな……おっちゃんも、かなり胸大きかったしな…」

 意味が分からんぞ!

 タカト! 落ち着け!

 ミーアは、そんなタカトを見て、声を上げて笑った。

 そして、ふと思い出したように口を開く。

「ところで、タカト。お前、オイルバーンというものを知っているか?」

「オイルバーン?」

 そういえば、タカトがガメルと対峙したときにも、そんな言葉を聞いたことがあるような気がする。

 だが、タカトが知っているのは……。

「あぁ、オイルパンならそこの作業場にあるぞ。いるか?」

 それを聞いたミーアは、飛び上がるほどうれしそうな表情を浮かべた。

 そう、これでガメルさまとの約束も果たせたというものだ。

「それ貰っていいのか! ありがとう! タカト! ありがとう!」

 だが、それはオイルパンであって、オイルバーンではないのだよ、ミーア君!

 最後の最後まで、食い違い!

 ざんねん!

令和8年11月2日の昼飯

 

本日、食したカップラーメンはこちら!

マルちゃん
「麺づくり 合わせみそ」
ノンフライ太麺

だぁぁぁぁぁぁ!

 

 

 

早速! いただきます!

天気は雨。
とうとう11月になってしまった。
今年も残すところ、あと2か月。
……マズイ! マズイ! とにかくマズイ!
ついこの前、今年もあと3か月だと騒いでいたはずなのに、もう1か月消えている。
やらなければならないことは山積み。なのに、時間だけが容赦なく過ぎていく。
誰か、カレンダーを止めてくれ!
……いや、止めたところで仕事が進むわけではないのだが(笑)。

そんな年末の足音に追い立てられながら湯を沸かし、手に取ったのは

マルちゃん
「麺づくり 合わせみそ」
ノンフライ太麺。

湯を注いで数分。
フタを開ければ、味噌の香ばしい香りがふわり。
スープをひと口飲むと、合わせ味噌ならではのコクとまろやかな旨みがじんわり広がる。
そこへ、もちっとした食感のノンフライ太麺。
太麺ならではの食べ応えがあり、味噌スープとの相性もなかなかいい。
肌寒い雨の日には、こういう温かい一杯がありがたい。

──まさに光陰如箭。

光陰如箭(こういんじょせん):月日が矢のように速く過ぎ去ること。

気づけば11月。次は12月。そして年末。
……考えれば考えるほど焦ってくる。
とりあえず、残り2か月で何とかしなければ!
まあ、何から手をつけるかは、昼飯を食べてから考えるとしよう(笑)。

今日のこれは温まり度9/10級。合わせ味噌の旨みはじっくり味わいたいけれど、今年の残り時間だけはもう少しゆっくり進んでほしいものです。

 

ということで、今日は「マズイ」つながりのお話を。

 

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 相変わらず、タカトとビン子はふざけ合いながら、夜の森の道を歩いていた。

 静まり返った森に、二人の騒がしい声だけが響き渡る。あまりの騒々しさに、森のフクロウたちも鳴くのを遠慮してしまうほどであった。

 やがて、木々の向こうに権蔵の道具屋が見えてきた。

 万命寺が襲撃されてから、すでに一週間。

 タカトとビン子がこの道具屋へ帰ってくるのも、あの日以来であった。

 もっとも、家の主である権蔵は、今も小門にいる。エメラルダをはじめ、万命寺から逃れてきたスラムの人々を匿っているのだ。

 小門の洞窟にはヒカリゴケが生えているものの、それだけでは大勢の人間が生活するには暗すぎる。そこで権蔵は、融合加工で作ったランプを洞窟の各所に設置して回っていた。

 おかげで明かりには困らなくなったものの、問題はそれだけではない。

 寝床に防寒具。

 僧たちの分はあらかじめ準備していたとはいえ、まさかスラムの人々まで逃げ込んでくるとは思っていなかったのだ。

 そして何より、差し迫った問題は食料の確保である。

 だが、幸いなことに、洞窟内には大量のクロダイショウとオオヒャクテの死骸が転がっていた。

 ひんやりとした洞窟内。しかも、アダムの残滓が残る大広間には、他の生物が寄り付かない。

 そのため、死肉は腐敗が進まず、ある程度の鮮度を保っていたのである。あとは魔の生気を抜いて保存食に加工すれば、数カ月は十分にもつ。

 こうして権蔵は、食料の確保から生活用品の製作まで、朝から晩まで働き詰めであった。とても道具屋へ帰っている暇などない。

 では、その間、道具屋の営業はどうなっていたのか?

 ご安心いただきたい!

 何の問題もない!

 なぜなら、そもそも客が来ないのである!

 ……いやいや、それは商売として大問題だろうwww

 確かに、各門の宿舎や駐屯地から、多少なりとも注文は入っていた。しかし、店主の権蔵は小門におり、タカトは神民病院に入院中。これでは注文などこなせるはずもない。

 そこでビン子が、しばらく注文を受けられない旨を、あらかじめ取引先へ連絡して回っていたのである。

 おかげでビン子も、安心してタカトに付き添うことができた。

 いや、付き添いというより、病院の食事を狙って入り浸っていただけなのだがwww

 ともかく、店番をする者など誰もいない。

 こうして道具屋は、一週間もの間、閉まりっぱなしになっていたのである。

 すきま風が吹き込む、古びた道具屋。

 入り口の鍵など、あってないようなものだ。一週間も放っておけば、野生動物の寝床になっていてもおかしくない。

 だが……ものは考えよう。

 もし野生動物が住み着いていたなら、全部残らず捕まえてしまえばいいではないか!

 そうすれば、しばらく食料には困らない!

 しかも! ただ!

 お金は一切かからない!

 多少、床や壁が動物たちの糞尿で汚れるかもしれないが、そんなものは大した問題ではない。

 そもそも、古い道具屋だ。普段から何やら妙なニオイが漂っている。

 特にタカトの部屋なんかはねwww

 って、だから!

 道具屋を食料の罠にするなよwww

 ちなみに、この道具屋に並んでいる商品は、権蔵が融合加工で作った日用品や道具ばかりである。タカトの作ったものは、一つも店に並んでいない。

 なにしろ、タカトの発明品はどれも一品もの。思いつきと勢いで作り上げたものばかりで、到底、商品として売れるような代物ではない。

 というか、あんなエロ道具、誰が欲しがるというのだ!

 そもそも、まともにエロすら成就させたことのない欠陥品ばかりである。

 しかも、当の本人は道具が完成した途端に満足し、興味を失ってしまう。頭の中では、すでに次の発明が始まっているのだ。

 そのため、せっかく作った道具も、部屋の床に放りっぱなし。

 ほとんどゴミwww

 足の踏み場もないほど、そんなゴミが毎日せっせと生産されているのである。

 そこで、見かねたビン子が、

「もう! ちゃんと片付けなさいよ!」

 などと小言を言いながら、部屋の掃除を始める。

 そして、タカトが見向きもしなくなった道具を見つけては、こっそり自分のカバンにしまい込んでいるのだ。



 ……って、ゴミなのにカバンの中?

 ゴミ袋の間違いでは?

 いやいや、ビン子にとっては大切な宝物なのである。

 タカトの熱い想いが詰まった道具たち。

 たとえ役に立たなくても、エロに使えなくても。

 まぁ、ビン子的には、エロに使えないほうがありがたいのだがwww

 それでも、道具を眺めているだけで、タカトがどれほど夢中になって作っていたのか、その姿が目に浮かんでくる。

 ああでもない、こうでもないと頭を悩ませ、試行錯誤を繰り返していたタカト。

 そんな姿を思い出すだけで、ビン子の胸は熱くなるのであった。

 そして、そのカバンの中には、もっと大切な宝物がしまわれていた。

 タカトが自分の身体を使って、毎晩、無駄にせっせと生産しているもの。

 ……道具じゃないのか?

 いや、道具ではないwww

 そう! 言わずもがな!

 ムフフな本を前にして、夜な夜な儀式を行ったあとの、あの使用済みティッシュである!

 ……いやいや! それは普通、捨てるものだろうwww

 しかし、変態ビン子にとっては、タカトが作ったどんな道具よりも大切なものなのだから仕方がない。

 だから毎朝、道具に混じって床に落ちているティッシュを見つけては、

「もう! ちゃんと片付けなさいよ!」

 と、いつものように小言を言いながら、さりげなく拾い上げる。

 

 ティッシュから漂う妙なニオイ。

 それをそのまま、タカトに見つからないよう、こっそり自分のカバンへしまい込んでいくのである。



 さて、そんな臭い話はやめて、話を戻そう。

 野生動物が住み着くならまだいい。だが、泥棒が入っては大変ではないか!

 そう思われる読者の皆さんもいるだろう。

 だが、ご安心を!

 そもそも、この家に金目のものがあるのかといえば……これがまた悲しい話になるのだ。

 権蔵家の全金融資産は、銀貨一枚、大銅貨六枚、銅貨九枚。

 合計、千六百九十円!

 しかも、その全財産は、ビン子の豚さん貯金箱の中に納められているのである。

 もはや、泥棒に入る側のほうが金を持っているぐらいwww

 だから、こんな貧乏な家に泥棒なんて入らない。

 まぁ、泥棒たちの隠れアジトぐらいには使えるかもしれないが。

 そんな、盗むものさえろくにない道具屋の前で、タカトが突然足を止めた。

「ビン子! ちょっと待て!」

「ぶふっ!」

 後ろを歩いていたビン子が、タカトの背中に鼻をぶつけた。

「何よ! 痛いじゃない!」

「しっ! 窓を見ろ!」

「窓?」

 タカトが指さした先。

 誰もいないはずの道具屋。

 その窓から、うっすらと黄色い明かりが漏れているではないか。



「誰か中にいる……」

「ちょっと! 怖いこと言わないでよ!」

 二人は暗い道の上で、道具屋の窓を見つめた。

 窓から漏れる光は、ときおり、ゆらゆらと揺れ動いている。どうやら、暖炉に火が入っているようだ。

 ――だが、爺ちゃんは小門にいる。

 この一週間、誰も帰ってきていないはずなのだ。

 一体、誰が……。

 泥棒か?

 ――いやいや……うちに盗むものなんてあるはずがない。

 タカトは考え込んだ。

 権蔵の作った道具を盗むつもりなら、まだ分かる。しかし、わざわざこんな貧乏道具屋に忍び込んでまで盗むほどのものがあるだろうか。

 やはり、泥棒たちの隠れアジトにでもされたのか?

 いや! ちょっと待て!

 盗まれては困るものが、あったじゃないか!

 ――まさか……俺のムフフな本が狙いか?

 その瞬間、タカトの顔色が変わった。

 ――いや! アイナちゃんの本が狙いにちがいない!

 ……もう、君にはそれしか思い浮かばないのかなwwww

 しかし、タカトにとっては一大事である。

 なにしろ、アイナちゃんの写真集は、ゴミ捨て場をあさりにあさって集めた大切なコレクションなのだ。

 権蔵の融合加工品が盗まれるよりも、豚さん貯金箱が盗まれるよりも、タカトにとっては重大な事件なのである。

 ――それはマズイ! あのコレクションを集めるのに、どれだけゴミ捨て場をあさったと思っているんだ!

「ちょっと、ねえ! タカト!?」

 ビン子の制止も耳に入らず、タカトは駆け出した。

 暗い道にビン子をぽつんと置き去りにして、道具屋の入り口へ一直線に突っ走る。

 そして!

 バンッ!

 タカトは勢いよく入り口のドアを開け放った。

「こらぁ! 泥棒! いるんなら出てこい! 俺のコレクションは死んでも渡さん!」

 タカト君……。

 君、本当に何も考えていないだろう……。

 もし、本当に泥棒がいたとしたら、君は太刀打ちできるのかい?

 いやいや、弱小のタカト君では到底無理だろう。下手をすれば、その場で殺されかねない。

 こんなときは、普通なら守備兵を呼んで、泥棒を捕まえてもらうものだろうに。

 そんなタカトの後ろ姿を、ビン子は呆然と見送るしかなかった。

 まったく、アイナちゃんの本となると、どうしてこうも見境がなくなるのか。

 よりによって、自分を暗い森の中に置き去りにしてまで!

 ――私よりも、やっぱりその本のほうが大切なのね!

 ならば!

 全部、燃やしてやる。

 一片の灰も残らぬほどに焼き尽くしてやる!

 ……いや、ビン子ちゃん。それはそれで物騒だからね。



 さて、勢いよく店内へ踏み込んだタカトであったが、入り口から中を見渡した途端、その足が止まった。

 暖炉の光だけでは、部屋の奥までよく見えないのだ。

「コラ! 出てこんかい!」

 しかし、返事はない。

 いつもどおり、少々埃臭い店内。棚に並んだ商品の影が、ゆらゆらと揺れている。

 誰もいない。

 ……いや、誰もいないはずなのに、どうして暖炉に火が入っているのだ?

 ――やっぱり、泥棒さんたちがアジトにしちゃっていたのかな……。

 タカトは今さらながら、自分がとんでもなく無謀なことをしたのではないかと思い始めた。

 先ほどまでの威勢は、どこへやら。

「ど、泥棒さーん! いらっしゃったら返事してください」

 ……いやいや、普通、泥棒がいたとしても返事なんてしないだろうwww

 タカトは入り口に置かれていたランプを手に取ると、恐る恐る室内を照らした。

 その背中越しに、ビン子がひょっこりと顔をのぞかせる。

「誰もいないみたいね……」

「そんなわけないだろ! 暖炉に火が入っているんだから、絶対に誰かいるって!」

「もしかして……幽霊とか?」

「幽霊が暖炉に火をつけるかい!」

「じゃあ、誰なのよ!」

「魔物とか……」

「ちょっと! 怖いこと言わないでよ……」

「そ、そうだよな……魔物がわざわざ暖炉に火をつけるわけないよな……ハハハハ」

 タカトは乾いた笑いを浮かべた。

 しかし、ビン子は笑わない。

 それどころか、カタカタと小刻みに震え始めた。

「どうしたビン子? ションベンか?」

「あ……あれ……」

「なんだよ?」

「見て……」

 ビン子が震える指で、暗い部屋の奥を指さした。

 タカトは、その指先を追うように視線を移す。

 暖炉の明かりが届かない、部屋の奥。

 そこには――

 二つの緑の瞳。

 闇の中から、じっと二人を見つめていた。

「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」



令和8年10月30日の昼飯

 

 

本日、食したカップラーメンはこちら!

金ちゃんヌードル
「カレー」

だぁぁぁぁぁぁ!

 

 

早速! いただきます!

天気は雨。
現在、小説家になろうのネトコン15に作品を出品しているのだが……。
まったく読まれないwww
もはやスタートラインにすら立てていない気がする。
マラソンに例えるなら、スタートの号砲が鳴り響き、先頭集団が走り出しているというのに、私ははるか後方。
まだ準備体操どころか、トイレに行く余裕すらある。
……いや、そもそも自分のところまでスタートの号砲が聞こえていないのではなかろうか?(笑)
まあ、こうなることはある程度分かっていたのだが、ここまで蚊帳の外だと、さすがにちょっと悲しくなってくるwww

そんな誰にも気づかれない孤独なランナー気分で湯を沸かし、手に取ったのは

徳島製粉
金ちゃんヌードル
「カレー」。

フタを開ければ、食欲をそそるカレーの香り。
湯を注いで数分。
スープをひと口飲むと、スパイスの風味にまろやかなコクが重なり、どこか懐かしい味わい。
麺にもカレースープがよく絡み、気取らずズルズル食べられる。
派手さはないけれど、こういう安定感のあるカレー味はやっぱりいい。

──まさに前途多難。

前途多難(ぜんとたなん):これから先に、多くの困難や苦労が待ち受けていること。

せめてスタートラインくらいには立ちたいものだが、現実はなかなか厳しい。
まあ、走り続けていれば、いつか誰かが気づいてくれるかもしれない。
……その頃には大会が終わっていなければいいのだがwww

今日のこれは安定感9/10級。カレーの香りはしっかり届くのに、私の小説はなかなか読者に届かない。誰か、こちらにも気づいてくださーい!(笑)

ということで、今日は「スタートライン」つながりのお話を。

 

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 石で囲まれた暗い通路。

 石畳の上を、コツコツとヒールが打つ音が近づいてきた。

 それはメイド姿の女。

 メイド服の裾が、石床をかすかに擦る。

 両壁の上部には、オレンジ色の光を落とすガラスのツボが列をなして並んでいる。

 そのガラスの中では、何かが生き物のように怪しくうごめき、淡く発光していた。

 その灯りに、メイドの青いショートヘアが揺れていた。

 不気味――いや、どこか異様な雰囲気である。

 それもそのはず、通路には何人もの魔人の姿があったのだ。

 だが――このメイド姿の女は明らかに人間。

 魔人たちが好むエサである。

 しかし、通路の脇へとよける魔人たちは、誰一人としてその女に触れようとしなかった。

 魔人たちが怖いものを見るかのように避ける通路の真ん中を、メイド姿の人間はさも当然のようにズカズカと歩を進めていく。

 ――急がなければ。

 青き髪がオレンジ色に染まった通路を抜けた、その瞬間だった。

「「「ワアアアアアアッ!!」」」

 突如、耳をつんざくような歓声が爆発した。

 目の前に、巨大な円形の広場が広がっている。

 競技場のようなその空間では、地面に描かれたトラック状の線に沿って、巨大な火の輪が燃え盛っていた。

 火は円を描きながら地面を走り、広場の中央を妖しく照らし出している。

 見上げれば、うす暗い夜空。

 血のように赤い月が、不気味に浮かんでいた。

 その赤い月の下で、無数の魔人たちの歓声が渦を巻く。

 まるで天の星々すら揺さぶるかのような魔人たちの狂騒。

 そう――ここは魔人世界。

 聖人世界の融合国と対をなす、魔の融合国である。

 当然ながら、聖人世界の内地に相当する場所も存在している。

 だが、その様子はまるで聖人世界のそれとは異なっていた。

 聖人世界では、大門を中心に神民街が築かれ、整然とした街並みが広がる。

 さらにその外周を、堅牢な城壁が守っていた。

 しかし――魔の融合国には、そのような秩序はない。

 大門の周囲に広がるのは、スラムと見紛うばかりの雑然とした街並み。

 建物は傾き、道は泥にまみれ、無秩序に家々が積み重なっている。

 だが、その混沌の中心に、ひときわ巨大な建造物がそびえていた。

 例えるならば、古の闘技場――コロッセウム。

 しかし、その姿はどこかいびつで歪んでいる。

 積み上げられた石壁は不揃いに膨れ、柱の位置もまばら、全体の均衡がどこか狂っていた。

 まるで、素人が見よう見まねで石を積み上げたかのような建物だった。

 そんなコロッセウムの観客席へ足を踏み入れていたメイド姿の人間は、いったんその場で立ち止まると、周りの観客席をぐるりと見まわした。

 まるで誰かを探すかのように。

 ――お姉さま……どこにいらっしゃるの?

 その女のいでたちがメイド服であったのが目立ったのだろうか。

 女の周りに魔人とおぼしきものどもが集まってくる。

 それらは、まだ魔人と言うには人型になり切れていない魔物たち。

 知識経験が不足した者たちである。

 だが、魔人としてまだ未熟な彼らも、人の脳を食べれば食べるほど進化し、人型に近づくのだ。

 であれば、目の前に人間がいれば、それは格好のごちそうでしかなかった。

 女を取り巻く魔物たちの口から、大量のよだれが流れ落ちる。

 ――ニンゲン……食イタイ。

 目の前の柔らかそうな肉に、今にも牙を突き立てたいようでうずうずしている。

 一匹の魔物が、たまらず一歩踏み出した。

 その瞬間、横にいた魔物が低く唸り、牙をむく。

 魔人世界では力がすべて。

 自分より強い者がいれば、獲物を横取りされるどころか、その場で殺される。

 まだ魔人になりきれていない彼らにも、その単純な理屈だけは骨身に染みていた。

 だからこそ、魔物たちは互いを値踏みしているのだ。

 だが、メイド服の女は慌てる様子もなく、一つため息をつくと、服の胸元に指をかけ、布を力いっぱい引っ張った。

 びり、と布が張りつめる。

 次の瞬間、女の豊満な白い片胸がこぼれ出た。

 ぷるん、と弾けるような柔らかなふくらみが、灯りの下でゆっくり揺れる。

 押し返すような張りを帯びた乳房。

 うっすらと上気した肌が、ほのかに湿った光をまとっていた。

 その熱を帯びた肌から、ふわりと甘い石鹸の匂いが漂う。

 魔物たちの視線は、その匂いに誘われるように胸の丸い一点へと集まった。

 だが、それは先端に浮かぶピンクの色づきではない。

 乳房の中腹に――刻まれた黒い刻印だった。

「ちっ! ミーキアンの奴隷かよ……」

 刻印を見た魔物たちは、ぶつぶつと言いながら慌てて離れていきはじめた。

 それを、たいぎそうに眺めながら、女は胸元を直すと再び周りを見渡した。

 そう――この女の胸に刻まれた印は、手を出してはならないという証だった。

 魔人騎士ミーキアンの奴隷の刻印――。

 それは、魔人騎士の所有物であることを示していた。

 そんな女に手を出すことは――ミーキアンへの宣戦布告に他ならない。

 そして、この魔人世界において、魔人騎士に牙をむくことは、ほぼ即死を意味していた。

 そのとき、闘技場の中央から、ひときわ大きな歓声が巻き起こった。

 女の視線が、自然と競技場のトラックへと向く。

 いまや、競技場内のトラックのスタートラインには、魔物たちが十匹並んでいた。

 ライオン、イノシシ、カエルなど。

 体の大きさも大小さまざま。

 だが、それらの背には人間とおぼしき者たちが騎乗しているではないか。

 スタートラインに並ぶ魔物たちの足が、土を掻く。

 合図を待ちきれないのか、巨体が前へ前へとせり出した。

「おい、待て……!」

 背の人間たちが慌てて手綱を引く。

 だが魔物は牙を鳴らし、鼻息を荒くするばかり。

 まるで人の声など最初から聞いていないかのようだった。

 ファンファーレが鳴り響く。

 歓声がひときわ大きくなるとともに、観客席から激しい手拍子が沸き起こった。

 スタートラインに並ぶ魔物たちの筋肉が、今にも弾けそうに膨れ上がる。

 土を掻く爪。

 荒い鼻息。

 次の瞬間――

 スタートの合図が鳴り響いた。

 弾かれたように、魔物たちが一斉に飛び出す。

 土煙を巻き上げ、獣たちは凄まじい勢いでトラックを蹴り裂いた。

 だが、イノシシの魔物ダンクロールだけが、一瞬出遅れた。

 他の魔物たちが土煙を巻き上げて飛び出す中、ダンクロールはわずかにその場でもたつく。

 もしかして、トラブルか?

 そう思った次の瞬間――

 ダンクロールは地面を蹴り裂くような勢いで走り出した。

 だが、その背にはすでに人間の姿がない。

 そのとき、上空から――

「ぎゃあああああッ!」

 耳を裂くような悲鳴が落ちてきた。

 続いて、ばきり、と骨の砕ける音。

 ぶち、と肉が引き裂かれる湿った音。

 ぽたり。

 血が、トラックへ滴り落ちる。

 見上げると、巨大な蛇の三つの頭が、騎手とおぼしき人間の体を奪い合い、引きちぎっていた。

 口の端から、まだ動く腕がぶら下がっている。

 その魔物の名は――三頭蛇グレストール。

「グレストールちゃん! 初レース、頑張って!」

 グレストールの所有者らしき、大きな体の女とおぼしき物体が、体中の脂肪を揺らしながら叫んでいる。

 というのも、離れてこの女らしき物体を見れば、紫の塊そのものなのだ。

 まさに、紫のウ●コ。

 いや、食事中の人がいるかもしれない。ここはソフトクリームと言い換えよう。

 そう、ムラサキ芋ソフト!

 しかし、形が違う。

 ソフトクリームのように長細いのではなく、三角なのだ。

 しかも、巻きは三段。

 やっぱりウ●コだ!

 だが、このウ●コはただのウ●コではない。

 そう、そのウ●コこそ――第五の魔人騎士、シウボマであった。

 一方、カマキガルは、スタートの合図とともに上空へ舞い上がった。

 羽ばたきながら、トラックに設けられた通過ゲートへと滑空していく。

 これは――魔物バトル。

 数少ない魔人たちの文化の一つである。

 元は人間たちの競技を真似て生まれたものらしい。

 その名残なのだろう。魔物の背には、意味も分からぬまま人間が騎手として乗せられていた。

 そう、人間など――ただの飾りにすぎない。

 その証拠に、ダンクロールは人間を乗せぬまま通過ゲートを目指し、コーナーを曲がる。

 魔物バトルのルールは単純だ。

 目の前のトラックに設けられた通過ゲートをくぐり、先に三周した者が勝者。

 ただし――

 相手を食おうが、殺そうが、何でもありである。

 魔人国では力こそが正義。

 強者は弱者を喰らい、弱者は強者の庇護にすがる。

 強者の所有物を害すれば、その強者に捕食される。

 それが、この国の掟だった。

 しかし、この魔物バトルに限っては例外である。

 目の前のものは、ただ喰らう。

 それが魔人騎士の所有物であろうと関係ない。

 その間にも――

 ダンクロールがゲートを抜ける。

 すぐ後ろにライオガル。

 さらに他の魔物たちが一斉にゲートへ飛び込んだ。

 魔物たちは速度を落とさない。

 トラックを回り、スタート地点へとなだれ込む。

 しかし――

 そこには、よだれを垂らした三頭蛇グレストールが、三つの首をもたげて待ち構えていた。

令和8年10月29日の昼飯

 

 

本日、食したカップラーメンはこちら!

マルちゃん
「ごつ盛り塩担々麺」
ガツンとにんにく!旨辛スタミナ系スープ

だぁぁぁぁぁぁ!

 



早速! いただきます!

天気は晴れ。
空は気持ちよく晴れているというのに、どうにも体がだるい。
おまけに最近、何をやっても妙に運が悪い。
こういうときに限って、余計なことをして面倒を増やしてしまうんだよなぁ……。
いっそのこと、今日は何もしない方がいいのではなかろうか?
仕事? もちろん山ほどある。
だが、今の私が動くと、仕事が減るどころか増える気がする。
……よし、これは立派な危機管理だ。決してサボりではない(笑)。

そんな自分に都合のいい言い訳をしながら湯を沸かし、手に取ったのは

マルちゃん
「ごつ盛り塩担々麺」
ガツンとにんにく!旨辛スタミナ系スープ。

湯を注いで数分。
フタを開ければ、にんにくのパンチある香りがふわり。
スープをひと口飲むと、塩ベースの旨みにピリッとした辛さが重なり、そこへにんにくの風味がガツン!
だるい体にも喝を入れてくれそうな、なかなか刺激的な味わいだ。
麺もたっぷりで食べ応え十分。
やる気はなくても、食欲だけはしっかりあるらしい(笑)。

──まさに無為無策。

無為無策(むいむさく):何もせず、問題に対して何の手立ても講じないこと。

……いや、今日はあえて動かないという高度な作戦なのだ。
運の悪い日に余計なことをして、さらに面倒を増やすよりはマシなはず。
もっとも、何もしなかった分の仕事が明日に回るだけなのだがwww

今日のこれはスタミナ度9/10級。にんにくのパンチで体に気合いは入ったけれど、運気の方まで回復してくれるかは分かりません(笑)。

ということで、今日は「無策」つながりのお話を。

 

kakuyomu.jp

 

 変化があったのはズボンの中の暴れん坊だけではない!

 タカトの脳内スパコン腐岳がけたたましい警報音を上げていた。

『非常に危険! 非常に危険!』

 ――そんなことは分かってんだよwwww

 だが、目の前は魔豚ダンクロールにさえぎられ、背後は絶壁で逃げばなしww

 ――詰んだ……

 それほどまでに絶望的な状況に陥っていたwww

 ――この状況……俺……生きて帰れるの?

 無理だろwwww

 そのため、タカトの脳内スパコン腐岳がはじき出した計算結果は

 『生存確率0.01%』

 ――あかん……これは……あかん奴やて……

「タカトォ!」

 崖の上に帰り着いたビン子は崖下の様子に驚いた。

 落ちていた自分を救ってくれたタカトが、今や大ピンチ!

 タカトのあの様子。

 どうやら、あのブタ……ただの飛べないブタではないようだ!

 衝突の破壊力……到底、普通のブタでは考えられない。

 先ほどの魔草花の群生地帯。

 おそらく近くに小門があるのはほぼ確実。

 ならば!あのブタは!小門を通ってきた魔物に違いない!

 だが、今それをビン子が認識したとしてもどうすることもできない。

 だって……ビン子の武器はハリセンだけ……

 タカトには絶大な攻撃力を有するが…… 一般的には何らダメージを与えることができない代物なのである。

 そんな武器一つで魔物を相手にできようか……無理だ……無理に決まっている。

 だが、このままタカトを見殺しにしていいのか

 ――そんなこと絶対にイヤ!

 ならば! 取る方法は一つ!

「タカト! 待っててね! 今すぐジイちゃんを呼んでくるから!」

 ビン子はクルリと向きを変えると、すぐさま森の中へと駆け込んでいった。

 崖上から届いたビン子の声を聴くタカトは思った。

 ――ビン子の奴! アホなのか! この状況分かってんのか!

 『待っててね』って言われても…… 一分も持ちこたえる自信などまるでない。

 おそらく権蔵が到着する頃にはタカトはダンクロールの腹の中……

 ――無理だ……絶対にじいちゃんが来るまで持ちこたえるなんて絶対に無理だ……

 だが、その時、ふと思ったのだ。

 ――まずい! 非常にまずい!

 それは死に面した男であればたいてい思うこと。

 それがまして!予定していない突然の死ならなおさらだ!

 そう!男には一つや二つの隠し事があるものなのだ!

 ――このまま死んだりしたら……俺のムフフな本のコレクションはどうなるんだ⁉

 あらかじめ自分が死ぬと分かっていれば、当然それらをまず片付ける。

 作者だってそうだ!

 まずはパソコンおよびスマホの全データの完全消去!

 過去に保存してきたCD、DVDの数々を電子レンジでチン!(マジで結構危険だから、自分が死ぬ時以外はやらないでねwwww)

 本棚の裏に隠してあるムフフな本は、仕方ないのでブックオフにでも売りさばく。

 それは……長き時間をかけて集めてきた自分のコレクション!

 いわば、自分の人生そのものと言っても過言ではない!

 そんなものを残したまま死んだりしたら……残された家族が遺品を整理した際に見てしまうかもしれないのだ……

「きゃぁぁあ! 変態!」ぐらいで済めばいい。

「親父の奴……こんな性癖があったのかよ……」と軽蔑されるかもしれない。

 実際、作者は古い書棚から祖父が残したであろう昭和初期のエロ本を発見したのだ。

 今とはことなる古風な髪型やポーズ。色褪せた紙質。プッと吹き出すような雑誌広告などに、ある種の感動を覚えたぐらいである!

 だが、時は令和……情報網が発達した世界である……

「親父の遺品を整理してきたらこんなものが出てきたんだけどwww」と、破廉恥な画像がインターネットを通して世界中に拡散されかねないのだ……

 もう、そんなことを想像しただけでも顔面蒼白!ムンクの叫び! もう、声すら出ない……

 当然、男の子のタカトにだって、そんな秘密が一つや二つ、いや、十や二十以上あることだろう。

 ならば、そんな秘密を残したまま死んでいいだろうか……

 いや、よくない!

 そんなものがビン子に見つかろうものなら……

「きゃぁぁぁあ! 変態!」

 と大騒ぎ!

 そのうえ、「汚物は消毒よ!」と言わんばかりに全て燃やされることだろう……

 え?燃やしてもらえるんだったら万事解決してるじゃんwwwwって?

 あほか!

 自分で燃やすのとビン子に燃やされるのとではまるで意味が違う!

 というか、ビン子にだけはそんなものを見られるのは絶対嫌なのだ!

 ならば、この状況、自分で何とかするしかない。

 何とか切り抜けて、ベッドの下のムフフな本をビン子にバレる前に何とかしないといけない……のだ。

 だが、タカトに戦うすべなどありはしない……

 ⁉

 ――うん? そういえば……

 タカトは腰についた硬いイチモツに気が付いた。

 え? タカトの暴れん坊は小さく縮こまっているはずでは?

 そう、確かにタカトの暴れん坊は小さく縮こまっている。

 だが、タカトはもう一本の暴れん坊を持っていたのだ!

 それは、タカトがカマキガルの鎌と小剣を融合加工した『お脱がせ上手や剣(完成品)』改め! ただの小剣!

 権蔵が魂を込めて磨き上げた無名の逸品である!

 ――この剣なら!

 タカトは腰から小剣を抜き出すとダンクロールに向かって構えた。

 カタカタと震える剣先。

 いかに小剣が優れていても、それを使うものがタカトでは……

 だが、この小剣はタダの小剣ではない!

 そう、権蔵がタカトのために固有融合を施したモノ。

 通常の融合加工品よりも威力は3割り増しとなっている!

 しかも!その硬度はイノシシやクマの頭蓋だって簡単に貫いてしまうほどなのだ!

 それほどまでにカチカチに固い暴れん坊!

 こんな固くて立派な一モツを持っていたら……どんな女でもwwwもとい!どんな敵でも落としてしまえるかもしれないのだ!

 そう考えたら……もしかしたら、童貞のタカトにだって可能性が……

 タカトは震える親指を剣の束についた棘に押し当てる。

「きゃ……きゃいけつ、きゃぃひょぉーーーーーー」

 もう、タカトの奴……恐怖でまともにしゃべれない様子wwww

 だが、それでも棘に押し付けられた親指からは一滴の血が滴り落ちる。

 そして、その瞬間! 小剣の白き刀身が青白く輝きだしたのだ!

 そのとたん、ダンクロールはタカトから距離をとるかのように数歩後ろに下がった。そして、タカトの周りをまるで円でも描くかのようにゆっくりと歩きながら様子を伺うそぶりを見せ始めたのだ。

 だが、その緑の双眸はしっかりとタカトをとらえたまま。

 タカトにすこしでも隙があればすぐさま飛び掛かる気のようである。

 って……尻もちをつきながら小剣を突き出しているタカトは、どこからどう見ても隙だらけ。

 というか、この状況、どこから突っ込んでも簡単に牙で貫けそうな気がするのは作者だけだろうかwww

 まぁ、それほどまでに今のタカトの姿は無様なのであるwww

 無様なのだが……

 突き出している小剣に隙がないのだ。

 先程から日の光をはじく刀身がダンクロールの行動を威圧するのである。

 おそらくダンクロールにも、その小剣がタダの小剣でないことが分かったのだろう。

 このまま無策に突っ込んだとしても、最悪、あの小剣に貫かれかねない……

 ダンクロールの体に刻まれる無数の傷がそう忠告するのだ。

 おそらく、この魔豚……今まで多くの人間たちと戦い生き残ってきたのだろう。

 それは多くの人間を食ってきたことを意味する。

 ――あと少しで魔人に進化できるかもしれんというのに……

 それは、目の前に無様に転がる小僧を食えばなしえるかもしれない。

 ならば、今すぐにでも食らいたい!食らいつくしたい!

 ――だが……焦りは禁物……

 聖人世界に来てまで必死になって頑張ってきたのだ。

 それなのに、ここにきてあんな小僧に傷を負わされていいのだろうか?

 いや、傷で済めばいい……

 あの小剣……急所に当たれば最悪、死だってありうるのだ。

 それほどまでの威圧感……

 ――決して!あのような小僧が持っていていいような業物でない!

 それは歴戦の勇者が持ちうる武器。

 魔装騎兵が持つような代物なのだ。

 だが!

 ――目の前の小僧は、どう見ても素人……

 魔装騎兵や武人ではありえない。

 鼻息を荒くしたダンクロールは頭を低くする。

 ――優れた武器も優れた使い手があってこそ……

 人切包丁と言われる日本刀だって素人が振るえば骨すら断てない。

 それどころか、肉に食い込み動かなくなってしまうのだ。

 ――ならば、その食い込みすらも無理にすればいいだけの事よ!

 全身に込められる力。それは無数に生える体毛を硬化させる!

 ――もうこれで奴はタダの肉!

 準備万端と言わんばかりに地をこする前足が土ぼこりをたてはじめた。

 その様子を見たタカトは、すでに涙目。

 先ほどから構える剣先の震えが大きくなっていた。

 ――もう、無理だ!

 さすがに死を覚悟する。

 人とは絶望の淵に立つと神に赦しを請うのだ。

 ――あぁ、神様!

 それは今までの人生に対する懺悔。はたまた、死後の世界に対する些末な願いなのかもしれない。

 ――せめて、あの巨乳の歌姫アイナちゃんの本だけでも、天国に持って行くことは叶いませんでしょうか……

 って……お前の願いはそれでいいのかwwww

 というか、ビン子だって神様だろうが!

 ――アホか! アイツは能無し!乳なし! 自分の乳すら大きくすることができない奴なのよ!

 確かにビン子は神である。

 金色の眼を権蔵の作った眼色変更コンタクトで誤魔化している。

 というのも、ビン子には記憶がない、そのため、神の恩恵が全く使えないのだ。

 もはや……無乳の神……いや、無能の神……

 それどころか、毎日、タダ飯を食うだけの貧乏神……

 そんな神に願ったところで願い事などかなうはずもない。

 ――というか! この状況! アイツを助けようとしたからだろ!

 そういえば、そうだったwwww

 崖から落ちようとしたビン子を助けようとしたためにタカトは崖下に落ちたのだ。

 落ちるビン子、手を伸ばすタカト。

 なぜ……俺はあの時、咄嗟に手を伸ばしたのだろう……

 ビン子がいなくなれば3日に一度不味い飯を食わなくてもよくなるではないか……

 だが……それでいいのか? 家族だろ?

 いや……そんなものよりももっと大切な何か……

 己が命をなげすてでも守らないといけない存在。

 それがタカト本心からなのかはタカト自身にも分からない。

 分からないのだが……

 まぁ、その前にビン子を馬鹿にしていた時点で責任はタカトにあるように思うのだが……タカトのとっては、それはそれ!これはこれ!の話なのだwwww

 そう考えると、今のタカトに取ってビン子はもう貧乏神じゃなくて疫病神といっても過言ではない!

 ――ああああ! それもこれもアイツがわるい!

 なんだか胸糞が悪くなってきた。

 ――ならば!このまま死んでいいのか!

 なぜだか死んだタカトの位牌の前でビン子がニヤニヤ笑っている姿が想像できてしまう。

「タカトwwwあなたのムフフな本はwwwww」

 燃やされる?

 ――いや違う! 奴は絶対にそんなことしない!

 そう、タカトのムフフな本の多くは巨乳のアイナちゃんの写真集が占めている。 

 その存在は無乳のビン子にとっては天敵と言っても過言ではない。

 それを見たビン子の反応……

 すぐさま本を燃やす?

 いや、そんな事ではビン子の胸のイライラが収まるとは思えない!

 もっとひどいこと!

 そう、ムフフな本といえどもその尊厳を汚そうとするはずなのだ!

 たとえば、変態オタクどもの欲望の糧に供するかもしれない。

 オタクたちの前で両足を広げるかのように押し広げられたムフフな本のページにのるアイナちゃんの姿。

 そこに変態オタクたちの暴れん坊が無理やり押し付けられる。

 『これが欲しいんだろ! これが欲しいって言え!』

 『イヤ! 絶対にイヤ!』

 だがついには……巨乳のアイナちゃんの尊厳は白濁に汚されることになるのだ。

「タカトwwwあなたのムフフな本はwwwww私がしっかりとブックオフに売ってきてあげるわwwww」

 もう!勝ち誇ったかのような笑みを浮かべるビン子。

 ――それだけは絶対に許さん!

 だから!ビン子にだけは!ビン子にだけは!見られるのは絶対嫌なのだ!

 そう考えると!タカトに闘志がわいてきた!……理由はともあれ……

 ――だいたい!俺、童貞だぞ! それどころか!おっぱいすら揉んだことないんだ!

 そう、日頃、訳の分からぬエロ道具を作っているにもかかわらず、その願いが成就したためしは一度もない!

 そのかいあって、タカトの純潔はきれいなまま保たれていた。

 それどころか、ラッキースケベすらないタカトには……オッパイを揉むという感触は……抱き枕を揉みしだく!以外では頭の中の想像でしかなかったのだ……もう、まさに不憫。

 ――このまま死んでいいのか……いや、いいはずがない! いいはずないだろうがぁぁぁぁぁぁあ!

 恐怖をグッと飲み込む!

 そして、無理やり震えを抑え込んだ剣先が、ダンクロールの正面をまっすぐにとらえた。

 まるでそれを合図とするかのように、ダンクロールが足を踏み出した。

 一気に加速するイノシシの巨体!

 嵐のごとき勢いで土ぼこりをたてながらタカトに向かって突進してくる。

 それを見るタカトの目!

 力強くダンクロールをにらみつける!

 だが……

 ――あっ!やっぱ……無理!

 あきらめたwww

 コイツ!秒で!あきらめよったwww

 ――だって……あの勢い……抵抗しても絶対に無駄だもん……

 それを理解したタカトは目を閉じた。

 ――痛くしないで……

 その切なる思い……もしかしたら、ムフフな本の中で足を広げるアイナも思ったのかもしれない。

 そんなタカトはアイナと気持ちがシンクロしたような気がした……とはいっても、まぁ、タカトの勝手な妄想なわけなのだがwww

 だが、初めてとは痛いと聞いたことがある……

 そのため、痛みで気を失うこともあるという……

 というか……すでにタカトは明らかに意識を失っていた。

 まるで魂が抜ける、いや、暴れん坊の栓が抜けるかのようにタカトは昇天していたのである。

 ジョボジョボジョボ……

令和8年10月28日の昼飯

 

 

本日、食したカップラーメンはこちら!

マルちゃん
「ごつ盛りソース焼きそば」
キューピーからしマヨネーズ付

だぁぁぁぁぁぁ!

 



早速! いただきます!

天気は晴れ。
今日は気持ちのいい青空が広がっている。
ところが、またしても週末は天気が下り坂になるらしい。
……なんで週末ばかり狙って雨が降るんだ?
平日は仕事、休日は雨。
これではせっかくの休みも、家でゴロゴロするしかないではないか。
まあ、晴れていてもゴロゴロしている可能性は高いのだが(笑)。
それでも、選択肢くらいは残しておいてほしいものだ。

そんな週末の空模様に文句を言いながら湯を沸かし、手に取ったのは

マルちゃん
「ごつ盛りソース焼きそば」
キューピーからしマヨネーズ付。

湯を切ってソースを絡めれば、食欲をそそる濃厚な香りが広がる。
ひと口食べれば、甘辛いソースの旨みが口いっぱいに。
そこへ付属のからしマヨネーズをかければ、まろやかなコクとツンとした刺激が加わり、さらに箸が進む。
麺もたっぷりで、相変わらずの食べ応え。
安定のごつ盛りである。

──まさに好事多魔。

好事多魔(こうじたま):よいことには、とかく邪魔や障害が入りやすいということ。

せっかくの休日に限って天気が崩れる。
これも一種の好事多魔なのだろうか。
まあ、雨なら雨で家でのんびり過ごせばいい。
……とはいえ、たまには週末にも青空を分けてほしいものだ。

今日のこれは満腹度9/10級。週末の天気は下り坂でも、ソースとからしマヨの組み合わせは相変わらず絶好調でした。

 

ということで、今日は「ゴロゴロ」つながりお話を。

 

kakuyomu.jp

 

 そのころ――。

「アダム様ぁぁぁぁぁぁ!」

 同じ神民病院。

 別の廊下では、マジルダが必死になってタカトを探し回っていた。

「どこですかぁぁぁぁぁぁ!」

 右を見る。

 いない。

 左を見る。

 いない。

 病室を覗く。

 いない。

「アダム様ぁぁぁ!」

 タタタタタッ!

 階段まで走る。

 そこで止まり――。

 スンスン!

「こっち!」

 ダダダダダッ!

 走る。

 スンスン。

「…………こっち?」

 戻る。

 スンスンスンスン!

「どっちですかぁぁぁぁぁぁぁ!」

 頭を抱えた。

 匂いがする。

 どこへ行っても――する。

 アダムの香り。

 ずっと探し求めていた、愛しい男の香り。

 マジルダは、その香りを追って街中を飛び回っていた。

 右へ。

 左へ。

 屋根から屋根へ。

 そして、ようやく突き止めた。

 この神民病院。

 間違いない。

 街中に漂っていたアダムの香りは、この病院から流れ出していた。

 さらに院内へ入り、その中でもひときわ香りの濃い場所を探し――。

 辿り着いたのが、四階の病室。

 そして、そこにいた少年。

 タカト。

 あの少年こそアダムではないか。

 マジルダは、そう考えた。

 だが――。

「アダム様ぁぁぁぁぁ!」

 スンスン!

「…………?」

 分からない。

 なにしろ――。

 臭すぎるのだ。

 アダムの匂いが。

 廊下にも。

 壁にも。

 病室の中にも。

 どこに行っても、アダムの香りが漂っていたのだ。

 その発生源である四階に至っては、なおさらだった。

 あまりにも濃いアダムの香りに包まれているため、目の前のタカト本人から同じ香りがしているのかどうか、マジルダにすら判別できなかったのである。

 マジルダにとって――。

 アダムの香りは特別だった。

 何十年経とうと忘れない。

 他の男のものなどと間違えるはずがない。

 だからこそ。

 周囲のすべてが、その特別な香りで埋め尽くされてしまえば――。

 どれが本人なのか分からない。

 そこで。

 マジルダは考えた。

 自分で分からないなら――。

 他人に嗅がせればいい。

 そして。

 フジコに確かめさせた。

『しましたよ。同じ匂い』

「…………♡」

 思い出しただけで、マジルダの頬が緩む。

 そう。

 同じだった。

 間違いない。

 フジコが、そう言ったのだ。

 あの少年から――。

 自分の左手に七十年以上残り続けている、アダムと同じ香りがしたと!

「やっぱり……」

 両頬を押さえる。

「あの方がアダム様ぁぁぁぁぁ♡」

 確定である。

 マジルダの中では。

 ちなみに。

 その鑑定を担当したフジコは――。

『――多分だけど』

 と思っていた。

 さらに。

『まぁ、イカの種類なんて、大体どれも一緒でしょう』

 とも思っていた。

 七十年探し続けた最愛の男。

 その本人確認。

 判定基準――。

 どっちもイカ臭かったからwwww。

 以上。

 そして――。

 恐ろしいことに。

 合っていたwwww。

 世の中、そんなことも、たまにある。

「アダム様ぁぁぁぁぁぁ♡」

 マジルダは走る。

 フジコの鑑定結果を一片たりとも疑っちゃいない。

 ただし。

 肝心のタカトがいない。

 でも、少し前まで、確かに病室にいたのだ。確実に!

 それなのに――。

「なんでいなくなったんですかぁぁぁぁぁ!」

 窓際で。

 ようやく見つけたアダムのことを想い。

 胸がいっぱいになって。

 身体までいっぱいになって。

 ほんの少しだけ。

 本当にほんの少しだけ、自分を慰めている間に――。

 いなくなってしまった!

「なんであのとき我慢できなかったんですかぁぁぁぁ! 私ぃぃぃぃぃぃ!」

 知らんがな。

「アダム様ぁぁぁ!」

 再び走り出す。

 そして。

 角を曲がった、その瞬間――。

「――見つけたぞ」

「はい?」

 ピタッ。

 マジルダの足が止まった。

 聞き覚えのある声。

 いや。

 忘れるはずがない。

 その声だけは。

 ゆっくり。

 恐る恐る。

 マジルダが顔を上げる。

 廊下の向こう。

 金色の長い髪。

 金色の瞳。

 男物の白いワイシャツ一枚。

 胸元は、その豊満すぎる身体によって内側から押し広げられ、ボタンとボタンの間から白い肌が覗いている。



 マジルダの口が開いた。

「…………え?」

 イブが一歩近づく。

「え?」

 さらに一歩。

「えぇ……?」

 マジルダの顔から、見る見る血の気が引いていく。

「イ……」

 ガタガタ。

 膝が震える。

「イブ様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「うるさい!」

「なんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 病院中に絶叫が響いた。

「どこから出てきたんですかぁぁぁぁぁ! さっきまでいなかったじゃないですかぁぁぁぁぁ!」

「誰が出てきたじゃ!」

「だって! いませんでした! 絶対いませんでしたよ! 私、ちゃんと確認したんですから! イブ様の気配なんて、どこにも――」

 そのとき。

 スッ。

 イブの右手が上がった。

「…………!」

 マジルダの目が見開かれた。

 人差し指。

 中指。

 二本の指!

「ひっ!」

 脳裏に蘇る。

 遠い昔。

 何度も。

 何度も。

 何度も。

 鼻の穴へ突っ込まれた――二本の指!

 ズボッ!

 グイグイ!

 グイグイグイ!

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

 身体が勝手に動いた。

 イブの指が迫る!

「――ハッ!」

 バッ!

 マジルダは両手を顔へ持っていくと――。

 むぎゅっ!

 自分の指で、左右の鼻の穴を押し潰した。



 そして。

 イブの二本指が――。

 スカッ。

「…………」

「…………」

 静寂。

「…………」

 イブは、何もなかった空間へ突き出された自分の二本指を見る。

「…………」

 マジルダも見る。

 イブの指。

 自分で塞いだ鼻。

 そして、もう一度――イブ。

「…………」

「…………」

 やがて。

「ふっ……」

 マジルダの口元が上がった。

「防ぎましたよ!」

「…………だからなんじゃ。」

「ふ……ふふふ……!」

 マジルダの肩が震える。

「やった……」

「…………」

「やりました! ついに私は!」

 長かった。

 本当に長かった。

 何度、あの二本指に鼻の穴を蹂躙されてきたことか。

 逃げても無駄。

 抵抗しても無駄。

 気づいたときにはズボッ!

 そして――。

 グイグイ。

 グイグイグイ。

 だが。

 今――。

「防いだ……!」

 マジルダの目に自信が宿った。

「私は……イブ様の二本の指を防いだぞぉぉぉぉ!」

「うるさいわ!」

 そのとき。

「…………あれ?」

 マジルダの表情が変わった。

 イブを見る。

 自分の鼻を見る。

 もう一度――イブ。

「…………」

 おかしい。

 昔なら。

 こんな方法で防げるはずがなかった。

 鼻を塞ごうが。

 顔を背けようが。

 逃げようが。

 最後には必ず――。

 ズボッ!

 だった。

 なのに……どうして?

「イブ様……」

「なんじゃ」

「もしかして……」

 マジルダの目が細くなる。

「弱くなってません?」

「…………」

 ピクッ。

 イブのこめかみが動いた。

 それを見たマジルダの背筋が――。

 すっ。

 伸びた。

「ふふ……」

「…………」

「ふふふふふ……」

 さっきまで震えていた膝が止まる。

 自分の鼻を塞いでいた指を離し。

 胸を張る。

「なぁ~んだ」

「…………」

「そういうことですかぁ」

 ニヤァァァ。

 マジルダの口元が吊り上がった。

「もう、あなたの居場所は〝どこにもない〟んですよ!」

「…………なんじゃと?」

「この年増!」

 ブチッ!

 イブの中で、何かが切れた。

「アダム様のお相手は、このマジルダがちゃんとやりますからぁ♡」

「…………」

「あなたはそのまま――」

 ニコッ♡

「永久に眠っておいてください! ふふっ♡」

「…………殺す」

「今のイブ様にできますかぁ?」

「このクソ使徒ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 バシィィィィン!

 イブの平手がマジルダの頬へ炸裂した。

「痛ぁぁぁぁぁ!」

「誰が年増じゃ!」

「年増だから年増って言ったんですぅぅぅぅ!」

 バシィィィィン!

「ぶっ!」

 今度はマジルダの平手がイブの頬へ炸裂。

「貴様ぁぁぁぁぁ!」

「やりましたねぇぇぇぇぇ!」

 ガシッ!

 互いの手が、互いの髪を掴んだ。

「離せ! この泥棒猫!」

「そっちが離してくださいよ! この年増!」

「またワラワの男に手ぇ出しやがって!」

「アダム様はあなたのものじゃありませぇぇぇん!」

「ワラワの男じゃぁぁぁぁぁ!」

「私のアダム様ですぅぅぅぅぅ!」

 グイィィィ!

「痛い痛い痛い! 髪を引っ張るなぁ!」

「イブ様こそ離してくださいぃぃぃ!」

「離すか!」

「だったら私も離しません!」

「痛っ! 噛むな!」

「そっちこそ耳を引っ張らないでくださいよぉぉぉ!」

 神と。

 その使徒。

 遥かな時を超え、アダムを巡って再び相まみえた二人。

 その戦いは――。

「このぉぉぉぉ!」

「痛ぁぁぁぁ! ほっぺた抓らないでくださいぃぃぃ!」

 実に――。

 見苦しかった。

「ワラワのアダムじゃぁぁぁ!」

「私のアダム様ですぅぅぅ!」

「ワラワのじゃ!」

「私のです!」

「ワラワの!」

「私の!」

「ワラワのぉぉぉぉ!」

「私のぉぉぉぉぉ!」

 グイィィィィ!

「痛ぁぁぁぁぁ! 髪! 髪抜けますってぇぇぇ!」

「抜けろ! 全部抜けてしまえ!」

「イブ様こそ離してくださいよぉぉぉ!」

「誰が離すか!」

 バシッ!

 ベシッ!

 グイグイグイッ!



「痛いぃぃぃぃ!」

「年増言うた口はどれじゃぁぁぁ!」

「そこですぅぅぅぅ!」

「分かっとるわ!」

 そして――。

「このぉぉぉぉぉ!」

 ドゴンッ!

「きぃやぁぁぁぁぁぁぁ!」

 ついにマジルダが吹っ飛んだ。

 廊下をゴロゴロと転がり、壁際でようやく止まる。

「うぅぅぅ……」

 涙目で顔を上げる。

 その向こうでは、髪をボサボサにしたイブが肩で息をしながら立っていた。

「ハァ……ハァ……二度と……」

 ギロリ!

「ワラワの男に手ぇ出すなぁぁぁぁ!」

「ひぃぃぃぃぃぃ!」

 ダダダダダダダッ!

 マジルダは泣きながら逃げていった。

 それを見送るイブはペッと唾を吐いた。

「ふん……身の程を知れ……淫乱女が!」

 そのとき。

 イブの指から――。

 ふっ。

 力が抜けた。

「…………っ」

 壁へ手をつく。

 遅れて、膝が震えた。

「チッ……もうか……」

 分かっていた。

 最初から。

 今回の復活は、本来のものではない。

 マジルダの力によって〝魔〟を暴走させられ、これまで蓄えてきた生気を無理やり吐き出しただけ。

 まだ――足りない。

 この程度では。

 本来の自分を維持するには、まるで足りない。

 イブは目を閉じた。

 ならば――。

 仕方がない。

「…………面倒な」

 小さく呟く。

 イブが持つ、神の恩恵。

 〝再生〟。

 かつて。

 一度死んだアダムを、この世へ再び呼び戻した力。

 あのときは、肉体も。

 命も。

 すべてを失ったアダムを無理やり再生させた。

 その代償はあまりにも大きく――イブは膨大な生気を失った。

 そして、本来の自分を維持することすらできなくなってしまった。

 だから――。

 イブは作った。

 自分が再び完全な姿へ戻れる、その日まで。

 この身体を生かし。

 守り。

 動かし続けるための――。

 仮初めの精神を。

 イブの金色の瞳が細くなる。

 しかし、先ほど、その精神は――完全に消えた。

 イブが表へ戻った、その瞬間に。

 身体を動かすための仮初めの精神は、その役目を終えたのである。

 どこかに眠っているわけではない。

 奥に隠れているわけでもない。

 存在すらしていない。

 だが――。

 今回の復活は、本来のものではなかった。

 今のイブには。

 まだ、その仮初めの精神が必要だった。

「仕方あるまい……」

 アダムの時のように、肉体も命も失った者を死から再生するわけではない。

 今回、再生するのは――失われた仮初めの精神体だけ。

 それならば、必要な生気はさほど多くない。

 イブは、残された力を使った。

 イブの身体が揺れた。

 金色の髪が――。

 ゆっくりと黒へ戻り始めている。

 身体も縮む。

 肩が。

 腕が。

 脚が。

 そして、あれほど内側から押し広げられていたワイシャツの胸元からも、急速に張りが失われていく。

 もう一度。

 失われた精神体を――。

 〝再生〟する。

「ワラワが完全に戻るまで……」

 金色の瞳が閉じていく。

「もう少しだけ――お前に任せてやる……」

 そして、光が消えた。