令和5年11月27日の昼飯

本日、食したカップラーメンはこちら!

 

明星
「かけそばでっせ」
おかず&おにぎりにめっちゃ合う
鰹・昆布・いりこのうまみ

 

だぁぁぁぁぁぁ!

早速! いただきます!

 

休み明けは、やっぱり忙しい。

来客に注ぐ来客……

座って飯を食う時間もありません。

なんで社内におって、立ち食いソバやねんwwww

 

ということで、今日は「来客」つながりのお話を

 

kakuyomu.jp

 カリアは怯えていた。

 これでも緑女の中で戦歴の長いカリアは数多くの戦場を生き抜いてきた。

 そのため少々の魔物ごときでは怯えたりしない。

 だが、そのカリアが今、明らかに怯え動揺していたのである。

 

 というのも、カリアの背後では魔物たちと戦っていた緑女たちが次々と倒れていくのだ。

 倒れていく……そんな言葉は生ぬるい……

 まるで人形でも奪い合うかにように無理やり手足が引っ張られ、強引に引きちぎられていく。

 飛び散る血しぶき。

 しかも、残った胴体は、今だはっきりとしている意識の中で、その内臓を食われ始めていたのである。

 ぎゃぁぁぁあ!

 駐屯地の広場には、悲痛なる彼女たちの悲鳴がこだまする。

 そんな恐怖を楽しんでいるかのような一匹の魔物の足下では、顔を足で抑えつけられたショートヘアーの女が小便を漏らしながら命乞いをしていた。

「や……やめて……お願い……」

 だが、相手は魔物、言葉など通じわけもない。

 そんな涙と鼻水と絶望がグチャグチャに入り混じった彼女の表情を、まるでデザートでも食するかのように魔物の生臭い口が大きく開くと、ゆっくりと包み込んでいくのである。

「助け……て……」

 その言葉が終わりらないうちに魔物の口がバキッという音ともに閉じられた。

 グチャグチャと反芻する口。

 さもそれが美味といわんばかりに感極まり天を見上げている。

 というのも、人間の脳は生気の塊。魔物にとっては魔人へと進化ができるご馳走なのである。

 大きく裂けた口角からよだれに混じって赤く染まった目玉が垂れ落ちる。

 だが、魔物の目玉は、早くも次の獲物を探し始めていた。

 

 

 カリアは思うのだ。

 彼女たちを助けたい……

 一人でもいいから助けたい……

 そう……自分がやらないと、だれも助けてくれないのだ……

 奴隷兵? あんな奴らに期待するだけ無駄なのだ……

 助けてもらおうと思うから絶望する……

 助けなんてないんだと思えば、まだ、希望が持てるのだ……

 それが緑女……

 それがアタイらなんだ……

 だから……

 だからこそ、自分が……

 自分が動かないといけないのだ!

 

 しかし、そんなカリアの前にはググが静かに立っていたのである。

 ここでカリアが仲間を救うために背を向ければ、その刹那、ググはカリアの背中を一瞬で切り裂くことだろう。

 多くの戦闘を生き抜いてきたカリアだから分かるのだ。

 いま動けば……確実に死ぬ……

 おそらく、このググの狙いはカリアの体。

 先ほどからカリアのグラマラスな肢体をなめるように何度も何度も品定めしているのだ。

 おそらくそれが分かっているのであろうか、周りにいる魔物たちはカリアに一切、手を出さないのである。

 

 ならば……

 ――ここでアタイが……こいつを抑えないと……

 そう、このググが自分に気を向けているというのなら、この神民魔人をなるべく長くこの場に足止めしておかないといけないのだ。

 さもないと、このググが緑女の仲間たちを襲いだす。

 さすれば、仲間たちの全滅はあっという間……

 ならば、なんとか仲間たちが少しでも生き延びることができるためにも時間を稼ぎたい。

 

 だが、目の前にいる神民魔人から放たれる鋭い殺気。

 そんな殺気がカリアの美しい褐色の肌に脂汗をにじませるのだ。

 ――でも……アタイにコイツを抑えることなんてできるのだろうか?

 無理……

 絶対に無理……

 そんなの無理に決まってる……

 即座にカリアの体中の細胞という細胞がその答えを吐き出すのである。

 震える足……砕けそうになる腰……

 さきほどから背筋には死という名の寒気が襲ってくる。

 逃げたい……

 逃げ出したい……

 でも……

 緑女である自分に逃げる場所がどこにあるというのだ……

 ――あるわけないだろ……

 仮になんとか駐屯地から逃げだして内地に戻れたとしても、そこもまた生き地獄。

 ――どうせ、どこに行っても地獄なら……仲間を守って死のうじゃないか!

 そう、せめて一人……

 仲間が一人でも生き残って自分のことを覚えていてくれれば……

 ――それがアタイの生きた証!

 この世にカリアという人間が生きていた証拠になるのだ!

 ――そう! アタイは一人じゃない!

 自分を強く奮い立たせるカリアであったが、その背後では、また仲間が一人一人と死んでいた。

 

 

 わぁぁぁぁぁあっぁ!

 絶叫を上げながらググへと突進するカリア。

 頭上に掲げたカリ頭の巨根、いや巨棍を勢いよく振り下ろす。

 

 だが、それを難なくかわすググ。

 そして、次の瞬間、地面に巨棍をたたきつけ無防備になっているカリアの首筋にググの爪が狙いを定めていた。

 

 

 しかし、その攻撃をカリアも何とかかわした。

 身をよじり前回りに転がる体の回転を使い地に刺さる巨棍を抜き出したのだ。

 だが、先ほどのググと違ってかわすのがやっとのようす。

 その証拠にカリアの姿は無様に四つん這いになっている。

 そして、そのググを見上げるその瞳には、明らかに余裕がなかった。

 

 カリアの首筋から一筋の血のしずく流れ落ちる。

 どうやら、先ほどの刺突を完全にかわすには至っていなかったようである。

 もしかしたら、この一撃で人魔症に感染したかもしれない……

 だが、そんなことを考えても死んでしまってはそれまでだ。

 カリアは首に走る痛みを肩にこすりつけると、巨棍を杖に立ち上がる。

 

 だが、その様子を見たググはニヤリと笑うと、今度は大上段から五本の爪の斬撃を振り下ろしたのだ。

 とっさにカリアの頭上に掲げたカリ頭の巨棍が火花を散らす。

 がきぃっ!

 カリ頭の鉄肌を引き裂くかのように、鷹のような爪が巨棍の表面をこすりながら落ちてくる。

 ぎぎぎぎっぎい!

 激しく飛び散る火花の嵐!

 無数の火花がカリアの小麦色の肌へと飛び落ちていく。

 耐えるカリ頭!

 おそらく、これが普通の棍棒だったら、確実に折れていただろう。

 だが、今のカリアが持っている巨根は亀頭硬度100倍!

 すでに開血解放されているその武具は、そんなにヤワではなかったのだ。

 

 緑女たちは奴隷よりも下の身分。いや、最下層の身分なのである。

 奴隷兵たちでさえ粗末な武具しか与えられないのに、彼女たちにまともな武具など与えられるはずはなかった。

 だが、緑女の彼女たちにとって、一振りの武器を与えられるだけ幸せであった。

 今の今まで、他人から何かを貰うということが無い人生。

 戦うためとはいえ、武器を一つ貸し与えられる。

 何かを与えられるということは、それだけ、自分の人生に価値があったのだと、希望がもってたのだ。

 だが、カリアの武器は少々違う。

 カリアの武器だけは第一世代の融合加工された武具なのである。

 

 その昔……それは約10年ほど前……カリアがまだ内地のスラムに隠れ住んでいたころの話である。

 

 

 まだ10代の小娘だったカリアは今日の糧を探すためにゴミ捨て場のゴミをあさっていた。

 ここはスラムのはずれのはずれ……薄暗くなり始めた頃合いのスラムにあるゴミ捨て場だ。

 悪臭の漂うおよそ運動場一個分の広さには、いたるところにゴミの山ができては崩れ落ちていた。

 おそらく融合国の処理できないゴミがすべてここに集められているのだろう。

 もう、リサイクルなどという言葉が、苦笑いしながら逃げ出してしまいそうなぐらいひどいゴミくずばかり。

 もうすでに人のものなのか獣のものなのか分からない骨……しかも、中の骨髄はすでに吸い取られ、食うところなどまるでない。

 ミイラ化した子供……すでに干からびて骨と皮だけになっている。とても食うことは難しそうだ。いや、お湯につけて戻せば少しは食べられるかもしれない……

 腐っているのを通り越して液状化が始まっている何かの何か……食べようと思えば食べられる……

 唯一のご馳走が、そんな何かの何かを食べようと集まってくるゴキブリども……貴重なたんぱく源である。だが、そのためか、最近ではゴキブリの姿もめったに見なくなっていた。

「今日は……ゴキブリ……いないな……」

 カリアの腹が、グーっという音を鳴らしながら今日の糧を催促する。

 だが、ここ最近、まともな固形物など食べた記憶がないのだ。

 地面にしみこむ液状化した何かの汁を懸命になめとるのが精いっぱいだった。

 もうそれは、ゴキブリ以下の生活と言っていいだろう……

 

 え? 貧乏なタカトみたいに山で動物を狩ったり、山菜をとったり、川で魚を捕るとかすればいいんじゃないのかだって?

 あのね……カリアは緑女……

 忌み嫌われる存在なの……

 そんな彼女が人目があるところを自由に行き来できるわけないでしょうが!

 この馬鹿チンが!

 

 そう……ここがスラムと言えども、緑女という存在をすき好んでんで養ってくれる人間などいなかったのである。

 だが、そんなスラムに捨てられる緑髪の赤子たち……まぁ、それなりに使えばいくばくかの金にはなるのだ。

 だから……

 見世物小屋に売るために育てられる。

 生き餌として売るために育てられる。

 これ以外に捨てられた緑女たちが生き残る方法などなかったのである。

 

 そして、カリアもまた、魔物捕獲用の生餌として育てられ売られたのだ。

 だが、幸いなことに、崖の上に備え付けられたトラップが何かの拍子に滑り落ち、檻の中に入っていたカリアの体は外の世界に放り出されたのである。

 

 自由を得たカリア。

 しかし、緑女の彼女に真の自由などありえない。

 人に見つかれば再び魔物の餌にされるのだ。

 そんなカリアは、ひそかにスラムに舞い戻りゴミ捨て場の物陰に隠れて今日まで人目を避けて生きてきたのである。

 

 そんな、彼女の生きる小さな世界……

 そんなスラムのゴミ捨て場に一人の少年と一人の少女が息を切らせながらすごい勢いで飛び込んできたのである。

「タカトのバカ! なんでこんなことになったのよ!」

「あほか! アイツにアルテラ誘拐の罪を背負わせるわけにはいかないだろうが!」 

 そんな二つの影が、それぞれ薄汚れた段ボール箱の中に飛び込むと、まるでカタツムリのように姿を隠すのだ。

 しかし、それでも……

「だからって! なんで私たちがお尋ね者にならないといけないのよ!」

「そんなこと知るかよ!」

 段ボール越しに聞こえる声は、当然、外にダダ洩れだったwww

 

 そんな突然の来客にカリアは恐る恐る声をかけた。

「おい……声、聞こえてるぞ……」

 

 それを聞く二つの段ボール。

「このボケ! 声がダダ洩れなんだよ! 黙れ! ビン子!」

「あんたが黙りなさいよ! アホタカト!」

 段ボールから聞こえる声はさらに大きくなっていく。

「なんだと! この貧乏神!」

「なんですって! エロ道具しか作れない変態道具屋のくせに!」

 テンションあげあげのこの二人www全く黙る気などない様子だった。

 

 第41話 激闘!第六駐屯地!(16) 緑女のカリア より