令和5年11月15日の昼飯

本日、食したカップラーメンはこちら!

 

サンヨー食品

インスタントラーメン研究科大和イチロウおすすめ! 

「オホーツクの塩ラーメン」

北海道で愛される味わい

ホタテの風味がきいた塩味

 

だぁぁぁぁぁぁ!

早速! いただきます!
 
うーん! シンプル!
いうなれば、シンプル!イズ!ベスト!といったところだろうかwww
 
このラーメンにはオホーツクの塩を30%使用しているとのこと。
そして、その塩を使うことによって(株)つららのオホーツクの塩ラーメンの風味を再現したそうである。
 
ぶっちゃけ、塩の味わいに違いなどない!
いや、ないことはないのだ……確かに、食べ比べると風味や甘み、奥行きといったものが違うというのはよく知っている。
知っているのだが、その塩単品で食べると、やはり塩なのだwww
まして、30%?
残りの70%は他の塩ということである。
 
日本の塩づくりのほとんどは近海の海水を使用している。
あの伯方の塩でさえ、メキシコやオーストラリアの天日塩田の塩を輸入して、もう一度、瀬戸内の海水に溶かして塩にしているのだ……実にまわりくどいwww
このように、他の塩も多かれ少なかれ、その地域の海水の味というものを持っているのである。
ちなみに外国製の塩は岩塩から作られているものがほとんどで、日本の塩とは味わいがかなり違う。
 
ということで、このラーメンに話を戻そう。
70%も他の海水の塩が混じっていれば、それはもうオホーツクの海水とはいいがたい。
まして、外国製の塩など使っていれば海水塩ですらないのだ。
私は食べたことはないが、インターネットで確認すると、本家本元の(株)つららのオホーツクの塩ラーメンのパッケージにはオホーツクの塩を100%使用していると書いている。
100%であればオホーツクの塩ラーメンの味わいというものも伝わるのかもしれないのだが……なぜに30%?
30%なのにオホーツクの塩ラーメンと言い切るのだ。
 
なぜか?
 
ココからは私の個人的な見解である……要は、カップラーメンのようなジャンクフードにしてしまうと塩の微細な味など分かりゃしないだろうということではないだろうか。
言い換えると、30%も100%も味の違いがさほどないよね、ってことなのだろう。
だが、オホーツクの塩ラーメンと名を打った以上、オホーツクの塩が入っていないといけない。
しかし、オホーツクの塩は外国製の塩に比べると、当然にお値段は遥かに高い!
そこで、ソロバンをはじいて採算ラインを計算してみた結果、投入できる量が30%だったということではないだろうか。
 
それなら、無理せずにエビでもタコでも他の具材を入れておいてよwwww
寂しいんだからwwww
 
ということで、今日は「タコ」つながりのお話を。今、現在、執筆中の最新話だ!
 

kakuyomu.jp

 

 ビチャ!

 ビチャ!

 ビチャ!

「えらいこっちゃぁ!」

「なんで私まで逃げないといけないのよ!」

 殺人犯の濡れ衣を着せられると思ったタカトとビン子は川へ向かって一目散に走っていた。

 そう! 向かうは夜の川!

 そこまで行けばきっと人など誰もいないことだろう。

 いや、いたとしても変態さんぐらいのものだ。

 などと思っていると……案の定。

「はぁ♡ハァ♡ ねぇ! 君たち!」

 と、急ぐタカト達の背後から、急に呼び止める声がした。

 その声にピタリと動きを止める二人であったが、どうにも怖くて後ろを振り向くことができない。

 というのも、ココは人手がほとんどない川の土手。

 そんな夜の土手道でウ○コ臭い二人を呼び止めるような人間といえばどんな奴だろうか?

 背中に嫌な汗をにじませながらタカトは瞬時に思考を巡らせた。

 ――いったい誰やねん!

 もしかしたら、スカトロマニアとか……

 もしかしたら、カストロマニアとか……

 いや!やっぱり! スカトロマニアだろ! って、それ以外に何かあるのかよ!

 声のトーンからすると16歳のタカトと同じぐらい、いや、少し年上ぐらいの青年といったところだろう。

 なら、タカトの知り合いだろうか?

 いや違う。そもそも、この10年前の世界にタカト達の知り合いなどいやしないのだ。いたとしても、それは保育園や幼稚園に通っているぐらいのお年ごろなのである。

 ということは、やはり、声をかけきている奴とは全く知らない間柄のはず。

 もしかしたら……これから……しっぽりと仲良くなって熱い熱い夜のひと時を朝まで寝ずに過ごそうと思っているかもしれないのだ……

 ヒィィィィ!

 おケツのピンチ!

 タカトは自分のお尻をキュッとすぼめると、なぜか両手で隠した。

 ――ああ! こんな時にエロ本カクーセル巻きの取り換えプラグがあればお尻を守れたのに!

 って、やっぱり取り換えプラグはそういう使い道なんですかwww

 というか、ビン子ではなくて、どうして自分が襲われると思うのでしょうねwwwその思考回路はどうなってるのよwww

 

 次第にタカト達に近づく少年の声。

「はぁハァ……ちょっと待ってよ……そんなに急いでどこに行こうというの?」

 どうやら、走るタカト達を懸命に追ってきたようで、青年もまた息が切れているようであった。

 この感じ……どうやら、お尻の危機を感じる必要もなさそうである。

 ということで、タカトとビン子は恐る恐る背後を振り返った。

 そこには、年のころ18歳ほどの青年が月明りの中、膝に手を当て肩で息をしながらうなだれていた。

 しかも!

 しかも、事もあろうか、その青年の手には融合加工コンテストの優勝トロフィーが握られているではないか!

 ということは、こいつが優勝者?

 

 タカトによってカレー砲がまき散らされたことによってコンテストのスケジュールはグチャグチャになっていたwww

 だが!

「授賞式は必ず行う!」

 と、ガミガミ船団のデスラー審査員長の一声に、

「「「「ハイル! デスラー!」」」」

 何とかステージ上だけはモップをかけて、強烈なウ〇コの香りが残る中、遅ればせながら授賞式が執り行われたのである。

 そして、壇上に立つデスラー審査員長が高らかに宣言するのだ!

「優勝は! 超推進力エンジン!オイルバーン試作機! その得点はなんと49点! 彼の栄誉を称えよ!」

 そう言い終わると、デスラー審査員長は誇らしげに掲げた優勝トロフィーを一人の青年の手に渡すのだ。

「お見事だった! 祝電を送る代わりに優勝トロフィーにデスラーの名を刻んでおいた!」

 青年が持つ優勝カップの金色の肌には黒いマジックで大きく「デスラ~ですら~♪」と書かれていた。

 

 

 そう、タカト達の背後で肩で息をしているこの青年こそ今回の融合加工の優勝者であるクロト = メンジェントル。のちの第二の門の騎士になる男である。

 そんなクロトも授賞式の開始がかなり遅れたため、今、コンテストからの帰りであったのだ。

 

 どうやら少し息が落ち着いたのだろうか、暗い土手上で膝に手をやり、うなだれていたクロトは、突然、顔を上げると18歳の青年とは思えないような屈託のない笑顔をタカトとビン子に向けたのだ。

「ねえ! 今日、ステージの上で見せたアレをもう一度見せてよ!」

 アレ?

 あれって何?

 訳が割らないタカトとビン子は当然に顔を見合わせて、いろいろと思い浮かべる。

 ステージの上で観客のウケが良かったといえば……

 あっ!

 もしかして!

 そう! ビン子のタコ踊り!

 ステージ上で繰り広げられたビン子のパフォーマンスを見て、もしかしてファンになったのかもしれない!

 ――ファン1号! ゲットだぜ!

 ビン子が心の中でガッツポーズをとったのは言うまでもないwww

 というか! あんなタコ踊りでファンになる奴などいるわけないだろうが!

 

 そう……

 暗くなったコンテストの帰り道、一般街の石畳の上を「デスラーですら~」と書かれた優勝カップを手にクロト青年は、トボトボと歩きながらつまらなさそうな表情を浮かべていたのである。

 ――あのデスラーって旧世代の自己顕示欲の塊だよな……いや、旧世代以下か……

 クロトにとって、この優勝カップなどゴミ以下の存在である。

 だが、デスラー審査員長のサインが入っているため、その辺のゴミ捨て場においそれと捨てるわけにはいかない。

 おそらく、プライドの高いデスラー審査員長のことだ。

 クロトが捨てたことが分かると、なんだかんだと難癖をつけて二度と道具コンテストに参加させなくすることなど朝飯前なのである。

 まあ……今のクロトにとって……もう……それでもよかった……

 クロトは別に、こんな優勝カップが欲しいわけではない。

 まして、神民であるクロトにとって金貨1枚(10万円)の賞金などはした金である。

 なら、融合加工コンテストに参加するクロトの目的は融合加工院への推薦なのだろうか?

 たしかに、それは魅力的なものであったのだが、既に、10年連続で優勝しているクロトにとって、神民学校の卒業とともに融合加工院で研究をすることは、もはや当たり前のことになっていた。

 すでに融合加工コンテストのチャンピオンの名を欲しいまましていたクロトであったが、道具作りをすればするほど、なにかモヤモヤとした感情が胸に沸き起こってきていたのである。

 そう、今の時代の融合加工は第五世代。

 人体と魔物組織の融合加工の時代である。

 そんな時代に、第一世代や第二世代のような道具の加工をしていて、一体何の役に立つのであろうか?

 おそらく天才といわれるがゆえに、自分のやっていることに対して不安と焦燥が生まれてきていたのだ。

 そんな解決の糸口を探るかのように、クロトは融合加工の可能性を探し求める。

 そして、アイデアのきっかけを見つけるためにコンテストのステージの上に立ち続けていたのである。

 それが、どうだ……

 コンテストに出てくる道具といえば、第一世代のおもちゃ以下……

 とてもじゃないが、ワクワクするようなアイデアとはいいがたいものばかりなのである。

 

 私はどうすればいいのだろうか?

 私はこれから何を目指せばいいのだろうか?

 

 そんな悩みを抱きトボトボ歩いていく彼の目の前を茶色いお尻と赤いお尻が仲良く走って行くではないか!

 ――あっ! あのお尻は!

 そう、あの茶色いお尻はステージの上でタコ様の踊りをしていた可愛いお尻である。

 そして、もう一つの赤いお尻は、融合加工のコンテストでウ〇コをまき散らした恐るべきお尻である。

「ちょっと! ちょっと待ってよ!」

 そのお尻たちを見た瞬間! なにを思ったのか、クロトはそのお尻の後を全速力で追いかけだしたのである。

 

 ビン子は土手上で声をかけてきたクロト青年を見るなり有頂天になった。

 というのも、クロトはイケメンだったのである。

 ――こんなイケメンが私のタコ踊りをもう一度見たいって言ってるの?

 クロトに比べるとタカトなど月とスッポン、いや、ミドリガメwww

 そんなクロトが自分のファンになってくれたのだ。

 ビン子が舞い上がるのは無理もない。

 顔を赤らめたビン子はそそくさと肩にかけていたカバンを下すと、中からすばやくマジックを取り出したのである。

 ――ヤッパリ! ファンサービスって言ったらサインよね♡

 そして、頼まれてもいないにもかかわらずクロトの持っている優勝トロフィーをサッと取り上げると既に書かれている「デスラーですら~」という文字をグリグリと黒で塗りつぶし、その上に「タコ踊りだけど、かみさまのビン子だよー♡」と大きく書き込んだのである。

 その一連の動作をあっけにとられながら見ていたクロトは一言。

「君って……神様なんだ……」

 ――やばっ!

 慌てたビン子は「み」の文字をグリグリと黒に塗りつぶすと、さらにその上に「に」を書き換えた。

「いやだなぁwwww私、サイン、間違えちゃたwww」

 もう、あれほど金色だったトロフィーが、いたるところ黒いグリグリのまだら模様。

 そんな小汚いトロフィーを顔の横に掲げたビン子はかわい子ぶって舌を出すのだwww 

「もう♡ビン子ちゃんてドジっ子なんだから♡」

 テヘペロwww。

 ビン子ちゃん! 渾身のぶりっ子!

 だが、クロトは「み」だろうが「に」だろうが別にどうでもよかった様子で、すでに優勝トロフィーなど興味がないと言わんばかりに背中を向けていた。

 タカトに至っては最初からビン子のボケなど見る気もなく、なにやらすでにクロトと話し込んでいたのであった。

「って、お前ら! ビン子ちゃんのサインはどうでもいいかい!」

 そんな二人に、とっさにビン子ちゃん、激しいツッコミを入れるのだが……

 そのツッコミも完全スルー……

 暗い土手上でツッコミポーズをとったビン子が一人寂しく静かに固まっていた。

 冷たい夜風がピューウっと通り過ぎてはビン子の黒髪を揺らしていく。

 それが……また、いち段と寒さを際立たせていたwww

 ――ビン子ちゃん! 超さびちい!

 

 まるでそんなビン子をあからさまに無視するかのようにクロトとタカトは熱心に話し込んでいた。

「ねぇ! 君! あの腕輪すごいよね!」

「あの腕輪?」

「そう! エロ本とかたこさんウィンナーを取り出した腕輪! あれ、深砂海しんさかい縦筋たてすじ露里ろり万札まんさつエイの胃袋を融合加工してるんでしょ」

「すごいな! よくわかったな!」

 クロトの予想を聞いたタカトはもう有頂天。

 今までの人生において権蔵にも、ビン子にも「すごい!」と言われたことがなかったのにも関わらず、目の前の青年から初めて!、嬉しいのでもう一回www本当に初めて!自分の道具のことを「すごい!」と褒められたのである。

 

「私はクロト = メンジェントル。クロトと呼んでください。ところで、君の名前は?」

「俺は天塚タカト! 俺もタカトでいいよwww」

「それじゃ! さっそく!タカト君! 胃袋の中の異次元からどうやってモノを取り出しているのか教えてくれないかな?」

「取り出し方?」

「そう! 取り出し方! 私もあの胃袋を融合加工して、いろいろと試してみたんだけど、どうやってもあの無限に広がる空間の中から物体を取り出すことができないんだよ」

「そんなの簡単じゃん! チョイッと引っ張り出せばいいだけのことよ!」

「簡単に言ってくれるねwwwそのチョイッと引っ張り出すことが誰にもできない訳だよwww」

「そんなに大変かなwww」

「だいたいよく考えてごらんよ、異次元空間は無限に広がっているんだよ。どこに行ったか分からないものなんて取り出しようがないだろ」

「そんなことかwwww」

「そんなことかって……そこが、一番大変なんじゃないかwww」

「だったら、異次元空間でどっかにいかないように柵を作ってやればいいだけじゃないか」

「柵?」

「そう、広い草原で羊を飼うとき柵に入れるだろ。あれと同じだよwwww」

「いやいやwwww異次元空間に柵なんか作れるの?」

「えっ? 作れないの?」

「いや、普通作れないでしょwww」

「でも、俺、簡単にできちゃったよwwww」

「またまたwwww」

 と、タカトは横で拗ねて地面の上にへのへのもへじを書いているビン子からカバンを無理やり奪い取ると、中から一つの道具を取り出した。

 

「じゃーん! コレは女医にょい棒!」

女医にょい棒?」

「そう! かつて俺が女医のスカートをめくるために作った道具」

「女医のスカートめくりってwww君って、面白いねwwww」

「そうか? この女医にょい棒をエロ本カク―セル巻きの中に組み込んでおくの。すると、伸びた女医にょい棒が異次元空間の中で壁を作って区切られた空間を作り出すってわけ、しかも、この女医にょい棒は無限に伸びるから、格納するものが増えたとしても、それに応じて広がっていくしね」

「なにそれ……その発想はなかったというか、マジですごいね……というか……その設定はアリなのwwww……でも、それでも、その空間はある程度の容量を持っているわけだよね……ならば、その空間内から、どうやって対象物を取り出すというんだい?」

「それも、この女医にょい棒が役に立つのさ! 女医にょい棒は本来、スカートをめくるための道具、要はモノをつかむことが本来の用途なわけよ! それがたとえ微細な粒子であってもつかむことができるの。その女医にょい棒で目的物をつかみ取って再構築した後、外の世界にポイって放り出すの」

「粒子の再構築って……そんな力任せな作業wwwwでも、よくよく考えるとエイの胃袋の中の異次元空間内では時間が止まっているから、その作業を何億回と繰り返したとしても外の世界では一瞬の出来事なのか……」

「ザッツ!ライト! でも……一回の開血解放で取り出せるのが一個ってところが問題点なんだよね」

「それだったら、その女医にょい棒の数を増やせばいいんじゃない?」

「クロト……お前……頭いいなwwww」

 などと話す二人がビン子のことなど忘れているのは当然であった。

 だが、そんな二人を見るビン子は嬉しそう。

 というのも、道具の話に熱中するタカトが本当に心から笑っているのである。

 アイナが死んで以来、心から笑うことを忘れていたタカトがである。

 

 だが、どうにもおケツが臭い……

 そう、ビン子のお尻についたカレー砲の跡がどうにも臭いのだ……

 そんなビン子はしびれを切らしたかのようにタカトに声をかけた。

「ねぇ……タカト、早く川に洗いに行こうよ……」

 その言葉を聞いた途端、クロトもようやく立ち込める異様な匂いに気づいたようで、苦笑いしながら鼻を覆うのである。

「いったい何の匂いだいwwwコレwww」

「ウ〇コだよ! ウ〇コ!」

「ちょっと!タカト! ストレートすぎ!」

 とっさに止めるビン子。

 そう、今、知り合ったばかりとは言えクロトは他人。

 そんな他人にいきなりウ〇コってwww

 だが、クロトはそんなことに気にする様子はなく、

「だったら、ウチに来て洗っていく?」

 とタカトとビン子をすぐさま誘ったのである。

 

 

 タカトはクロトの後をついて歩きながら考える。

 クロト……

 クロト……

 はて? どこかで聞いたことがあるような名前だな……

 ――あっ! 思い出した!

 そういえば、10年後の世界、いわゆるタカト達がいた世界の第二の門の騎士がクロト様。そして、その御方は、なんと融合加工院の主任技術者でもあらせられるのだ! 

 それは融合加工を極めんとするタカトにとっては憧れの存在!

 もしかしたら、目の前を歩く青年が、あの憧れのクロト様なのであろうか?

 そう考えるとタカトの胸は張り裂けんばかりにドキン!ドキン!と激しく音を立て始めていた。

 

 だが……

 何かおかしい……

 

 というのも、クロトが歩いていく方向がおかしいのである。

 第七駐屯地に向かう時、エメラルダからこの時代のクロトは神民学校の生徒会長を務めていると聞いた。

 ということは、向かうべき方向は城壁の向こう側、すなわち神民街のはずなのだ。

 だが、目の目のクロトは一向に城壁の門をくぐろうとしない。

 それどころか、神民街を取り囲んでいる城壁からどんどんと離れていくのである。

 街の中心から外れれば外れるほどガラは悪くなる。

 今やむき出しの土の上には、酔いつぶれた男がゲロを吐きながらゴミの山に顔を突っ込み眠っている。

 今にも崩れそうなボロボロの居酒屋からは男と女の喧嘩する声とともに大きな笑い声。

 そんな道のいたるところにはゲロと生ごみと小便の香りが立ち込めていた。

「お兄さん……アタイと遊ばないかい?」

 さっきから煙草をくわえたケバい女たちが近づいてきては発情した雌犬のような香りを残して去っていく。

 どう見ても……神民が住んでいるような街には見えない……

 というか、ここ……貧民街じゃん!

 

 それも、スラムの一歩手前の超ド貧民街!

 こんなところに神民なんて来るのか?

 来るわけないよな……普通……

 ということは、目の前のクロトは、神民のクロトとは別物なのだろうか?

 そんなタカトの悩みを知ってか知らずか、クロトは一つのボロイ店の入り口をまたいだ。

「こんばんは! おやっさんはいる?」

 

 タカトが見上げる先には傾く錆びた看板……

 も!もしかして!

 これは!

 初代仮面ライダーにおいて本郷猛や滝和也とともにライダー達が愛用するサイクロンを開発したというあの伝説の立花藤兵衛の店なのだろうか?

 もう、字すら消えかかってハッキリと読むことができないが、おそらくそれは……

 『立花ハイクショップ』

 第629話 優勝カップ  より